- はじめに
- Chapter1 オーラル・アプローチとは?
- 01 オーラル・アプローチの理論的背景
- 02 導入の授業(教科書本文中心)の指導手順
- 03 復習の授業(言語活動中心)の指導手順
- 04 教科書本文のオーラル・イントロダクションのポイント
- 05 教科書本文の音読指導のポイント
- 06 オーラル・イントロダクションを成功に導くポイント
- 07 パターン・プラクティスのポイント
- Chapter2 オーラル・アプローチを生かした実践モデル
- Part1 1年生
- Be動詞
- [新出文構造]I am〜. / I am not〜. / You are〜. / You are not〜. / Are you〜?
- 一般動詞
- [新出文構造]I like〜. / I do not[don’t]〜. / Do you〜?
- 助動詞can
- [新出文構造]I can〜. / I cannot[can’t]〜. / Can you〜?
- He is / She is
- [新出文構造]He/She is〜. / He/She is not〜. / Is he/she〜?
- Who is〜?
- [新出文構造]Who is〜?
- Where is〜?
- [新出文構造]Where is〜?
- 一般動詞の三人称単数現在形
- [新出文構造]He/She likes〜. / He/She does not〜. / Does he/she〜?
- 一般動詞の過去形
- [新出文構造]I cooked〜. / I went to〜. / I did not〜. / Did you〜?
- Be動詞の過去形
- [新出文構造]I was〜. / You were〜. / I was not〜. / Were you〜?
- 現在進行形
- [新出文構造]I am〜ing. / I am not〜ing. / Are you〜ing?
- Part2 2年生
- 接続詞when
- [新出文構造]When〜, ….
- 不定詞の名詞的用法
- [新出文構造]I want to〜.
- 動名詞
- [新出文構造]I like〜ing. / 〜ing is ….
- I think that〜
- [新出文構造]I think that〜.
- be going to〜
- [新出文構造]I am going to〜. / I am not going to〜. / Are you going to〜?
- 助動詞will
- [新出文構造]I will〜. / I will not[won’t]〜. / Will you〜?
- 接続詞if
- [新出文構造]If〜, ….
- There is〜
- [新出文構造]There is〜. / There is not〜. / Is there〜?
- SVOO(第4文型)
- [新出文構造]I gave〜….
- 不定詞の形容詞的用法
- [新出文構造]I have〜 to ….
- 不定詞の副詞的用法
- [新出文構造]I went to〜to ….
- 比較級
- [新出文構造]○○ is〜er than ….
- 最上級
- [新出文構造]○○ is the〜est of the ….
- more / most
- [新出文構造]○○ is more〜than …. / ○○ is the most〜of ….
- as〜as …
- [新出文構造]○○ is as〜as ….
- 受け身
- [新出文構造]○○ is 〜ed. / ○○ is not〜ed. / Is ○○ 〜ed?
- SVOC(第5文型)
- I call〜…. / ○○ makes〜….
- Part3 3年生
- help+O+V
- [新出文構造]I help〜….
- 現在完了の完了用法
- [新出文構造]I have just 〜ed.
- 現在完了の経験用法
- [新出文構造]I have〜ed … times.
- 現在完了の継続用法
- [新出文構造]I have〜ed for …. / I have〜ed since ….
- 現在分詞の後置修飾
- [新出文構造]The boy〜ing … is ○○.
- 過去分詞の後置修飾
- [新出文構造]This is the ○○〜ed ….
- 接触節
- [新出文構造]This is a〜SV.
- 関係代名詞・主格who
- [新出文構造]■■ is 〜 who was(is)〜.
- 間接疑問文
- [新出文構造]I know how SV 〜.
- I wish〜
- [新出文構造]I wish S〜ed.
- Chapter3 オーラル・アプローチの実践にあたって知っておきたいQ&A
- Q1 発音やリスニングに関する苦手意識への対応は?
- Q2 英語を使って授業を進めるコツは?
- Q3 即興的に話す力はどうやって育成する?
- Q4 書く力はどうやって育成する?
- Q5 読む力はどうやって育成する?
- Q6 入試問題にはどうやって対応する?
- Q7 予習はさせる?
- Q8 日本語を使ってはいけない?
- おわりに
- 参考文献一覧
はじめに
私が受けた中学校の英語の授業は,文法についてのプリントをひたすら解いて,解説を聞くものでした。高等学校の英語の授業は,予習として教科書の本文をノートの左ページに書き写し,右ページに自分の力で日本語訳をつくってきて,その訳を確認するだけ。英語そのものには興味があったものの,このような授業には満足できず,自分なりに様々な方法を試行錯誤しました。また,友人たちから「英語が苦手なので教えてほしい」という申し出があり,休み時間や放課後に教えていく中で,これではいけないと考え,いつしか英語教師になることが自分の夢になっていました。
ところが,大学受験でつまずいたのが,リスニング問題が全く解けないことでした。実際,リスニング問題が出題される大学はすべて不合格。辛うじて合格できた大学でも,外国人の先生の授業は,英語が聞き取れないし,英語を話せないので,予想以上に辛いものでした。また,英検やTOEICを受検しても,リスニングで点が取れませんでした。そんな中,大学3年生のときに受講していた英語科教育法の授業の課題の1つに,担当の先生が指定するいくつかの研究会の研究大会から1つを選んで参加し,レポートを書くものがあり,そのときにELEC同友会の研究大会に参加しました。午後のビデオによる授業研究のセッションで,富山県の中嶋洋一先生の授業を見ました。教師が授業中に話すのはほとんど英語。生徒もしっかり英語を話しています。自分が目指すのはこういう授業だと考えるようになったのです。
そんな中で,大学卒業後すぐに,東京都の公立中学校に勤めるようになるものの,そこで行われているのは,自分が目指したものとは程遠い授業でした。そこで,何冊も英語授業に関する本を読んで,自分なりに理想とする授業を追求しました。秋になり,大学の友人に誘われ,英語授業研究学会の研究大会に参加し,逆に私はELEC同友会の研究大会に誘い,参加しました。それぞれの会では,やはり,私の目指すような,教師が授業中に英語を豊富に使用し,生徒が英語を積極的に使用する授業の動画を見ることができました。学校の外で学ぶしかない。そう思い,様々な研究会に足を運ぶようになりました。
教師になって2年目,夏季休業中にELEC同友会のサマーワークショップがあると聞き,参加しました。授業づくりに関する講演を聞き,生徒役となって授業を体験し,受講者がグループ内で模擬授業を行い,助言をいただくものです。ここで私は,オーラル・アプローチを学ぶと,英語の授業を英語で進めることが上手くなることがわかり,9月からELEC同友会のオーラルアプローチ研究部会の部員となり,月例会に参加することになります。
教師経験が長くなるにつれ,部活動指導や家庭の事情で部会に参加できない日々もあったものの,教師になって14年目,元部長の明石達彦先生より,「部を任せたい」と言われ,オーラルアプローチ研究部長に就任し,現在まで研究を主導しています。
この期間,公的には東京教師道場部員,教育研究員,研究開発委員,東京教師道場リーダーなどの研修でも,指導助言講師として向かう各自治体の中英研でも,ELEC同友会ではオーラルアプローチ研究部会やサマーワークショップでも,授業改善に悩んでいる先生方に多く出会いました。そのときに,私はこれまでの経験を生かして,オーラルアプローチを活用した改善方法を提案してきました。これまでの取り組みを,このように形にしていただける機会を得られて,本当に光栄なことと思っています。
本書では,中学校の英語授業において,教科書本文の内容理解に繋がる活動である「オーラル・イントロダクション」と,教科書本文の音読から表現活動に繋がる活動である「パターン・プラクティス」という,オーラル・アプローチの2種類の基本技術を,令和3年度から使用されている,採択数が多い3種類の教科書(New Horizon,New Crown,Here We Go!)に共通する文構造について紹介しています。
本来であれば,ここで扱っていない文構造や,教科書本文についてのオーラル・イントロダクションとパターン・プラクティスも紹介したいところですが,紙面の都合で扱っていません。そのようなことを学びたい場合には,ぜひELEC同友会オーラルアプローチ研究部会やサマーワークショップに参加していただき,学んでいただきたいと思います。
Chapter1では,オーラル・アプローチとはどういうものなのか,実際の授業でどのように活用するか,本書で扱っていない,教科書本文の指導にどう活用するのか,説明しています。
Chapter2では,中学校1年生から3年生までに学ぶほとんどの文構造について,どう活用するかの説明の章です。私が実際に授業で行ったことがある指導事例を,紙面の都合で少し加工して掲載しています。オーラル・イントロダクションでは,語句などは入れ替えて,読者の皆さんが得意な分野で実施されることも可能です。また,パターン・プラクティスについても,使用されている教科書に合わせて,基本文や語句を入れ替えて実施していただくと,より効果的になるでしょう。
Chapter3では,ここまでに扱っていないけれども,普段の英語の授業を行う際に必要なことを説明しています。1つの話題につき簡単にまとめているため,関連することを学びたいときは,巻末の参考文献リストを見ていただき,気になるものを読んでいただくのがおすすめです。
また,本書で掲載したような指導方法は,小学校外国語の授業や高等学校での授業にも十分応用可能です(実際,オーラルアプローチ研究部会では,高等学校の教科書を使用した研究も行っているし,高等学校の教師も部員にいます)。
本書が,英語で英語の授業って,どういうこと? という方が,気軽に取り組むための助けになれば幸いです。
2025年4月 /宮ア 太樹
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- 明治図書
- 基本のキが詰まった、英語教師座右の書です。2025/6/1840代 研修主任