- はじめに
- 序章 総合的な学習の時間改訂のキーポイント
- 1 進化し,教育課程の中核を担う総合的な学習の時間
- 1章 「第1 目標」のポイントと解説
- 1 資質・能力の三つの柱と目標の改訂
- 2章 「第2 各学校において定める目標及び内容」のポイントと解説
- 1 目標のポイントと解説
- 2 内容のポイントと解説
- 3 総合的な学習の時間で育成を目指す資質・能力
- 4 他教科等で育成を目指す資質・能力との関連
- 5 日常生活や社会との関わりの重視
- 6 探究課題の解決(現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題)
- 7 探究課題の解決(地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題)
- 8 探究課題の解決(児童の興味・関心に基づく課題)
- 9 探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力
- 3章 「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」のポイントと解説
- 指導計画
- 1 全体計画の作成
- 2 年間指導計画の作成
- 3 単元計画の基本
- 4 特徴がある単元計画の例
- 学習指導
- 5 比較,分類,関連付ける技法の活用
- 6 ICTの活用
- 7 体験活動等の充実
- 8 指導体制の工夫
- 9 地域教材,学習環境の活用
- 10 調査活動の充実
- 11 プログラミング体験の充実
- 評価
- 12 評価の基本
- 13 児童の学習評価
- 14 教師の学習指導の評価
- 15 各学校の指導計画の評価
- 4章 総合的な学習の時間の新授業プラン
- 第3学年 新授業プラン
- 1 豆腐屋さんの生き方に学ぶ(全55時間)
- 2 蚕でつながる地域の輪(全55時間)
- 3 ホタルが光輝く町(全55時間)
- 第4学年 新授業プラン
- 4 体験!発見!発信!エバーグリーン(全70時間)
- 5 自分たちのごまだし料理をつくろう(全50時間)
- 6 住吉川の美しさを取り戻そう(全70時間)
- 第5学年 新授業プラン
- 7 サケと共に生きる街(全25時間)
- 8 チャレンジ!なかよしプロジェクト(全20時間)
- 9 レッド・データ・ブック(全25時間)
- 第6学年 新授業プラン
- 10 自分たちの生活を改善する手段として映画を制作するプロジェクト(全70時間)
- 11 自分たちの地域(西山形地区)の活性化プロジェクト(全70時間)
- 12 学校の中庭を素敵な場所にするプロジェクト(全70時間)
- 付録 小学校学習指導要領 第5章 総合的な学習の時間
- 執筆者紹介
はじめに
今回の学習指導要領の改訂では,いくつかの新しいキーワードが生まれた。
「社会に開かれた教育課程」
「育成を目指す資質・能力」
「アクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善」
「主体的・対話的で深い学び」
「カリキュラム・マネジメント」
などである。そのどれもが総合的な学習の時間と大きく関係している。
児童一人一人の豊かな学びの実現に向けて,総合的な学習の時間では,地域を学ぶだけではなく,地域で学び,地域に暮らす人々と共に学ぶことが行われてきた。まさに,社会に開かれた教育活動を最前線で展開してきた時間と考えることができる。総合的な学習の時間が,地域を元気づけ,地域活性化に結び付いたとする事例は枚挙にいとまがない。
また,総合的な学習の時間こそが,実際の社会において活用できる資質・能力の育成を目指して創設された時間であることは,疑う余地のないところである。前回改訂では「育てようとする資質や能力及び態度」と表現していた。
そして,そこでは,学習者である児童主体の能動的な学習としてのアクティブ・ラーニングが行われ,児童の学びは主体的・対話的で深い学びが具現されてきた。探究のプロセスを明示し,児童の主体的で,対話的で,深い学びを実現することを,他教科等に先駆けて先導的に進めてきた。今期改訂において,各教科等がプロセスを整理し直し,学習指導要領の改訂を議論してきたことは,総合的な学習の時間の成果が教育課程全体に影響を及ぼしてきたことを端的に物語っている。
カリキュラム・マネジメントの考え方も,総合的な学習の時間で熟成され,確かに成熟してきたものと捉えることができよう。これまでの学習指導要領はナショナルスタンダードとして全国一律に学ぶべき目標と内容を示していた。しかし,総合的な学習の時間は,それらを各学校において定めることとした。各学校においてカリキュラムをデザインすることが必然的に生まれ,それらを実施し,評価し,改善していくサイクルを回すことが行われてきた。また,学校の内外における豊かな教育資源を利活用することも総合的な学習の時間が得意とするところであった。
キーワードと総合的な学習の時間とがつながり,連動していることは,視点を変えれば,総合的な学習の時間の取組から改訂のキーワードが生成されたと考えることもできる。やはり,今期改訂の中核は総合的な学習の時間であり,そこでの成果やその根底に流れる考え方が,教育課程全体に大きく広がっていった学習指導要領の改訂と考えることが妥当であろう。
本書は,明治維新以来とも言われる学習指導要領の大改訂において,総合的な学習の時間の改訂についての解説を「新学習指導要領の展開」として編集したものである。少しでも授業に直結するイメージを多くの読者の皆さんにお届けすることができるよう心がけた。文部科学省が作成する「学習指導要領解説」と並べてお読みいただければ,理解はさらに促進されることであろう。
なお,本書の作成に関しては,全国各地で総合的な学習の時間の普及と発展に尽力いただいている方々に執筆をいただいた。また,全体の編集は明治図書の茅野さんに支えていただいた。この場を借りてお礼を申し上げたい。
最後に,本書が,総合的な学習の時間の実践はもとより,日本全国の教育活動を豊かに展開することに寄与するものとして,少しでも役に立てることを願っている。
平成29年10月 /田村 学
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- 明治図書
- 学習指導要領のポイントが把握しやすく、実践例もありわかりやすい2022/6/1940代・教委
- 総合的な学習について体系的にまとめられていると思いました。2019/5/1250代・大学勤務