現代につなぐ歴史授業デザイン

現代につなぐ歴史授業デザイン

新刊

「好き」を超えた学びの場へ、公民的資質を育む歴史授業の探究

歴史好きのためだけではない、すべての学習者に開かれた歴史授業へ。学習者が自らに関わる問題として歴史を学ぶための「現代につなぐ」歴史授業デザインについて、その理論から教材開発、「人種」「戦争」「記憶」「地域」など多様なテーマの授業モデルを収録した1冊。


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電子版予価: 2,237円(税込)

9/10刊行予定

ISBN:
978-4-18-333726-9
ジャンル:
社会
刊行:
対象:
中・他
仕様:
A5判 224頁
状態:
在庫あり
出荷:
2025年9月1日

Contents

もくじの詳細表示

はじめに:実用主義歴史教育論の可能性
1章 【概説編】現代につなぐ歴史授業デザイン
1 「現代につなぐ歴史授業デザイン」とは
―歴史教育における現在主義を問い直す―
2 「歴史家とは誰か」
―教育をめぐる歴史実践と修正主義―
3 困難な歴史と東アジアにおける歴史教育
2章 【実践編】現代につなぐ歴史授業モデル
1 現代の「人種」や植民地主義の歴史的背景を問い直す
[肌の色で階層化される社会] 内なる加害性を見つめる―歴史教育を介した人権意識の醸成―
1 歴史的背景と植民地人のアイデンティティをどう映し出すか
2 「現代につなぐ」歴史授業づくりのポイント―視点と工夫―
3 指導計画
4 指導展開例
5 授業評価と人権意識の醸成をどのように両立させるか
2 生徒の内なる「帝国主義」を問い直す
[現代的な諸課題の形成と展望] D(4)において,生徒が歴史を「自分ごと」化して捉えるための各部の(4)の構成
1 歴史総合と「現代的な諸課題の形成と展望」
2 生徒の「内なる帝国主義」と近代化
3 生徒の「内なる帝国主義」と国際秩序の変化・大衆化
4 「現代につなぐ歴史授業」
3 歴史的に抑圧されてきた「声」を問い直す
[アイヌを継承するアイヌと継承しないアイヌ] マイノリティのアイデンティティを歴史から理解する試み
1 「アイヌ否定論」に対抗するために
2 アイヌを継承するアイヌと継承しないアイヌ
3 指導計画
4 現代を生きる私たちの文脈を問い直す
[時代・地域を超えてなぜ人々は『聖地』へと『巡礼』するのだろう?] あなたと分かり合うために,「現代に」「キーワードで」「専門家と」「生徒の生活空間と」つなぐ
1 教材研究の進め方
2 「聖地巡礼」の歴史授業づくりのポイント―視点と工夫―
3 指導時のポイント
4 指導展開例(3時間構成)
5 「生徒の育ち」を捉える評価の工夫
5 前近代の価値観に立脚することで,現代を問い直す
[交易の拡大は世界の繁栄に貢献したと言える?] 繁栄とは何か?―歴史的エンパシーの視点から―
1 はじめに
2 実践の概要と指導計画
3 生徒の変容の分析
6 現代の当たり前の概念を問い直す
[なぜ『各国史』ではなく『諸地域の歴史』なのか] 前近代史で「自と他を区別する世界観」の相対化を目指す世界史探究
1 「現代につなぐ」歴史教材研究のポイント
2 「現代につなぐ」歴史授業づくりのポイント―視点と工夫―
3 指導計画
4 指導展開例
5 「生徒の育ち」を捉える評価の工夫
7 戦争と現代の関係性を問い直す
[恐慌と第二次世界大戦] 戦争体験に向き合うとき問われているのは聴き手である私たちの姿勢である
1 「現代につなぐ」歴史教材研究のポイント
2 「現代につなぐ」歴史授業づくりのポイント―視点と工夫―
3 指導計画
4 指導展開例
5 「生徒の学び」の様子
8 過去から継続する不正義の構造に抵抗する
[国際秩序の変化や大衆化と私たち] 他者の過去を引き受け,「なかったことにしようとする暴力」に抗う
1 なぜ社会科教育/歴史教育は性暴力の問題を扱わなければならないのか
2 ポピュリスティックなレリバンス論が閉ざす関心領域
3 過去から継続する構造的不正義に埋め込まれた自己を認識する
4 実践の成果と課題
9 戦争の記憶を問い直す
[歴史の扉][大衆化と私たち] 「歴史と記憶」を視点として,原爆資料館の展示を問う
1 はじめに―歴史総合×平和学習の可能性―
2 指導計画と実践
3 指導展開例(実物展示主義を問う)
4 おわりに―生徒の学びの姿から―
10 地域の記憶を問い直す
[歴史と私たち] 地域の語られない負の歴史に焦点を当てる
1 「現代につなぐ」歴史教材研究のポイント
2 「現代につなぐ」歴史授業づくりのポイント―視点と工夫―
3 指導計画
4 指導展開例
5 授業後の展開
6 歴史実践
11 わたしたちのルーツを批判的に問い直す
[縄文は日本のルーツか?] 一国史的な歴史の見方と歴史実践を批判的に捉える
1 縄文(人)は「日本(人)」のルーツ?
2 時代区分と現在主義
3 指導計画
12 現代の地域認識を問い直す
[核開発の歴史と現在・私たち] 歴史と自分との関わりを考える―あなたは,核開発の歴史とどう付き合っていきますか?―
1 太平洋が見えているか―私たちの“まなざし”を問う―
2 「現代につなぐ」歴史授業づくりのポイント―視点と工夫―
3 授業開発の方法
4 指導展開例(2時間構成)
5 この授業で取り扱いたい資料
6 生徒は何を考えたか?―評価にかえて―
13 メタ・ヒストリーの視点から諸外国の人々の歴史認識を分析する
[『鄭和』は何族の英雄か?] 諸外国の人々の歴史への意味づけを分析し,主観的で動的な「解釈」として歴史を捉える
1 同じ歴史,異なる意味づけ
2 諸外国の人々の歴史認識を教材化したメタ・ヒストリー学習
3 メタ・ヒストリー型世界史学習の単元開発―「鄭和」を事例として―
4 単元「『鄭和』は何族の英雄か?」の指導計画
5 むすびに
14 ポップカルチャーから歴史を学ぶ視点を問い直す
[現代的な諸課題の形成と展望] 映画や音楽をテーマにした歴史総合の授業
1 ポップカルチャーに注目した歴史実践
2 教材化の視点と授業の実際
3 ポップカルチャーを題材にしたレポートの具体とその意義
4 ポップカルチャーを題材にした歴史授業の課題
15 地名の由来から地域の現状を問い直す
[地名から見る地域の歴史] 地域の現代的な課題を地理的・歴史的に分析する
1 地名は情報の宝庫
2 漫画(ドラマ)「正直不動産」の舞台を授業化する
3 指導計画
16 差別が生じる社会構造を比較・考察する
[国際秩序の変化や大衆化と私たち] 複数の歴史的事例を比較し,共通点を考える
1 比較から見える歴史と現代―授業づくりの視点―
2 差別の構造を探る授業実践例
3 指導計画
4 指導展開例
5 授業で活用する資料について
6 授業のさらなる発展にむけて
3章 【鼎談編】現代につなぐ歴史授業デザイン その課題と展望
1 現在主義と前近代を学ぶ意味
―加藤公明の徳政一揆実践をどう評価するか?―(金谷蕗×須賀忠芳×渡部竜也)
2 歴史授業における生徒の学びをいかに評価するか?
―美那川実践を通して考える―(美那川雄一×武井寛太×星瑞希)
4章 【総括編】現代につなぐ歴史授業デザインの多様なねらいと類型
1 歴史教師の仕事とは
2 ねらいに準ずる「現代につなぐ歴史授業デザイン」の類型
3 「現代につなぐ歴史授業デザイン」と教師の政治的中立性
おわりに

はじめに
実用主義歴史教育論の可能性

(1) 福沢諭吉『学問のすゝめ』に見る実用主義教育論

 最近まで1万円札の肖像は福沢諭吉であったが,これは福沢が近代日本社会の政治・社会・学問の思想に大きな影響を与え,今なお多くの人々から支持されていることの証であろう。その福沢は明治時代の初めごろ,高等小学の生徒(=現在の中学生くらい)に向けて,『学問のすゝめ』という書物を書いており,本書の読者の中にも手にしたことがある方も多いだろう。

 その本の中で福沢は,日常生活に役立つ実学こそが個人や国家の独立のためには大事であると論じている。すなわち福沢は,学問には実益に遠い学問と社会において役立つ実学とがあり,前者は儒学や漢詩,和歌,古文解読など,後者は読み書き算盤に加えて,地理学,物理学,歴史学,経済学,修身学などであるとして,実益がない前者の学問は後回しにし,もっぱら取り組むべきは後者であると述べている。なお,福沢の考える実学とは,政府に対峙して同位同等の立場になる力を育成するという,今で言うところの主権者教育の目的にまで及ぶものであるから,自ずと社会や自然の道理を学ぶことができる学問を含むものとなる。福沢曰く,実学は貴賤の上下なく誰もが身につけるべきものであり(つまり義務教育で必修とすべきものであり),これを身につけることによって初めて人々はそれぞれの社会での役割を果たすことができるようになるので,人々は個人としても家族や共同体の一員としても独立できる。また人々は理性的に考察するようになるので政府は苛烈な統治を必要とせず(愚民相手だと道理が通じないので法は苛烈になる),世が安定すると論じる。このような福沢の教育論は,本人の経験に依るところもあるだろうが,同時に19世紀の英米の(後の社会科教育論にもつながる)リアリズムな教育論にも影響を受けていると考えられる。

 さて,この『学問のすゝめ』の中で福沢は歴史学について,世界中の国々の昔から現在に至る流れや世の道理を探究する実学として期待し,古文解読とは別ものとしている。だが,現代社会において実際にはどのくらいの人間が歴史学をこうした実学と捉えているのだろうか。もしかしたら最近の歴史学者は以前に比べるとずっと,自らの研究テーマの今日的意味を問い,今日的な問題関心から歴史と向き合うようになってきているかもしれない。問題はむしろ中高の歴史教師の方にあるのではないだろうか。彼ら/彼女らの多くは,大学の卒論や修論で,豪農や商家に残る江戸時代の日記や帳簿といった史料,もしくは寺社が保管していた室町時代の荘園等の権利書の記録の史料を1つか数個ほど解読することに取り組んでいる。これらの多くは現代的な問題や主題から研究するでも,現代に至る流れを探るでも,世の道理を探究するでもなく,むしろ福沢が実益のない学問に挙げた古文解読に似たものである。もちろんこれが歴史学の基礎研究として大切であることは筆者らも承知しているつもりだが,問題は中高の歴史教師の多くが,こうした実学になる前段階の歴史研究しか経験していないことにありそうだ。昨今の構成主義歴史教育(=歴史家のように一次史料を読むことを重視した教育)ブームは,こうした中高教師の歴史学経験とマッチしながら,歴史教育を歴史事実の暗記から解放して史資料解釈へと性格を転換しつつも,これまでと同様に実益から遠い存在としてしまう。


(2) 北米での構成主義歴史教育や歴史的思考をめぐる議論

 構成主義歴史教育は実はかなり長い歴史を持っている。しかし同時に,特に北米では,その教育的意義に疑義が頻繁に呈されてきた。例えば,構成主義歴史教育は,批判的思考力やメディア・リテラシーを育成するとしばしば我が国では意味づけられるが,哲学者ジョン・マクペックは批判的思考には主題固有性があり,「私たちは主題Xについての批判的思考ができるという以上のことはできない」と主張する。それは,主題Xについて説明する命題Aの真偽を判断するには,主題Xに関連する知識がかなり必要になることに由来するからと言う。この説に基づけば,例えば中世の近畿周辺の荘園についての批判的思考ができるからと言って,古代ギリシアや「南京大虐殺」についての批判的思考ができることを特に保証するものではなく,ましてや防衛費をめぐる昨今の議論についての批判的思考ができることを何ら保証するものでもないことになる(渡部,2024も参照のこと)。

 一方で認知心理学者サム・ワインバーグは,卓越した歴史学者の間には,その研究主題とは関わりなく一定の共通した思考作法が存在することを証明し,それを歴史的思考と呼んで史料読解において一定の役割を果たす重要な作法であると主張したが,その歴史的思考を用いても,現代のデジタル情報のフェイク・ニュースを見破ることができるとは限らないことを,おそらく彼の期待を裏切る結果になってしまった実験から証明してしまった。すなわち,彼の開発した「歴史家のように読む(Reading Like a Historian)」で学んだ高校生がフェイク・ニュースに騙され,また歴史学者も怪しげな情報源を信用してしまったのである。ワインバーグらによると,歴史学者は1つの史料の正誤の判断や解読をするときに,なるべくバイアスを持たずにその史料をまずはじっくり全体像を眺めて吟味する「縦読み(read vertically)」を行うのに対して,ウェブサイトの情報の正誤を判断する専門家のファクトチェッカーは,サイトの情報を見る前に,そのサイトがどのような評価を外部から受けているのかチェックをして,サイト自体の信頼性やイデオロギー性について評価する「横読み(read laterally)」を行うのだそうだ(藤代,2021)。

 子どもたちの歴史教育への意味づけという観点から構成主義歴史教育に問題提起する研究もある。社会科教育学者のバートンとレヴスティクは北米や英国の構成主義歴史教育を行う教室では,生徒たちがしばしば証拠もないのに辻褄の合うストーリーを立てて史料と史料とを結びつける姿を確認し,一方で北アイルランドの生徒たちは証拠に基づいた慎重な歴史解釈を試みる傾向にあったことに注目した。バートンらは正統的周辺参加論に依拠しつつ,次のような社会的文脈の違いが背景にあると説明する。すなわち,北アイルランドではカトリックとプロテスタントの歴史観が対立し,その光景は町中の壁画などで日常でも目にすることができる。こうした歴史観の対立は両者に深刻な対立と暴力の連鎖を生む1つの原因となってきたが,生徒たちの多くは構成主義歴史教育を通して歴史に証拠と論拠を持って慎重に何が正しいのかを判断したいと考えている。これに対して,北米や英国にはこうした歴史観をめぐる集団間の深刻な対立が,一部の歴史主題を除いて特に意識されていないので,生徒は歴史家のように思考する必要を感じにくい環境にある。「合衆国において歴史を学ぶ理由に歴史家のように思考するためと答える子に私たちは未だに出会ったことがない」とバートンらは述べている。なおバートンらは北米で構成主義歴史教育が成立しないと主張しているのではなく,例えば黒人と白人の間で歴史観が異なると思われる公民権運動や人種差別などの歴史主題であれば違った展開になる可能性があることも指摘している。


(3) 本書のねらいと構成

 ヘイドン・ホワイトは専門的歴史家による科学的アプローチによって生み出される過去を「歴史的な過去」と呼び,これに対して人々が日常での実践で参照し用いる,そして人々が日常の実践的な問題を解決するものとして利用する過去を「実用的な過去」と呼んで,特に後者に注目した。そして最近の北米の社会科教育学者たち,例えば前述のバートンらも,歴史学者の歴史との向き合い方を絶対視するのではなく,それを人々が歴史と向き合う様々な形態の1つに過ぎないと捉え,多様な人々による「実用的な過去」に教育的な可能性を求めようとするようになった。

 筆者(=渡部)はこうした近年の北米の歴史教育の動向を『Doing History:歴史で私たちは何ができるか?』(清水書院,2019)を著して伝えた。同書はまた,歴史修正主義への対抗や歴史的・批判的思考の育成などの大義名分を持って構成主義歴史教育を盲目的に支持することを戒めるのと同時に,その有効活用のあり方を再検討すること,また一方で庶民の日常での歴史を用いた実践的行為の可能性と同時に危険性も,多元主義的な民主主義社会の形成,子どもの歴史の学びへの意味づけ,安直な現在主義の回避などの視点から再検討することをねらいとした。これらは平和で民主的な国家・社会の形成者を育成するという目的のもとで再編されることになった新学習指導要領の地理歴史科や社会科の精神とも基本的に合致する。そして2024年度には,明治図書出版のご厚意から,『社会科教育』誌のリレー連載や10月号の特集にて高校教師とともに具体的な授業の提案を通して,『Doing History』の世界を発展的に継承する機会を得た。

 本書はこのリレー連載や10月号の特集にて執筆をお願いした先生等も含めて構成した。本書は4部構成からなる。概説編の1章では「現代につなぐ歴史授業デザイン」のあり方を原理的に考察した。1節(星瑞希)では,過去と現代をつなぐことに対する最大の批判となる「現在主義」の問題を理論的観点と学習者の視点から論じる。2節(コ原拓哉)では,本書に収録したいくつかの授業デザインの中でも重視されている,生徒の主体的な歴史解釈を行う授業に対する最大の批判である歴史修正主義を誘引するのではないかという点について論じる。歴史修正主義の問題とも係って,現代につながる歴史は現代において論争的になっているものが多い。逆に言えば,論争的な歴史こそ過去と現代を切り離せない問題,テッサ・モーリス=スズキの言葉を借りれば,「過去は死なない」問題なのである。近年,こうした歴史問題は「困難な歴史(difficult history)」として概念化されている。特に,日本においては東アジア諸国との歴史問題は「困難な歴史」と言えよう。日韓の歴史問題や歴史教育について研究している金鍾成,車ボウンは困難な歴史と東アジアにおける歴史教育のあり方について考察する(3節)。

 2章は,実践編として多様な「現代につなぐ歴史授業モデル」を示す。連載企画および本書では,高校教師に執筆を依頼する際,コンセプトの提示にとどめ,実践の詳細には踏みこまなかった。その結果,バリエーション豊かな実践が掲載されることとなった。また,編著者である星と渡部は授業デザインの原則を示すだけで,具体的な授業事例を示さないことは無責任であると考え,それぞれ歴史授業を開発した。読者には編著者らの実践も含め,「現代につなぐ歴史授業モデル」を批判的に検討していただきたい。

 3章では,鼎談編として2本の鼎談記録を収録した。1節では,連載企画(2025年2月号)にて加藤公明の「徳政一揆を起こした農民は有罪か」を批判的に継承した金谷と,加藤実践を現在主義の問題含め厳しく批判した須賀,編著者の渡部をメンバーとし,「現在主義」と教材研究のあり方を論じた。2節では,生徒が有する歴史ナラティブに着目して指導を行う必要性を提起した美那川(2024年12月号)と,『歴史総合・日本史探究・世界史探究の授業を実践するためのヒント:ジグソー法による指導と評価の一体化』(山川出版社,2024)などで,学習者の見取りを重視した実践を行ってきた武井,編著者の星で歴史授業を実践・評価する際に生徒の学びをいかに見取るかについて議論した。

 4章では総括編として,1章や3章の議論を踏まえつつ,2章に納められた実践から帰納的に類型化を行い,「現代につなぐ歴史授業デザイン」の多様なねらいと類型を提示した。そのため,先に4章を読むことで全体像を把握した上で,2章の個別実践を読むという読み方も有効である。

 本書は高校歴史教師と大学における教科教育学者である編著者らによって構想,実践された授業デザインを掲載しており,第一の読者は,高校歴史教師や歴史(社会科)教育研究者,高校教員を目指す学生や大学院生を想定している。しかし,本書で示す授業デザインは小中学校の社会科でもアレンジ次第では有効であると考えている。歴史教育に関心のある幅広い諸氏に手に取っていただきたいと考えている。



著者紹介

星 瑞希(ほし みずき)著書を検索»

1993年福島県生まれ。北海道教育大学札幌校准教授。博士(教育学)。歴史教育。日本社会科教育学会幹事,高大連携歴史教育研究会第5部会副部会長。

渡部 竜也(わたなべ たつや)著書を検索»

1976年広島県生まれ。東京学芸大学教育学部准教授。博士(教育学)。日本社会科教育学会評議員,全国社会科教育学会理事。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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