- はじめに
- 序章 音楽科改訂のキーポイント
- 資質・能力の明確化と社会に開かれた音楽科教育
- 1章 「第1 目標」のポイントと解説
- 1 音楽科の目標の構造
- 2 音楽的な見方・考え方とは
- 3 音楽科で育成する資質・能力とは
- 4 目標実現に向けた各領域及び〔共通事項〕の内容の捉え
- 2章 「第2 各学年の目標及び内容」のポイントと解説
- 各学年の「目標」のポイントと解説
- 1 「知識及び技能」の習得に関する目標
- 2 「思考力,判断力,表現力等」の育成に関する目標
- 3 「学びに向かう力,人間性等」の涵養に関する目標
- 各学年の「内容」のポイントと解説
- 4 指導事項を適切に関連付けた指導
- A 表現 (1)歌唱
- 5 知識や技能を習得・活用しながら,歌唱表現を創意工夫すること
- 6 歌唱分野において理解する知識
- 7 創意工夫を生かした表現のために必要な歌唱の技能
- A 表現 (2)器楽
- 8 知識や技能を習得・活用しながら,器楽表現を創意工夫すること
- 9 器楽分野において理解する知識
- 10 創意工夫を生かした表現のために必要な器楽の技能
- A 表現 (3)創作
- 11 知識や技能を習得・活用しながら,創作表現を創意工夫すること
- 12 創作分野においてイメージと関わらせて理解する知識
- 13 創意工夫を生かした表現のために必要な創作の技能
- B 鑑賞
- 14 知識を習得・活用しながら,考え,よさや美しさを味わって聴くこと
- 15 鑑賞領域において理解する知識
- 〔共通事項〕
- 16 音楽を形づくっている要素や構造の知覚・感受と,その関わりについて考えること
- 17 用語や記号を,音楽における働きと関わらせて理解すること
- 3章 「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」のポイントと解説
- 指導計画作成上の配慮事項
- 1 年間指導計画の作成と題材計画の基本
- 2 主体的・対話的で深い学びの実現に向けて
- 3 〔共通事項〕の適切な位置付け
- 4 各領域・分野のバランスと関連
- 5 障害のある生徒への配慮
- 6 道徳科などとの関連
- 7 年間指導計画モデル
- 第1学年
- 第2学年
- 第3学年
- 内容の取扱いと指導上の配慮事項
- 8 音や音楽と生活や社会との関わり,音環境への関心
- 9 音楽科の特質に応じた言語活動
- 10 体を動かす活動
- 11 コンピュータや教育機器の効果的な活用
- 12 学校内外における音楽活動とのつながり
- 13 著者や著作物の創造性を尊重する態度と知的財産権への配慮
- 14 歌唱教材の選択と取扱い1
- 15 歌唱教材の選択と取扱い2
- 16 歌唱教材の選択と取扱い3
- 17 変声期の理解と生徒への配慮
- 18 相対的な音程感覚と移動ド唱法
- 19 器楽教材の選択と取扱い
- 20 器楽指導で用いる楽器の取扱い
- 21 歌唱・器楽における合わせて歌ったり演奏したりする表現形態
- 22 読譜の指導
- 23 伝統的な歌唱や和楽器の指導
- 24 創作における音を音楽へと構成していく体験の重視と作品の記録の工夫
- 25 鑑賞教材の選択と取扱い
- 26 言葉で説明したり批評したりする活動
- 27 〔共通事項〕の指導
- 28 用語や記号の指導
- 評価
- 29 三つの資質・能力と評価の考え方
- 30 評価の具体的な進め方
- 4章 音楽科の新授業プラン
- 1 「さくらさくら」を箏曲に合った声で歌おう(第1学年 歌唱)
- 2 「篠笛」が長く愛好されているのはなぜだろう(第1学年 器楽)
- 3 「おかしなおかし」を音楽絵本にしよう(第1学年 創作)
- 4 音楽の特徴と文化・歴史を関連付けて理解し音楽の魅力を味わおう(第1学年 鑑賞)
- 5 全体の響きや各声部の声を聴きながら,曲にふさわしい表現を工夫して歌おう(第2学年 歌唱)
- 6 アルトリコーダーのアーティキュレーションを工夫し,自らのイメージに合った演奏をしよう(第2学年 器楽)
- 7 2つの動機を重ねたり組み合わせたりして,会話をしている様子を表す音楽をつくろう(第3学年 創作)
- 8 ポピュラー音楽のよさを味わって聴こう(第3学年 鑑賞)
- 付録 中学校学習指導要領 第2章 音楽
- 執筆者紹介
はじめに
平成26年11月20日に文部科学大臣から「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」の諮問がなされ,これを受けた中央教育審議会での議論がスタートした。このときに諮問の中で用いられた「アクティブ・ラーニング」という言葉が教育界の中で広く知られるようになったことは記憶に新しい。この後,平成27年8月26日には「教育課程企画特別部会 論点整理(報告)」が示され,17のワーキンググループにおいて,のべ219回,443時間にも及ぶ審議が重ねられ,平成28年8月26日には,「次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ」が示された。そして,平成28年12月21日に中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」が示され,平成29年3月31日に,文部科学省令第二十号,すなわち,学校教育法施行規則の一部を改正する省令が定められ,幼稚園教育要領及び小学校と中学校の新しい学習指導要領の告示がなされた。この学習指導要領は平成30年度からの先行実施を経て,小学校では平成32年度から,中学校では平成33年度からの全面実施となる。
先に述べた中教審答申の中では,2030年の社会とその社会を支えていくことになる子供たちの学びを見据えた初等中等教育の在り方を示すことが今回の改訂に課せられている使命であることが述べられており,「社会に開かれた教育課程」の理念の下,以下のような改善・充実を図ることが示されている。
@「生きる力」を具現化するための学習指導要領等の枠組みの見直し
A教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出す「カリキュラム・マネジメント」の実現
B「主体的・対話的で深い学び」の実現(「アクティブ・ラーニングの視点」)
音楽科を含む芸術教科においても,芸術ワーキンググループ等で,改めてその教育的な意義が再認識されるとともに,次のような成果と課題を踏まえた学習指導要領の改訂がなされたところである。
○ 音楽科,芸術科(音楽)においては,音楽のよさや楽しさを感じるとともに,思いや意図を持って表現したり味わって聴いたりする力を育成すること,音楽と生活との関わりに関心を持って,生涯にわたり音楽文化に親しむ態度を育むこと等に重点を置いて,その充実を図ってきたところである。
○ 一方で,感性を働かせ,他者と協働しながら音楽表現を生み出したり,音楽を聴いてそのよさや価値等を考えたりしていくこと,我が国や郷土の伝統音楽に親しみ,よさを一層味わえるようにしていくこと,生活や社会における音や音楽の働き,音楽文化についての関心や理解を深めていくことについては,更なる充実が求められるところである。
中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」(平成28年12月21日)より引用
本書では,こうした改訂を経て示された新学習指導要領の趣旨および目標や内容の具体について解説し,その具体を可能な限り示していくことで,新学習指導要領の理念に根ざした音楽科教育が日本全国の多くの学校において展開されることを期待しているものである。
具体的には,序章,1章,2章,3章において改訂のポイント,目標や内容について解説するとともに,4章では,具体的な授業モデルを示すことで,読者の理解を深め,日々の実践に生かしていただけるものと考えている。
なお,本書では,「これまでの学習指導要領」は平成20年度告示のものを,「新学習指導要領」「学習指導要領」は平成29年度告示のものを指している。
最後に,本書の作成に関わって御執筆いただいた先生方,企画の段階からご助言をいただいた明治図書出版の木村悠氏に心から感謝するとともに,本書が全国の音楽科教育に携わる先生方の1つの指針となり,これからの音楽科教育の発展に寄与できることを願いたい。
平成29年10月 /副島 和久
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- 明治図書
- もっと早く読んでおけばと思いました。2024/2/2530代・中学校教員
- 指導要領を勉強するのに役立ちました。2018/3/3020代・中学非常勤講師
- 音楽はなかなかきっちりした先生がいないので、このような本を使って勉強せざるを得ないのでありがたい。2017/11/1930代・中学校教員