中学校社会サポートBOOKS
1人1台端末に対応した中学校社会のパフォーマンス課題

中学校社会サポートBOOKS1人1台端末に対応した中学校社会のパフォーマンス課題

タブレットが生きるパフォーマンス課題&評価の事例が満載!

1人1台端末を効果的に活用し、授業の質をより高めるようなパフォーマンス課題の具体例を集めた一冊。「思考ツールを活用し,聖徳太子の業績を分析しよう」「政見放送の動画をつくって,自身の政策を訴えよう」など、三分野の主要単元における事例を多数収録しました。


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ISBN:
978-4-18-326723-8
ジャンル:
社会
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 160頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年6月25日

CONTENTS

もくじの詳細表示

はじめに
本書の使い方
地理的分野
1 世界の地域構成 宇宙から地球を眺めている感覚で世界の地域構成を大観しよう
2 日本の地域構成 時差マスターシステムを活用して,時差の理解を深めよう
3 世界各地の人々の生活と環境 世界各地の特色をマトリクスに整理し,気候と生活との関連を追究しよう
4 世界の諸地域 南アメリカ州 多様な立場の人の思いを可視化しよう
5 地域調査の手法 デジタルマップを活用して,地域調査の手法を身に付けよう
6 日本の地域的特色と地域区分 ブログを使って,身の回りで起こっている気候変動の危機を訴えよう
7 日本の諸地域 中国・四国地方 トライアングルチャートを使って,3つの要素の関係を明らかにしよう
8 地域の在り方 地域の課題を追究し,よりよい地域の在り方を構想しよう
歴史的分野
9 身近な地域の歴史 身近な地域の歴史について調べた成果を発表しよう
10 古代までの日本 古代 思考ツールを活用し,聖徳太子の業績を分析しよう
11 中世の日本 鎌倉時代 中世の歴史的人物の力を分析しよう
12 中世の日本 室町時代 室町時代連歌の宴を開き,室町時代の特色を和歌で表現しよう
13 近世の日本 織田・豊臣の天下統一 安土桃山将棋を行い,織田・豊臣による統一事業を振り返ろう
14 近代の日本 江戸期の文化 元禄文化と化政文化を比較するデジタルパネルをつくろう
15 近代の日本 明治の近代化 今でも使われる明治文化のすごさを表現しよう
16 近代の日本 昭和と第二次世界大戦 ポスターをつくり,戦争の悲惨さや反戦の決意を表現しよう
17 現代の日本 マトリクスで戦後の歴史を整理し,現在と未来の日本や世界の在り方を構想しよう
公民的分野
18 私たちが生きる現代社会と文化の特色 現代社会新聞をつくり,私たちが生きる現代社会の特色を広く伝えよう
19 市場の働きと経済 供給と価格との関係を示すグラフ資料をつくろう
20 国民の生活と政府の役割 あなたが考えた予算編成書をつくろう
21 基本的人権と日本国憲法 デジタル意見交換会に参加して,死刑制度の是非について考えよう
22 民主政治と政治参加 政見放送の動画をつくって,自身の政策を訴えよう
23 世界平和と人類の福祉の増大 課題や対策を考察し,国際社会における日本の役割を構想しよう
24 よりよい社会を目指して 卒業論文を公開し,社会科学習3年間の学びを広く共有しよう

はじめに

ICT機器の活用を振り返って〜電子黒板の導入から1人1台端末の配備まで〜

 令和3年4月,コロナ禍によるGIGAスクール構想実現の前倒しで1人1台端末が小中学校に配備された。それから2年が経ち,1人1台端末は,授業で欠かせない文房具の一つとして定着しつつある。

 中学校においても,すでに小学校でタブレットを頻繁に使ってきたという生徒が入学してきた。スマートフォンやパソコンなどデジタルデバイスは家庭においてもはや家電並みの当たり前の物となり,それらに触れることは生徒の日常となっている。授業を担当される先生方においても教職員の平均年齢が一気に若返り,ICT機器の活用が日常のこととなっている世代の先生が急増していることだろう。もはやICT機器活用が当たり前の生徒を,ICT機器活用が当たり前になっている先生が教える時代になってきた。こういった流れによるのが,GIGAスクール構想であり,1人1台端末の活用であると考える。

 しかし,急にICT機器が広がったのではない。それなりの年月と段階を経て今に至るのである。当たり前ということはとてもありがたいことなのであるが,当たり前が続くと,その価値や意味を忘れがちになる。平和の大切さや人権のありがたみを,当たり前の中で見失ってしまうように,ICTのありがたみも当たり前の中で見失いがちなような気がする。私はICT機器が教室に入ってきたそのちょうど前後に授業を行っていたので,ICT機器のありがたみや,ICT機器の広がりによる授業の変化を,身をもって感じてきた世代である。もはや当たり前となった1人1台端末の活用事例をご紹介する前に,私が経験してきた大きな変化をお話ししたいと思う。

 今から15年くらい前のこと。教室に教育ICT機器が入り始めた頃のことである。当時,私が勤務する中学校にも電子黒板機能の付いた大型モニターが1台,電子黒板機能のない大型モニターが2台入った。当時の私は,黒船来航を遠くで眺める江戸庶民のように,その代物を「デ・ン・シ・コ・ク・バ・ン?」という感じで,はじめて見るものへの恐怖と好奇心が入り混じった気持ちで眺めていた。すでに電子黒板を活用していた社会科の仲間からその活用法を教えてもらったところから私の教育ICT機器利活用が始まる。その機能性や効率性などICT機器がもつこれまでの手法にはない利点に触れ,私の授業にとってICT機器は不可欠なものとなっていった。

 しかし,そこで不安がよぎる。自分が独占している電子黒板を,他の先生から貸してくれと言われたらという不安である。私の授業にはもうなくてはならないものなのであるが,学校の共有物であるから「貸さない」というわけにはいかない。

 教育ICT機器の利活用とは,それだけ授業を構成する重要な要素で,共有する性質のものではないと実感していた。この頃には,「本当に電子黒板の利活用を推進するなら,すべての教室に電子黒板を設置しないと進まない」という夢みたいなことも真剣に言っていた。平成25年4月,異動した学校で私の「夢」は叶った。異動した先は,すべての教科の授業を専用教室で行う教科センター方式の学校で,すべての教室に電子黒板機能付きのプロジェクターを備えていた。私は水を得た魚のように,ICT機器をふんだんに活用する授業をつくっていったのである。

 時が流れ,教育ICT機器活用に次の大きな波が来る。「タブレット」の導入である。当時の勤務校は,地区の教育ICT機器活用研究校だったので,他の学校に先駆けて平成26年にタブレットが導入されたのである。このことは,教育ICT機器の普及において大きな転換と捉えている。それは,授業者が活用するICT機器の普及に代わる,学習者が活用するICT機器の普及だからである。


社会科でのICT活用の進化・教育ICT機器の普及においては大きな転換がある(図省略)


 授業者が活用するICT機器は,どうしても提示が中心となるのであるが,学習者用ICT機器は提示だけでなく,活用の幅が格段に広がる。この幅は,授業づくりの幅の広がりである。授業づくりの選択肢が大きく広がることにつながる。しかし,ここでも課題に直面することになった。

 当時の勤務校に最初に配備されたタブレットの数は,600人弱の生徒在籍数に対してたったの40台だった。学級数で言うと,40人学級が15学級ある学校規模に対し1学級分ということである。つまり,この40台を全校生徒で使い回すということなのである。その後,PC教室にあったデスクトップPCの入れ替えに際しタブレット型のPCに交換されたが,それでも80台であるから,共有物という性格は変わらない。当時はタブレットの使用を長期(1年間)と短期(3か月くらい)の2つで管理しながらやりくりしていた。ここでも「本当にタブレットの利活用を推進するなら,すべての生徒にタブレットを持たせないと進まない」という夢みたいな思いを抱いていた。

 この頃,教科センター方式の関係で視察させていただいた京都にある私立の中学校に行ったときにもタブレットの話題になった。話の中で,タブレットの活用はすべての生徒が持たないと進まないということもあり,その中学校では入学時に3万円で学用品として購入してもらっているという説明を聞いたときはついため息がこぼれた。帰路の新幹線ではこのようなことを考えていた。

 「私立の中学校はそれで解決だけど,公立の中学校はどうしたらいいのだろう…」

 この後,経済産業省の方が,勤務校へ視察に来られたときに「タブレットを文房具の一つにする」というお話を伺った。そのときは正直,その意味を理解しきれなかったが,もうこの頃から大きな構想が動いていたのかと今になって思う。それは夢を実現する構想である。


平成28年頃の授業風景:共有物であるタブレットPCを2人1台で活用している(写真省略)


 この後,いわゆるGIGAスクール構想の話題が大きくなっていく。「小中学生にタブレットを配布し1人1台端末の環境を創る」これは,まさに「タブレットを文房具の一つにする」ということであり,「本当にタブレットの利活用を推進するなら,すべての生徒にタブレットを持たせないと進まない」という夢の実現である。端末を共有することによって,アナログによる協働が促進するというメリットもあったが,600人弱の全校生徒に40台という厳しい環境で活用していたときには4人に1台とか2人で1台という使い方でしのぎ,無理をしたりアイデアを妥協したりするという残念なことも多くあった。

 その我慢の状態から一気に脱する日が来たのである。勤務校は研究校であったこともあり,他校に先駆けて令和2年11月に1人1台端末が配備され,私も令和3年1月からの授業で活用を始めた。それは,2回目の夢の実現の瞬間だった。



1人1台端末が創る未来の授業

 1人1台端末の配備で生徒に手渡された端末は,以前のタブレットPCとは似て非なるものだった。これまで配備されていた端末と大きく違う点は,クラウド上で活用することにある。このことは,タブレット活用の展開に大きく影響するところであり,かつての限られた台数のタブレットを生徒が共有していた頃とはまったく異なる点である。

 情報はすべてクラウド上にあるため,端末がどこにあっても活用が可能である(さらに言うならばデバイスすらも選ばないのであるが,生活指導上スマートフォンや私物PCの持ち込みや使用に制限がある中学校では自由なデバイスの利用についてはまだハードルがある)。これは学習する場所が教室に限定されず,自宅でもどこでも可能だということである。さらに学習する時間も選ばない。いつでもどこでも学習が可能になった。これによって生徒は主体的に学習を計画・実行して成果を提出できる。この自由度を生かした授業展開が可能である。1人1台端末時代の授業は,学習する場所と時間を生徒が選択できる授業となった。

 また,共有も自在であるということも大きいだろう。生徒がデバイスを持っているので自席にいながら誰とでもつながれる。協働学習は,机を集めた班活動のスタイルから脱却したのである。このことは,教室にいなくても授業に参加できるということにもつながる。何かしらの事情で学校に行けなかったり教室に入れなかったりしても,オンラインで授業を受けながらクラウドで協働作業に参加することができるのである。1人1台端末の活用は,深刻化する教育課題の解決に貢献することだろう。このように1人1台端末の配備は,授業の質を大きく変えることにつながるのである。



本書をお読みいただく皆様へ

 本書は1人1台端末の活用とパフォーマンス課題の活用の2つを掛け合わせた,少々欲張りなテーマで執筆を進めてきた。

 1人1台端末が小中学校に配備されて2年が経つが,その利活用が求められている。これは,1人1台端末の配備にあたって国,都道府県や区市町村といった自治体は,莫大な予算を投じていることもあるだろう。これら予算の源泉は税金であるので,効果的な活用を推進し,生徒の学力向上をはじめとした成果を上げることは必須であり,当然の要求である。であるので,今回はどちらかと言うと,1人1台端末の活用を軸にしながら,パフォーマンス課題を活用した授業づくり,単元づくりを考えたが,これは,あくまでも社会科の授業としての目標達成のための授業づくりを念頭に,1人1台端末を効果的に用いたということである。この点をぜひ,意識してお読みいただきたい。

 1人1台端末の活用は,あくまでも手法であるので,1人1台端末の活用を目的にした授業とならないようお気を付けいただきたい。今回お示しした活用の仕方は,その単元の授業でしか使えないというわけではない。他の分野,他の単元でも活用できるものがたくさんある。また,すべて事例通りにというわけでもない。部分的に引用したり,変化を加えたりと,生徒の実態やお読みいただいた先生方の都合に合わせて様々に活用していただければと思う。先生方の授業づくりの一役を担い,生徒の皆さんの笑顔溢れる授業につながれば幸いである。


社会科の目標が達成されるような利活用を(写真省略)

著者紹介

中野 英水(なかの ひでみ)著書を検索»

1970(昭和45)年,東京生まれ。東京都板橋区立中台中学校副校長。1993(平成5)年,帝京大学経済学部経済学科卒業。東京都公立学校準常勤講師,府中市立府中第五中学校教諭,板橋区立赤塚第二中学校教諭,主任教諭,主幹教諭を経て,2021(令和3)年度から現職。東京都教育研究員,東京都教育開発委員,東京教師道場リーダー,東京方式1単位時間の授業スタイル作成部会委員,東京都中学校社会科教育研究会地理専門委員会委員長,東京都中学校社会科教育研究会事務局長を歴任。現在,全国中学校社会科教育研究会事務局長,東京都教職員研修センター認定講師,日本社会科教育学会会員。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • タブレットを活用した学習課題を考える上で参考になった。
      2023/4/3030代・中学校教員
    • 中学校社会での一人一台端末の活用状況を知りたく購入した
      2023/4/2560代・大学勤務
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