総合的学習の開拓32
総合学習に生きる国語科練習単元 小学校編

総合的学習の開拓32総合学習に生きる国語科練習単元 小学校編

投票受付中

総合学習を本格的に展開する前やその過程の中で、意図的、計画的に国語科としての練習単元を組み込んで、子どもたちに実践的な言語技術身につけさせるための指導を提案する


復刊時予価: 2,728円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-326114-7
ジャンル:
総合的な学習
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 184頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
理論編
T 総合学習の意義と問題 /鶴田 清司
一 「主体的な学習」をめざす総合学習
二 「主体的な学習」の成立要件
三 遠藤瑛子氏の「総合単元学習」の特色
四 私たちの研究の方向性
U 国語科と総合学習 /松本 修
はじめに
一 「総合的な学習の時間」と「総合学習」
二 「国語科」と「総合学習」
三 「練習単元」と上越教育大学でのプロジェクト研究
四 今後の課題
実践編
V 新聞の小見出しを工夫しよう(小学校三年) /阿部 勉
一 単元名
二 単元のねらい
三 単元設定の意図
四 単元展開の構想
五 活動の実際
六 考 察
*阿部実践へのコメント
W コンピュータを使った新聞づくり(小学校五年) /井上 光廣
一 はじめに
二 総合的な学習が「学習と生活の乖離」を改善する可能性
三 総合活動へのコンピュータの導入
四 まとめ
*井上実践へのコメント
X 相手の考えを聞き出そう(小学校六年) /川上 弘宜
一 単元名
二 単元のねらい
三 単元設定の意図
四 単元展開の構想
五 活動の実際
六 考 察
*川上実践へのコメント
Y ラブレターで始まる恋愛物語(小学校六年) /石田 一元
一 単元名
二 単元について
三 単元の目標
四 活動の流れ
五 学習の実際
六 成果と課題――練習単元と総合学習の関わり
*石田実践へのコメント
あとがき

まえがき

 総合学習は、教科の枠にとらわれず、学習者の主体的な問題解決への取り組みを保障しようとするものである。それは、何よりも実際の生活に密着した自然な学習スタイルである。教科学習では、ともすると、受動的に知識を習得するということになりがちである。教師主導、教科書中心の「詰め込み教育」に対抗して、子どもの生活に根ざした興味・関心・意欲・問題意識を生かして、学習をスタートさせるということは大きな意味を持っている。

 しかし、実際の総合学習はまだ実践的な課題を残している。確かに、調査・制作・発表といった体験的活動は華やかに行われている。が、それによってどんな学力が形成されたのか不明なものが少なくない。これではかつての「はいまわる経験主義」と同じである。

 それは、総合学習についての誤解に基づいている。その主なものは次の二つである。

▼総合学習は「何でもあり」と思っている教師・学校

 職人を招いて豆腐や蕎麦を作って食べるという学校がある。「子どもはカレーが大好き」と題してカレー作りを奨励している雑誌もある。そうした体験が全く意味がないとは言わないが、仮にそれによって何らかの知識を得たとしても、特殊的・個別的なもので終わる可能性が高い。「食べる」以外では、文化祭などで代替するという学校もある。総合学習は「体験ごっこ」でも「学校行事」でもないのである。

▼総合学習は「はじめに子どもありき」と思っている教師・学校

 低次元の総合学習は、興味本位、子どもまかせ、支援中心(指導の放棄)という共通の問題点を持っている。そうなれば、大学生でも「はいまわる」。その結果、何一つ得るものがなくて「途方に暮れる」「やる気をなくす」。すでに総合学習に取り組んでいる学校では、教師自身が事前にテーマについてどれだけ調査研究しておくか、どれだけ周到に準備・計画するか、実際にどれだけ適切に指導できるのかということに学習の成否がかかっているということを知っているだろう。

 そもそも「総合的な学習の時間」の「ねらい」は次の二点であった。

(1)自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。

(2)学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること。

 いずれも相当高度なものである。これがどれだけ意識されて実践されているだろうか。そして、このような「ねらい」を実現するためにこそ、「読む・書く・話す・聞く」を中心とした基礎的な言語技術、さらには基本的な学習技術が必要なのである。

 北俊夫氏(元文部省教科調査官)は、総合学習の現況について、次のような危惧の念を表明している。

・実践のユニークさや多様性のみを追いかけるあまり、また「はじめに子どもありき」とか「子どもの興味・関心に基づいて」と言われることから、実践に当たって「大切なこと」がすでに忘れられているのではないかと思うことがある。

・一時間一時間をもっと大切にしてほしいと思うことが少なくない。

・各教科の基礎・基本の習得が不十分な場合には、総合的な学習の活動がはい回ってしまうという指摘がある。

・教科指導の充実なくして、総合的な学習は成立しないということである。

(カリキュラム開発研究会『《総合的な学習の時間》二〇〇二年への実践課題』二〇〇〇年十月、日本教育新聞社、四〜六頁)

 まさに、「総合的な学習の質を左右するキー・ポイント」になる「教科の基礎・基本」が問われているのである。

 国語科で言えば、言語的な知識・技術をどう身につけさせるかということである。

 そのための具体的な方策として、本書では、総合学習を本格的に展開するまえに(あるいはその過程の中で)、意図的・計画的に国語科としての練習単元を組み込んで、子どもたちに自然な形で実戦的な言語技術(総合的な学習活動に役立つ言語技術)を指導するという方法を提案したい。つまり、「練習単元」という形で基礎的な言語技術を取り立てて指導する時間を特設するのである。スキーで言えば、いきなり自分勝手に滑り出すのではなく、そのまえに実技講習会を開いて、レベルに応じた技術を要素ごとに練習するようなものである(スキーの講習会ではこういうスタイルが一般的である。そこで基礎的な原理や技術を学ぶことによって、スキーというスポーツが本当に楽しめるようになる)。

 これまでの総合学習の実践・研究において、こうした練習単元(言語技術単元)のあり方、さらに国語科と総合学習との関係などについて本格的に論議されたことはほとんどない。本書のタイトルを「総合学習に生きる国語科練習単元」としたゆえんである。

 読者諸賢の率直なご意見・ご批判をお願いしたい。


   /鶴田 清司 /松本 修

    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ