- はじめに
- T 理科の教育原理
- 1 理科
- 2 理科教育研究
- 3 科学観
- 4 自然観
- 5 科学の性質(Nature of Science)
- 6 科学の方法
- 7 科学的推論
- 8 学問中心カリキュラム
- 9 人間中心カリキュラム
- 10 理数科
- 11 理科教育振興法
- 12 理科教育の現代化
- 13 STEM/STEAM教育
- 14 Socio-scientific Issues(SSI)
- 15 サイエンス・コミュニケーション
- 16 環境教育
- 17 自然体験活動
- 18 理系と文系
- 19 ジェンダー
- 20 ダイバーシティ・インクルージョン(D & I)
- U 理科の目標と内容
- 21 科学的リテラシー
- 22 コンピテンシー
- 23 科学的知識
- 24 科学的思考
- 25 科学アイデンティティ
- 26 小学校学習指導要領の変遷
- 27 中学校学習指導要領の変遷
- 28 高等学校学習指導要領の変遷
- 29 理科の内容構成
- 30 物理教育
- 31 エネルギー概念
- 32 化学教育
- 33 化学の基本概念
- 34 生物教育
- 35 進化概念
- 36 地学教育
- 37 地球システムの概念
- 38 生活科
- 39 防災教育
- 40 安全教育と安全管理
- V 理科の教育方法
- 41 問題解決/問題解決学習
- 42 科学的探究/探究学習
- 43 プロセス・スキルズ
- 44 問題の見いだし
- 45 仮説設定
- 46 観察・実験
- 47 条件制御
- 48 検証計画
- 49 分析・解釈
- 50 グラフの活用
- 51 アーギュメント
- 52 ものづくり
- 53 飼育・栽培
- 54 モデルベース学習
- 55 アナロジー
- 56 協調学習
- 57 真正の学習(オーセンティック・ラーニング)
- 58 科学史を用いた学習
- 59 インフォーマル教育
- 60 才能教育
- 61 ICTの活用
- 62 リフレクション
- W 理科の学習と認知
- 63 自然認識
- 64 素朴概念・誤概念
- 65 概念変容
- 66 構成主義
- 67 足場かけ
- 68 転移
- 69 ラーニング・プログレッションズ
- 70 認知発達
- 71 幼児期の科学教育
- 72 空間認知
- 73 創造性
- 74 認識的認知
- 75 科学ニュースの信頼性
- 76 メタ認知
- 77 批判的思考
- 78 知的謙虚さ
- 79 動機づけ
- 80 有用性の認識
- 81 自己調整学習
- X 理科の学習評価
- 82 評価の種類
- 83 学習の評価
- 84 学習のための評価
- 85 学習としての評価
- 86 描画法
- 87 コンセプトマップ
- 88 フィードバック
- 89 アセスメント・リテラシー
- 90 学力測定
- 91 コンピューター使用型テスト(CBT)
- Y 理科の教師教育
- 92 教師の専門的成長
- 93 Pedagogical Content Knowledge(PCK)
- 94 生涯にわたる教師としての専門的成長
- 95 教員研修
- 96 学習指導案
- 97 授業研究
- 98 教材研究
- 99 地域教材
- 100 アクション・リサーチ
- 101 理論と実践
- Z 諸外国の科学教育と国際比較
- 102 アメリカの科学教育
- 103 イギリスの科学教育
- 104 ドイツの科学教育
- 105 フランスの科学教育
- 106 カナダの科学教育
- 107 中国の科学教育
- 108 台湾の科学教育
- 109 シンガポールの科学教育
- 110 国際教育協力
- 111 PISA
- 112 TIMSS
- 113 TALIS
- 114 ROSES
- 巻末資料:理科教育に関連する学会や雑誌
- 索引
- 執筆者一覧
はじめに
理科重要用語事典編集の意図
私たちは,小学校3年生になると,当たり前のように学校で理科を学んできています。中学校や高校でも好き嫌いに関わらず,全ての生徒が理科を学ぶことになっています。しかしながら,そもそも,読者の皆さんは,なぜ学校で理科を勉強する必要があるのかについて,自問したり先生に尋ねたりしたことはあったでしょうか。また,子供の頃に,理科を教えてくれる先生が,どのように努力しながら児童生徒のために教材研究等を行ってきているかを,見聞きし,想像したことはあったでしょうか。
理科重要用語事典(以下,本事典)の読者は,理科教育研究者,教員,大学院生・大学生が多いと思いますが,大学で理科教育法等の教職科目や専門科目を履修して初めて,理科とは何か,なぜ理科を教えるのか,どのようにして児童生徒の理解度を把握するのか,児童生徒の学びを支援する教材とは何か等を考え始めたのではないでしょうか。
理科教育に携わる,あるいはこれから携わる人たちは,理科教育の理論と実践の関係,これまでの理科教育の研究とこれからの理科教育の研究の共通点と相違点,学習指導要領と教科書の関係や理科室での実践の在り方,子供の成長を支援する学び続ける教師像等,過去を振り返りながら省察し,未来に向けての方向性を考え出していくことになります。
本事典は,理科教育の根源的な問題,理科教育研究の現状の把握と水準の向上,理科教育研究の理論的なフレームワーク,実践における課題と解決のための研究方法等を具体的かつわかりやすく解説することで,理科教育研究の進歩や理科教育の実践の新しい展開のための一助になることを企図して編集をしております。
理科重要用語事典の特色と位置づけ
これまでわが国では,理科教育の用語事典(辞典)はいくつか発刊されてきました。そのような状況の中で,本事典に先立ち明治図書から次の書籍が発刊されてきました。それらは,蛯谷米司・木村仁泰編著(1981)『理科重要用語300の基礎知識』(教科教育の基礎用語シリーズ),その改訂版にあたる武村重和・秋山幹雄編著(2000)『理科重要用語300の基礎知識』(重要用語300の基礎知識6)です。本事典は,タイトルは違っていますが,基本的にはこれらの『理科重要用語』の改訂版にあたります。
本事典の最大の特色は,幾人かの執筆者を除き,これからのわが国の理科教育研究をリードする中堅の研究者を中心とし,新進気鋭の若手の研究者が加わった執筆陣であることです。
ところで,世界的に見ると,研究ハンドブック(Handbook)は,いくつか発刊されています。事典(Encyclopedia)は,R. Gunstoneが編著者で世界中の多くの研究者が関わり,2015年にSpringerから発刊されたEncyclopedia of Science Educationがあります。本事典は,これほどの大著ではありません。また,残念なことに,この事典の日本人執筆は多くありません。しかしながら,この度発刊した本事典は,日本語(母語で小学校から大学院まで学べる国は,世界でも希有な存在です)で書かれており,研究者から教師,そして教師を目指す大学生まで幅広い読者を対象としています。本事典の執筆者や本事典で理科教育について学んだ将来の研究者が,やがて,国際的な理科教育事典等のプロジェクトに参加し活躍することを期待しています。このことが,わが国の理科教育研究の進歩になります。本事典は,そのための入門書と位置づけてもよいでしょう。
理科重要用語事典の利用の仕方
本事典は,これまでの前2冊の『理科重要用語』と同じように,五十音順の掲載順序ではなく研究領域毎に区分しています。前2冊はタイトルの通り理科に関する300の用語が掲載され解説されていますが,本事典での用語の数はその半分以下です。しかしながら,用語の数は半分以下ですが,前2冊が各用語1頁であったのに対して,本事典は倍の2頁でより詳細に用語の解説がされております。そのため,単なる用語解説だけにとどまらず,研究の歴史やトレンド,実践への示唆等も含まれております。
また,現代的な情報の在り方として,各用語の末には文献が記載されていますが,QRコードを使い,各用語の全ての文献が閲覧できるようになっています。
読者の皆さんは,文献リストに記載されている書籍や論文等を自分自身で手にとり,原著を読んでみることは研究はもとより,日々の実践でも,自分の考え方がより明確化,あるいは強化され,考え方や日々の実践に深みが増してくるでしょう。
謝辞
最後になりましたが,本事典の企画から執筆,出版に至る過程で4名の優秀な編著者である筑波大学遠藤優介先生,宮崎大学中村大輝先生,広島大学松浦拓也先生,筑波大学山本容子先生(五十音順)には大変お世話になりました。記して謝意を表します。
〈文献〉
蛯谷米司・木村仁泰編著(1981)『理科重要用語300の基礎知識』(教科教育の基礎用語シリーズ)明治図書. /Gunstone, R. (Ed.). (2015). Encyclopedia of science education, Springer./武村重和・秋山幹雄編著(2000)『理科重要用語300の基礎知識』(重要用語300の基礎知識6)明治図書.
2025年8月 監修 /磯ア 哲夫
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明治図書















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