- はじめに
- Chapter1 明確な目的をもってICTを活用しよう
- 1 なぜ英語の授業でICTを活用するのか?
- 2 「○○したい」(目的・意図)を叶えるICT
- Chapter2 目的別でよくわかる!小学校英語のICT活用術
- 01 フィードバックをもとに,自発的に発音練習させたい! 音声入力機能を活用しよう
- 02 英語のリズムやアクセントに気づかせたい! ボイスメモなどの波形を提示しよう
- 03 リズムを感じながら語彙や英語表現を習得させたい! GarageBandでリズムを意識させよう
- 04 ローマ字の学習から音声指導に結びつけたい! 逆再生を活用しよう
- 05 音声を意識しながら,同時に英語表現を定着させたい! AI(アシスタント機能)に認識させよう
- 06 英語を聞く力を身に付けさせたい!(読む力につなげたい!) ICTを使ってShadowingをしよう
- 07 言葉によるやり取りにフォーカスさせたい! 意図的にコミュニケーション手段を限定しよう
- 08 スクリプトを見ずに自然な会話をさせたい! 会話をしている子どもたちの姿を提示しよう
- 09 会話表現を個別学習で習得させたい! ビデオに映った自分と会話しよう
- 10 感情を込めて英語を発話させたい! その人になりきろう
- 11 アルファベットの書き方や,スペルチェックをしたい! Google翻訳の「カメラ入力」を活用しよう
- 12 楽しく書きながら,スペルを定着させたい! Keynoteの手書き機能とアニメーションを活用しよう
- 13 言語活動の時間をなるべく多く確保したい! ファイル共有をしよう
- 14 子どもたちのモチベーションを継続させたい! 共有アルバムを活用しよう
- 15 子どもたちに到達度を明確化して伝えたい! デジタルスタンプを活用しよう
- 16 子どもたちの過去の学びを活かしたい! 過去のデータを振り返らせよう
- Column 開発アプリ 「Rabbits−えいごで言ってみよう!」
- Chapter3 学びが深まる!小学校英語×ICTの授業アイデア 3・4年生編
- 01 身近なものになりきろう!? It’s clean! I’m happy!
- 【話すこと 英語表現:I’m happy/ sad/ angry. It’s clean/ new/ old. など】
- 02 色抽出機能を使ってみよう! What color is this? Where is this place?
- 【話すこと【やり取り】 英語表現:What color is this? Where is this place?】
- 03 図形を分解してみよう! What’s this?
- 【話すこと【やり取り】 英語表現:What’s this? It’s a 〜. (いろいろな単元で活用可)】
- 04 トリックアートを活用しよう! Which is longer?
- 【話すこと【やり取り】 英語表現:A is longer/bigger等(than B).(longなどの原級でも可)】
- 05 映像の中の自分と会話しよう! セルフ英会話
- 【話すこと【やり取り】 英語表現:どの英文でも】
- 06 図形とモーションパスを活用しよう! What can these animals do?
- 【話すこと【発表】 英語表現:Birds can fly. Rabbits can jump.など】
- 07 ものの場所を映像で紹介しよう! 前置詞活用動画プロジェクト
- 【話すこと【発表】 英語表現:The pencil is on the desk.など】
- 08 AirDropを活用しよう! This is me.
- 【話すこと【やり取り】・ローマ字の学習 英語表現:Hello. My name is 〜. I like 〜.など】
- 09 リンク機能でデジタル観光マップをつくろう! This is Takatsuki!
- 【話すこと【やり取り】 英語表現:This is 〜. You can see/ eat/ buy 〜.】
- 10 ICTでアルファベット練習をしよう! 書き順アニメーションクイズ
- 【アルファベット・語彙習得・ローマ字学習(「書く」ことの導入) 英語表現:どの英文でも】
- 11 いろんなフォントにふれてみよう! これは何のアルファベットかな?
- 【アルファベット(高学年の「読む」ことの導入) 英語表現:What alphabet is this?】
- 12 KeynoteのGIF書き出しを活用しよう! 写真でひと言!ルーレット
- 【話すこと(即興的に) 英語表現:I’m happy/ sad/ angry. など】
- 13 無音動画を使ってみよう! What is he saying?
- 【聞くこと・話すこと(語彙習得) 英語表現:What animal is this?】
- Chapter4 学びが深まる!小学校英語×ICTの授業アイデア 5・6年生編
- 01 その単語はどんなニュアンス? アクションGIFカードづくり
- 【語彙習得 英語表現:Dogs can 〜. (I/ He/ She can 〜.)】
- 02 AIに認識されるかな? Let’s write English!
- 【書くこと 英語表現:It’s Sunday. など】
- 03 Keynoteで4コマ漫画をつくろう! What is she doing?
- 【話すこと【発表】 英語表現:She/ He is 〜ing. (I went to〜.のような過去の表現でも可)】
- 04 ライブタイトルを活用してみよう! This is “ME”.
- 【話すこと【発表】・書くこと(タイピング) 英語表現:自己紹介で使える表現】
- 05 発音やアクセントを見よう! Let’s “watch” our pronunciation!
- 【発音・アクセント指導 英語表現:どの英文でも(Conversation)】
- 06 場面に合わせて考えよう! How do you say“がんばれ!”in English?
- 【話すこと【やり取り】 英語表現:You can do it. Don’t give up.など】
- 07 日本語と英語の違いを考えよう! 主語がない文の主語は何?
- 【言語や文化に対する理解 英語表現:I/ you/ he/ she/ it/ they】
- 08 スクロールゲームにチャレンジしよう! How do you go to school?
- 【語彙習得 英語表現:I went there by 〜.I go to school by 〜.】
- 09 音声入り絵日記をつくろう! This is my summer vacation!
- 【書くこと・話すこと 英語表現:I went to 〜. I saw/ ate/ bought 〜. I went there by 〜.】
- 10 1日の生活の様子を動画にしてみよう! My Daily Life
- 【話すこと【発表】 英語表現:I always/ often/ usually/ sometimes get up at 〜.】
- 11 瞬間英作文にチャレンジしよう! 組み合わせルーレット
- 【話すこと(即興的に) 英語表現:Dogs can jump high. That’s true. / That’s not true.】
- 12 アルファベットの模様を変えてみよう! What’s this? What are these?
- 【語彙習得(どの単元でも) 英語表現:What’s this? This is a 〜. What are these? These are 〜.】
- 13 的確に相手に伝えよう! バーチャル道案内
- 【話すこと【やり取り】 英語表現:Go straight. Turn right. など】
- 14 アニメーションをつくろう! Why are you wearing a T-shirt and shorts?
- 【話すこと【発表】 英語表現:I’m 〜ing 〇〇 so I’m wearing a 〜.(他単元にも流用可)】
- 15 家庭学習と教室をつなげよう! Where do you want to go?
- 【話すこと【発表(スピーチ・会話形式)】 英語表現:I want to go to/ see/ eat/ buy 〜. など】
- 16 自分のお気に入りの服を紹介しよう! 自宅でデジタルファッションショー
- 【話すこと【発表】 英語表現:I’m wearing 〜, 〜 and 〜. 服装・色・模様などの語彙】
- 17 伝える「手段」から考えよう! “Food-1 Grand Prix” -This is my original dish.
- 【話すこと【発表】 英語表現:This is 〜. There is/ are 〜(in it). It’s delicious. など】
- 18 学校のプロモーションビデオをつくろう! This is Our School.
- 【話すこと【発表】【やり取り】 英語表現:This is our school. Here is 〜. You can 〜 in this room.など】
- 19 6年間の思い出を動画にまとめよう! My Best Memory
- 【話すこと【発表】【やり取り】 英語表現:My best memory is 〜. I went to 〜. I want to join〜.など】
- 20 小さい頃の自分と今の自分を比較してみよう! Growing Up
- 【話すこと【発表】 英語表現:(When I was little,) I was 〜. I am 〜 now.など】
はじめに
GIGAスクール構想により,ICTがすべての学校に普及し,子どもたち一人ひとりがデバイスを活用できるようになりました。この時代の流れに乗り,多くの先生方も授業をアップデートされ,ICTを活用した授業のあり方を模索し,日々実践を積み重ねてこられたのではないでしょうか。
私が前著『小学校英語×ICT 「楽しい! 」を引き出す活動アイデア60』を執筆させていただいた後,ICTを活用した授業のあり方を考えていらっしゃる先生や教育委員会の方々からたくさんお声がけをいただき,とりわけ小学校外国語科・外国語活動の授業におけるICTを活用した授業のあり方やその具体的な実践事例をご紹介させていただく機会が増えました。
その中で,多くの先生に共感いただいたことの1つに,私がICTを活用する際に必ずその「目的」を明確にしているという点がありました。ICTは,その目新しさから,ついついその機能面に目が行きがちであり,「言語活動の楽しさ」と「ICTを活用することの楽しさ」を混同してしまうケースも多くあります。無論,「ドリル的な活動」において,ゲーム的な要素の中に言語的要素を入れて反復することで,英語表現の定着を図るといったこともありますが,純粋な言語活動において,目的を考えずにICTを活用することで「ICTを活用したことの楽しさ」だけが残って英語表現の印象が薄れてしまったり,それによって言語活動をする時間が減り,むしろ逆効果になってしまったりすることも少なくありません。
右の写真はICTを活用した言語活動の一例です。写真の子たちが,ICTを活用して,相手の目を見たりジェスチャーをしたりしながら,とても自然なやり取りをしていることがわかると思います。これは,自分のデバイスに入っている写真の中から1枚だけを選び,それを使って自分の好きなことを紹介している場面です。(写真省略)
ここで,どうして私がICTを活用する場面を設けたのかを想像してみてください。別にICTがなくても,Key Sentenceを使って英語のやり取りをすることはできます。しかし,Key Sentenceだけではなく「即興的なやり取り」をさせることを目的とするならば,ICTを活用し,先述のような写真(=視覚情報)を提示することで,話題となる情報が増え,目に映ったものに関して新たに疑問文をつくったり,相槌表現を言ったりと,当然使える英語表現の幅が広がるのです。また,ICTを使うことで,事前に子どもたち(あるいは教師)が写真を印刷しておくなどの手間も省くことができます。この実践は,ただデバイスに写真を映しただけですが,そこにもきちんと目的はあるのです。もちろん,そもそもどうしてこのような活動を設定したのかなど,授業や単元づくりの根幹となる部分にも意図や目的はあります。授業の本質とは何かをきちんと見極めた上で,子どもに身に付けさせたい資質・能力,さらには授業をする(準備する)際の効率等,様々な面で教師が目的や意図をもってICTを活用する場面を設定すれば,今までの学習の手段ではできなかった,様々な実践をすることができるようになるのです。
さて,前著ではICTを「コミュニケーションを豊かにするためのツール」として「提示ツール」「共有ツール」「発表ツール」「記録ツール」「通信ツール」の5つに分類し,具体的に60の事例をご紹介しました。今回はそれらに加え,コロナ禍におけるオンライン学習の機会や,自宅学習において個別で学びを深める機会,またはBYOD社会に伴う家庭と学校との連続した学びの機会の増加に伴い重要視されるようになってきた,英語の知識・技能面を個々の能力に応じて直接的に高めていくための使い方(=「個別学習ツール」)を含め,ICTを活用する「場面」や「目的」を具体的に明らかにしながら,新たに数多くの実践事例をご紹介させていただきます。本書でご紹介する実践事例を参考に,そこに皆様のアイデアが加わることで,子どもたちの学びがより豊かなものになれば幸いです。
/東口 貴彰
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- 明治図書