- はじめに
- 序章 音楽の授業づくりで大切にしている3つのこと
- 1 学校で音楽を学ぶ理由
- 2 音楽の授業における「約束ごと」
- 3 全員参加の風土づくり
- 第1章 題材・教材をつなぐのがもっとうまくなる5の技
- 4 1年間の学びを確認しよう
- 5 1学期間の計画を立てよう
- 6 必要な教材を見極めて題材を組もう
- 7 教科横断的な視点を取り入れよう
- 8 〔共通事項〕は,超重要事項として押さえよう
- 第2章 導入で子どもを引き込むのがもっとうまくなる5の技
- 9 音楽室でしかできないことを企もう
- 10 音楽シャワーをたくさん浴びせよう
- 11 アイスブレイクをみんなで楽しもう
- 12 メインの活動につながるウォーミングアップをしよう
- 13 見通しやめあてで自己調整を意識しよう
- 第3章 歌唱の指導がもっとうまくなる8の技
- 14 「聴いて」教材と出会おう
- 15 「見て」教材と出会おう
- 16 伴奏は音源を活用しよう
- 17 歌いなじむ時間を確保しよう
- 18 見た目を協働的に学ぼう
- 19 自分の声と向き合って,様々な歌い方を知ろう
- 20 曲の部分や内容をしぼって思考しよう
- 21 指揮で歌声を誘導しよう
- 第4章 器楽の指導がもっとうまくなる8の技
- 22 楽器の音に耳を澄ませよう
- 23 素敵な音色で演奏しよう@〜リコーダー・箏〜
- 24 素敵な音色で演奏しようA〜鉄琴・木琴〜
- 25 歌うことから始めよう
- 26 10分練習で個別最適な学びを促そう
- 27 パート分けは希望制でやる気を高めよう
- 28 音楽の特徴から演奏の仕方を考えていこう
- 29 指揮で音を合わせる気持ちよさを味わおう
- 第5章 音楽づくりの指導がもっとうまくなる8の技
- 30 音楽づくりの価値を知ろう
- 31 出た音そのものに耳を傾けよう
- 32 確かな条件設定で思考の余地を生み出そう
- 33 部分的に試すことから始めよう
- 34 「始め・中・終わり」のつながりを意識しよう
- 35 ICTを使って音楽をつくってみよう
- 36 記録の方法は子どもに委ねよう
- 37 作品は音楽ありきで発表しよう
- 第6章 鑑賞の指導がもっとうまくなる8の技
- 38 事前に何度も聴こう
- 39 音楽,作詞者,作曲者,演奏者と対話しよう
- 40 事実とイメージをつなげて板書しよう
- 41 全曲通して,味わって聴いてみよう
- 42 こたえのない問いで,思考を促そう
- 43 目的をもって,体を動かす活動を取り入れよう
- 44 ICTを生かして,個別最適な学びを目指そう
- 45 鑑賞曲から広げよう
- 第7章 評価の仕方がもっとうまくなる5の技
- 46 知識,思考,態度の評価はメモを貯めておこう
- 47 子どもたちから「書きたい」気持ちを引き出そう
- 48 技能の評価は直接と録画を使い分けよう
- 49 評価の仕方を共有しよう
- 50 一人一人の成長を大切に見ていこう
はじめに
「音楽」が好きかどうかと尋ねると,老若男女問わず,多くの人が「好き」と答えてくれます。では,「音楽の授業」となるとどうでしょう。教師も子どもも「好き」の割合が,ぐっと減ってしまうような気がしませんか。
かくいう私も,初めて音楽を教えることになったときは,期待以上に不安が大きかったことを覚えています。指導書を読んでも,音楽用語につまずき,板書例も少ないためか他教科よりも授業の具体的なイメージがもてず,いざ授業をしてみても,まさに「活動あって,学びなし」の状態。評価も手探りで,正直,音楽の授業が楽しい時間だったとは言えませんでした。
この状況をなんとか打破したい一心で,様々な研修会に参加し,本を読み漁り,仲間の先生方にヒントをいただきながら,日々,授業改善を重ねていきました。何より,一緒に授業をつくっていく目の前の子どもたちから,たくさんの気付きをもらいました。
こうしてできたのが本書です。音楽の授業づくりに悩んでいた昔の自分に,そっと手渡したい一冊になりました。本書を手に取ってくださった方には,私の考えをエッセンスとして取り入れつつ,ぜひ自分らしいアイデアを加えて,より素敵な授業につなげていただけたら幸いです。
ところで,私は,子どもを一本の「木」になぞらえ,次のような関係性をもって音楽科における資質・能力を捉えています。(図省略)
世界には様々な「木」があります。背の高さ,根の深さ,幹の太さ,葉の形や数,花の色,実の有無,成長速度……。1つとして同じ「木」は存在しません。みなさんは,どんな「木」を育てたいですか。また,今育てている「木」は,どんな風に成長したがっていますか。そして,教師であるあなた自身は,どんな「木」でありたいですか。
本書を通して,先生方一人一人,そして子どもたち一人一人の心の中に,「音楽」と「音楽の授業」が価値あるものとして芽吹き,根を張り,大きく育っていくことを切に願っています。
2025年7月 /納見 梢
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- 明治図書