「見方・考え方」を育てる中学公民授業モデル

「見方・考え方」を育てる中学公民授業モデル

総合43位

「社会的な見方・考え方」を活かす“深い学び”単元別授業モデル

「見方・考え方」を育てる中学公民授業づくりを!内面にある見方・考え方を引き出し、意見交流をすることで授業は変わる。わかりやすい理論と豊富な授業モデル&評価の解説で、「主体的・対話的で深い学び」の具体像がわかります。明日の授業に役立つ必読の1冊です。


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電子版予価: 1,854円+税

2/26刊行予定

ISBN:
978-4-18-325215-9
ジャンル:
社会
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 128頁
状態:
在庫あり
出荷:
2019年12月6日
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contents

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 中学公民「見方・考え方」を育てる授業デザイン
1 対話で深める社会科公民学習の基本
――「見方・考え方」を育てる授業デザイン
2 高等学校新科目「公共」を意識した中学校公民的分野の授業構成
第2章 「見方・考え方」を育てる中学公民授業モデル
A 私たちと現代社会
(1) 単元名:少子高齢化
高齢社会とどう向き合うのか
――高齢者と共に創る社会のあり方とは?
(2) 単元名:現代社会を捉える「見方・考え方」
現代社会を捉える枠組みを身につける公民学習
――対立を解消するにはどうしたらいいのだろう
B 私たちと経済
(1) 単元名:市場の働きと経済
経済の「見方・考え方」から社会を捉え直す公民学習
――足りないものはどうやって分配するべき?
(2) 単元名:国民の生活と政府の役割
政府の経済的役割を考察,構想し,表現する学習
――「豊かなくらし」の実現に向けた政府の役割とは何か
C 私たちと政治
(1) 単元名:日本国憲法と私たち
“平和”の意味を捉え直す公民学習
――真の平和とはどのようなものだろうか
(2) 単元名:地方自治と政治参加
民主政治の担い手としての自覚を養う公民学習
――地方自治を支えるのは誰?
D 私たちと国際社会の諸課題
(1) 単元名:共に生きる――世界平和と人類福祉の増大
協調や持続可能性に着目して,課題を追究する公民学習
――外国人労働者の受け入れのあり方はどうあるべきか
(2) 単元名:よりよい社会を目指して――持続可能性
未来をつくる新たな国のかたち
――持続的な地方の活性化のあり方を考える
第3章 中学公民「見方・考え方」を育てる授業づくりと評価のポイント
1 行動経済学の知見を取り入れた中学校公民の授業づくり
2 通常の学級での学習指導における「合理的配慮」の提供
3 「見方・考え方」をどう捉えるか――評価の手法
おわりに

はじめに

 これからの新しい時代に求められる社会科授業とは,どのようなものでしょうか? 中学校では,いよいよ,2021年度から新学習指導要領が全面実施となります。これからの新しい時代について,みなさんはどのようにお考えでしょうか? とりわけ,社会科を教える教師にとって,新しい時代をどのように捉えるのか,新しい社会をどのように描くのかという問いは,新しい時代に求められる社会科授業とは,どのような授業なのかという問いと密接にかかわってきます。

 平成29年版中学校学習指導要領解説社会編では,第1章総説の「改訂の経緯」の中で,これからの時代は,厳しい挑戦の時代,予測が困難な時代になることが言及されています。厳しい挑戦の時代,予測が困難な時代を生き抜くための社会科授業とは,いったいどのような授業なのでしょうか? 厳しい挑戦の時代には,誰もが勝者にはなり得ないため,繰り返し挑戦できる社会のしくみや厳しい挑戦に敗れてケアを必要とする人に温かく寄り添うコミュニティが必要となるでしょう。また,予測が困難な時代には,誰もがどのような状況に陥っても生活を維持することができるセーフティネットを社会に幾層にも張りめぐらして,不安な気持ちに耳を傾け,互いに支え合う社会をつくることが求められるでしょう。新しい時代に求められる社会科授業では,新しい時代をどのように捉え,新しい社会をどのように描くのかということを他者の意見に耳を傾けながら自分でよく考え,よりよい選択判断ができるようにすることが求められます。

 また,同じく「改訂の経緯」の中では,「人工知能(AI)」について次のような言及がなされています。「人工知能が自ら知識を概念的に理解し,思考し始めているとも言われ,雇用の在り方や学校において獲得する知識の意味にも大きな変化をもたらすのではないかとの予測も示されている。このことは同時に,人工知能がどれだけ進化し思考できるようになったとしても,その思考の目的を与えたり,目的のよさ・正しさ・美しさを判断したりできるのは人間の最も大きな強みであるということの再認識につながっている」。

 みなさんは,「人工知能(AI)」について,よくご存知でしょうか? 私は,「人工知能」という言葉は知っていましたが,それがどのようなしくみで成り立ち,どのようなことを意味するのかを理解していなかったため,この文章を読んでさまざまな疑問が浮かんできました。そもそも,「人工知能」とは何でしょうか? 「人工知能」が自ら知識を概念的に理解するとは,どういうことでしょうか? 「人工知能」は,どのようなしくみで,どのように自ら知識を概念的に理解しているのでしょうか? 「人口知能」が思考しはじめていると誰がいっているのでしょうか? 「人口知能」は,何について,どのように思考しはじめているのでしょうか? なぜ,雇用のあり方が変化するのでしょうか? なぜ,学校において獲得する知識の意味が変化するのでしょうか? 「人口知能」がどれだけ進化し思考できるようになったとしてもという仮定は,「人工知能」の進化をどこまで射程に入れているのでしょうか? なぜ,思考の目的を与えたり,目的のよさ・正しさ・美しさを判断したりできるのは人間の最も大きな強みであるといえるのでしょうか? 人間の最も大きな強みであるということを誰が再認識しているのでしょうか? わからないことだらけです。

 そこで私は,「人工知能(AI)」とは何かわからなかったため,新井紀子『AI VS.教科書が読めない子どもたち』(2018,東洋経済新報社)を読んでみました。新井氏は,2011年から人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」のプロジェクトディレクターを務めています。この本の中で新井氏は,「遠い未来はともかく,近未来に人工知能が誕生することはない」と述べています。現段階において,人口知能が誕生していないのに,なぜ,「改訂の経緯」では,「人工知能が自ら知識を概念的に理解し,思考し始めているとも言われている」と述べているのでしょうか? それはおそらく,画像処理技術などで行われているディープラーニングについて,「ディープラーニング=人工知能」と解釈したからではないでしょうか? 「改訂の経緯」では,新井氏が指摘するように,「AI」と「AI技術」が混同して使われ,実際には存在しない「AI」が存在しているかのように捉えている可能性があります。「改訂の経緯」では,「人工知能が自ら知識を概念的に理解し,思考し始めているとも言われている」と述べていますが,実際には,数学の言葉である論理,確率,統計に置き換えられる範囲内でしかAI技術は機能しないのです。

 これまでの社会科教育では,AI技術が浸透した社会に対応した社会科教育のあり方について,十分な議論がなされておらず,研究や実践も不十分です。AI技術によって私たちの生活が変化し,社会システムが変容していることを認識していても,これからの社会がどのように変容し,仕事の種類や雇用形態がどのように変わり,私たちはこのような変化にどう対応していったらよいのか,具体的な対応策や方策を見出しているわけではありません。これまでの社会科教育では,学習内容を理解するために教科書を読んだり,自分の意見を形成し,主張の根拠を示すために,資料読解を重視してきました。これまで社会科教育で大切にしてきたことを継承しながらも,より一層,社会的事象の意味を理解することに重点を置いた学習が求められています。そのためには,わからないことやつまずきを問いに転換し,子ども自身が問いを立てる力を鍛える必要があります。自分のわからないことを他者に向かって「わからない」といえる勇気,他者の問いかけに耳を傾けながら,何がわからないのかを受け止め,どうしたらわかるようになるのか共に考え,学級の仲間と共に問いを探求する協働性が社会科の授業の基盤となります。

 本書がこれからの新しい時代に求められる社会科授業の一助となれば幸甚です。


   /真島 聖子

著者紹介

真島 聖子(まじま きよこ)著書を検索»

韓国教員大学校専任講師,愛知県内小学校教諭を経て,国立大学法人愛知教育大学に勤務。小・中学校の社会科教育法,高等学校の公民科教育法の授業を担当。

財政・租税教育を中心に幅広く社会科教育・研究を行う。また,日韓の教育交流を推進する。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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