- はじめに
- 第1章 これだけは身につけたい教師の基礎技術
- 技術は、真似して、使って、ナンボ
- 優れた「授業技術」は、小学生でも真似できる
- 小学生が忘れない「フォロー」を教師こそ忘れるな
- 誰に対してか分からぬ「フォロー」に意味はナシ
- 「全体像」から説明すれば、子どもの頭にだって「絵」を描ける
- 「どうなったら勝ちか?」を示して闘志を引き出せ
- 子どもがサボれぬ授業技術を使うのだ
- 褒めるチャンスを増やすのに、子どもを細かく動かせ
- 拍手みたいなショボい賞品でも、子どもは喜ぶ
- 選択肢の魔術―選ぶだけなら、誰でもできる
- 問題の順番だけで面白さが変わると心得よ
- 「クイズ」と言うだけで盛り上がるから、子どもはチョロい
- 最低限の礼儀「語先後礼」を身につけさせればシマる
- 第2章 お笑い・「前説」に学ぶ教師の応用技術
- 小柳トムの「前説」から、貪欲に学べ
- 手順を誤らねば、空気は温まる
- 嫌々でも、「拍手」を強要せよ
- 早口言葉の魔力を使えば、思わず声が出る
- 「お約束」で、教室をライブ会場にしてしまえ
- 短いからこそ、返事がいい
- 「くり返し」で、重たい空気をすっ飛ばせ
- 授業の最初に、声出しの「罠」をしかけよ
- テンポとリズムで誤魔化してしまえ
- テンポについてこれない子どもは、ひとまず、捨ておけ!
- 耳より情報!真面目な教師でも、「笑い」は起こせる
- 力ずくでも、ザワザワ空気は押さえ込め
- 「音」を消して、落ち着きを演出せよ
- 授業の最初にこそ、子どもを沈黙に導く技を使え
- 「沈黙の時間」は、金なのだ
- 第3章 小さいけれど効果を生む教師の微細技術
- 些細な技術こそ、宝と心得よ
- 挙手指名は最悪の愚策、即刻廃止!
- 監視されていると、子どもに恐怖を与えよ
- なめ回すように子どもを見よ
- ハッタリをかましてでも、監視されていると思わせろ
- 空白の時間は、崩壊へ続く道…
- 時間は、命。命を奪うことは許されない!
- 勉強ができない子にも、「得」をさせよ
- ズルしてでも、良い点を取らせれば、勝ち
- ネタが良ければ、技術はいらない
- 第4章 おまけ「最後の捨てゼリフ」
- 失敗談をでっち上げれば、若手も素直に耳を貸す
- 保護者には、負けておけ
- 与えられた条件で、満足して生きよ
- 子どもを鍛え育てない修学旅行は、行かない方がマシ
- つまらない教育しかできない日本に未来はない
はじめに
私は、技術を使って、授業をしている。
45分間に、いくつの技術を使っているか?分からないほどである。
最近、若手から、
「中村先生の授業を見せてください」
と、お願いされることが増えた。私の答えは、もちろん、OKだ。
そんな時、私は、特別な授業はしない。いや、特別どころではないな。できるだけ面白くないところを選んで、授業をする。教科は、算数が多い。
私は、国語が得意だ。いろいろな指導法やネタを知っている。もちろん、教科書は使う。それでも、私独自のスペシャルな授業になってしまう。社会科も、同じである。
一番の苦手は、理科。だから、学習ノートの流れに沿って、授業をする。本当なら、理科の授業こそ、見せたいところだ。しかし、理科は、専科。
そこで、得意ではない、算数の授業を見せるのである。
私の算数の授業は、教科書通り。教科書の流れに沿って、授業する。問題の順番を変えることさえない。教科書の問題の順番には、意図が隠されていることが多いからだ。
この歳になって思うのだが、教科書はよくできている。私と違って、算数の得意な方、算数のスペシャリストがつくっているのだ。教科書がよくできていて、当たり前である。
シロウトの私が、勝手に流れを変えて授業をするなんて、おこがましい。
若手に、そんな普通の授業を見せるのには、訳がある。
若手教師に、私の授業技術を伝えたいからだ。遺したいからだ。
教科書通りの普通の授業に、子どもを乗せる。そのためには、技術が必要だ。普通の授業の方が、私がどんな技術を使っているかが分かりやすい。私は、そう考えている。
だから、授業が終わった後、若手に聞く。
「俺の授業を見て、何を学んだ?何が真似できそう?」
若手の答えは、
「子どもたちが、とっても楽しそうでした。やっぱ授業は楽しいことが大切だと、学びました。それを真似したいです」
「本当に、全員参加していて、サボる子がいませんね。全員参加を真似したいなあ」
こんな答えが多い。
子どもたちが楽しそうなのには、理由がある。サボる子がいないのにも、理由がある。
私が、授業を楽しくする技術を使っているからだ。
子どもたちにサボらせない技術を使っているからだ。
それなのに、若手は、技術が見えない。技術を使ってどうなったか?その結果しか見えない。
そこで、商魂たくましい私は、思いついた。
「今度の『ブラック』は、『教師の授業技術』だ!」
と。シリーズ累計10万部超えの大ヒット作である。タイトルに『ブラック』とさえつけば、そこそこは売れる。
また、ブラックシリーズは、この本で10冊目である。やはり9冊で終わるよりは、キリよく記念の10冊を出したい。そんな思いもあった。私は、普通の庶民的な男なのだ。
さあ、最後に、腹黒く叫ぼう。
授業を成り立たせるためには、教師の技術が必要だ。
腹黒い邪悪なブラック「技術」で、子どもたちをあなたの授業のとりこにしてしまえ。
2023年7月21日 1年間で一番好きな夏休み初日に /中村 健一
意外な視点から授業技術を語られていて、ワクワクしながら読みました!
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