『小学校英語サポートＢＯＯＫＳ 小学校外国語活動・外国語　とっておきの言語活動レシピ』の詳細情報

　さて，本書が「小学校外国語活動・外国語 とっておきの言語活動レシピ」と銘打っているのには理由があります。直山視学官は『初等教育資料　2021年２月号』（p.51）の中で，京都市立朱雀第二小学校がSmall Talkの授業実践で導き出した「子供の発話を促す次の７つのポイント」について，次のように紹介しています。

　�@　言おうとしている子供に言葉をかけて励ます

　�A　子供が言ったことを認め，繰り返す

　�B　子供が言ったことに相づちや反応を返し，安心感を与える

　�C　子供がつまった時に，ヒントを出す

　�D　子供に様々な質問をする

　�E　子供の言った日本語表現を英語表現に替えて言う

　�F　子供の間違いを，さりげなく修正する（下線・太字は，筆者）（省略）

　上記の項目は，外国語（英語）の授業で児童の発話を促すために指導者が行っている手法です。しかし，よく見てみると小学校の先生が毎日行っている，当たり前の指導ではないでしょうか。発言を迷っている子供に「先生，色々な人の意見を聞いてみたいな。」と励ましたり，子供の発言を認め「Ａ子さんの意見は，○○ということですね。」と繰り返したり，子供の言葉に“Oh, you like mangoes. Me, too.”と相づちや反応を返して安心感を与えたりする。外国語に限らず全ての授業に共通する，指導の原理・原則なのです。

　外国語（英語）の「言語活動」というと，非常に難しいことのように感じるかもしれませんが，上の例のように，他教科・領域で普通に行っていることを，英語でも繰り返し，丁寧に，行えばよいのです。それはまるで，おうち料理のようにシンプルだけど栄養があって，温かく，小学校外国語の授業にたくさんの栄養を与えてくれます。

　本書では，現場で指導をしている先生たちが，普段の授業で行っている「おうち料理」の技を「レシピ」のイメージで公開しています。このレシピを見ながら，それぞれの教室のテイストに合わせた，すてきなアレンジ料理がたくさんできることを願っています。

　　2021年６月　　　岐阜聖徳学園大学　／加藤　拓由