- はじめに
- 第1章 自由進度学習について考える
- 1 自由進度学習とは
- 2 一斉授業との二項対立だと思ってない?
- 3 私が考える「よい授業」
- 4 自由進度学習のメリット
- 5 自由進度学習は魔法じゃない
- 6 4つの「メガネ」
- 7 迷ったら「やってみよう!」
- 第2章 自由進度学習に備える
- 1 「専門家」として教材研究をする
- 2 こどもたちを「知ろうとする」
- 3 教材を「味わう」
- 4 授業を図にしてみる
- 5 環境をデザインする
- 6 4つの自己決定場面を設定する
- 7 「願い」を確かめる
- 8 何ができるのかを考える
- 9 「願い」と「できること」のバランスをとる
- 10 「らしさ」について考える
- 第3章 自由進度学習を楽しむ
- 1 「教育者」として参加する
- 2 「LIVE」ならではの盛り上がりを楽しむ
- 3 「知性」と「感性」のバランスをとる
- 4 チェックインする
- 5 みんなに「語る」
- 6 「問い」をデザインする
- 7 授業の紹介@「漢字」
- 8 授業の紹介A「書くこと」
- 9 授業の紹介B「チームプロジェクト←→個人プロジェクト」
- 10 チェックアウトする
- 第4章 自由進度学習後を見届ける
- 1 「学び手」として「みる」
- 2 「LIVE」を振り返る
- 3 「評価」をする
- 4 次の授業を「想像」する
- 5 1on1の対話をする
- 6 みんなで紡ぐ 見続ける
- 第5章 自由進度学習を超えていく
- 1 自由進度学習を超えていくとは
- 2 「ゆだねる」ことの果てに、真の自立を育む
- 3 教室から社会へ、学びの循環のデザイン
- 4 自分らしく生きることのデザイン(自己実現と社会貢献)
- 5 冒険者として進む
- おわりに
はじめに
この本を手にとってくださったみなさんは、きっと、未来の教育に、そしてこどもたちの可能性に、熱い眼ざしを向けている方々ではないでしょうか。もしかしたら、日々の教育現場で奮闘し、様々な課題に直面しながらも、よりよい学びの形を模索し続けている先生かもしれません。あるいは、こどもたちの教育に関心をもつ保護者の方、あるいは未来の教育を担う学生さんかもしれません。どのような立場であれ、この本は、みなさんの「教育への問い」に、私なりの「どっちもある」という視点から、ともに考え、ともに冒険する旅へといざなうものです。
この本の第1章から第4章では、自由進度学習が、現在の「学校」という枠組みの中で、先生方がどのような「メガネ」をかけ、どのようにこどもたちと関わり、どのように学びを豊かにしていこうか、という現場に根ざした問いに対する、現時点での私なりの答えを示しています。これは、こどもたちが「生きたいように生きる」ために、そして「よりよく学び続ける」ために、先生方がどのように備え、支え、次へとつなげていくか、という日々の実践から生まれたものです。
しかし、学びの旅に終わりがないように、私たちの探究もまた、ここで立ち止まるわけにはいきません。第5章では、その先の未来、すなわち「次の時代の学校」において、自由進度学習を「超えて」、これまでの学習方法や教育の常識を「超えて」、どのような「学び」をこどもたちとともに創造していくのかを考えています。ここで言う「超えて」いくとは、決してこれまでの実践を否定するものではありません。むしろ、自由進度学習を通して得られた深い洞察、こどもたちの可能性への確信、そして私たち自身の「学び手」としての成長を土台として、さらにその先にある、学びの姿を探究していく、という意味が込められています。
この本で繰り返し登場する「どっちもある」という考え方は、一見二項対立に見えるものを「どっちも」大切にし、バランスをとりながら、重ね合わせながら、教育を創り上げていくという考え方です。もしみなさんが、この本に納得されたのなら疑ってみる、これはおかしいと感じたのならよいところを探してみる。そんな「どっちもある」読み方をしていただければ幸いです。そして、この本が、みなさんの教育への情熱に新たな火を灯し、「次の時代の学校」を創造する「冒険」のきっかけとなることを、心から願っています。
二〇二五年七月 /吉野 竜一
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明治図書















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