- まえがき
- 1 子どもの価値観を変えるのが説得である!
- @価値観を変えると行動が変わる
- A説得の具体例
- 2 冷静に説く
- @心構え
- A事例
- B説得力向上策
- 3 ≪変心≫のきっかけを作る全体と個への説得
- @全体への説得
- A個への説得
- 4 複数学年の大勢を説得するには
- @フリを作る
- A誰を見て話すのかもポイント
- B図や映像の活用
- Cパフォーマンス
- 5 子どもとの信頼関係に基づいた説得を行う〜共感を示し,行動を喚起する〜
- @説得とは,「共感を示し,行動を喚起すること」
- A相手の事情に思いを巡らせる
- B「共感」で相手の心を動かす
- Cエピソードで行動を喚起する
- 6 説得上手は,説得しないで納得させる
- @100点が取りたい
- A上手く書きたい
- B説得上手は説得しない
- C説得せずに引き出す
- 7 認知特性に対応した対話を
- @私の生徒指導の昔と今
- A子どもの理解者として
- B記録をとる
- Cふりかえる
- D冷静さを保つ
- 8 対立をせず,寄り添う
- @2年目の大きな失敗
- A失敗から何を学ぶか
- B自分はどう映っているのか
- 9 心に余裕を持って,考えさせる言葉を使う
- @問題は起こるもの
- A何度同じことを言わせるんだ!
- B子どもの心に届く言葉って
- C子どもたちとの関係をつくるために
- D一番言いたいことは子どもの口から言わせる
- 10 行動化されてこその効果
- @生徒指導観
- A最低限持ち合わせておくべき説得力
- B理科教師なんだから……
- C合唱指導は説得の効果である
- 11 事実重視の生徒指導
- @説得を回避する
- A事実を確認する
- B事案をメタ認知させる
- Cどこまでも徹底する
- 12 生徒の今を観つつ10年後を見通して語る〜役者,易者的視座を身に付けるために〜
- @教師の「四者悟入」
- A教師の役者的な語りとは
- B教師の易者的な語りとは
- C素の自分で生徒に向き合う覚悟
- D教師の醍醐味
- 13 安心感と信頼感をもたらす教師の語り
- @個別の生徒指導で何を語るか
- A生徒の「なぜ?」に向き合う
- 14 「自然に」納得へと導く「柔らかな」説得
- @生徒指導の分岐点
- A失敗の取り戻し方
- B外から見てできること
- C「柔らかな説得」を自然に
- 15 しんどい子も周りの子も大事にする声かけ
- @「キレイゴト」に聞こえる言葉
- A居場所の確保のために周囲に迷惑をかけさせない
- B行動に目を向けさせる言葉=「なんでそうやってしまうのかな」
- C何から始めたらいいか
- 16 説得の前段階
- @「近づく」編
- A「観察する」編
- B「触れる」編
- C 「かかわりの貯金をふやす」編
- 17 相手の心をほぐすために
- @説得することのゴールとは?
- A目の前の生徒をよく見る
- B相手が何を考えているのかを推し測る
- C正論が効果を持たない理由
- D相手の心をほぐす方法
- E自分のなかに無い言葉は伝わらない
- 18 失敗から学べ!!〜子どもを可視化する〜
- @はじめに
- A自分が変わる〜学年のボスA男との一年間〜
- B辛抱強く,丁寧に。〜記録することで見えてきた変化〜
- 19 MUSTを押し付けずWANTを導き出す説得
- @生徒のWANTにつきあう
- A気持ちは受容し,行為は許容しない
- B言い分を受け止める
- C質問をする
- D最善の方法を一緒に考える
- 20 まずは,歯を磨け!〜門外不出 生徒指導「説得」成功秘伝の書〜
- @生徒指導に,水戸黄門の「印籠」はなし
- A隣人の「欠点」を愛せよ〜生徒指導の入り口編〜
- B「は〜い,【例外】に注目」
- C生徒指導の秘密兵器は,歯磨き粉/歯ブラシ/洗口液
- D「ご趣味は?」〜ひょんなことを知っている[強さ]〜
- E100%「こと」について説得する→「人格/感情」不要
- F(おまけ)「説得」を支える小さな技術
- あとがき
まえがき
教師の武器はたった二つ。即ち「言葉」と「表情」である。その場に相応しい表情を伴った言葉を一般に「語り」と言う。教師は「語り」によって子どもたちを導かねばならない。それが教師の仕事である。
生徒指導や生活指導において,教師がこうした自分らしい,それでいて子どもたちの心に響く「語り」を身につけているか否かは,生徒指導の成否を決めるほどの重要な要素である。ある教師は穏やかに,ある教師は和やかに,ある教師は毅然とした態度で,ある教師は精一杯の自分を演出しながら,子どもたちの心に響く「表情」と「言葉」を武器に語る。
しかし,最近の子どもは自分の非を認めないことが多いと言われる。相手も悪いと自分だけが悪者にされるのを徹底して拒む傾向も見られる。他人の気持ちを慮ることが苦手で,自分から見た視座だけを根拠に主張し,最後までそれを曲げない傾向もあるとされる。こうした子どもたちと対峙したとき,教師はいかに語るべきなのか。
本書は「説得」をテーマに,教師が子どもたちの意に反して生徒指導を施そうとするときの「語り」について自己分析していただくことにした。20人の中堅・ベテランの教師に,自らの教師としての「語り」の妙を披露していただく。そういう企画である。
本書が「教師力」を身につけたいと願う若い教師たちの一助となれば,それは望外の幸甚である。
/堀 裕嗣
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- 明治図書
- 生活指導をする上で大切な考え方や心構え、教師としての在り方などとても参考になった。2020/4/3020代・中学校教員
- 中学生にどう説得すれば分かるのか。そのヒントがこの本にある。2016/6/2040代・中学校教員
- 生徒指導で頭ごなしに権力を用いて話をするだけでは、生徒は納得しない。生徒に価値観の転換を図るためには、こちらも説得術を身につけないといけない。自分の人生をふりかえりながら、自分を高めつつ、子どもに説く実践を学ぶことができる。2015/12/330代・高校教員