探究する学びをデザインする!情報活用型プロジェクト学習ガイドブック

探究する学びをデザインする!情報活用型プロジェクト学習ガイドブック

新刊

総合93位

教科の「プチPBL」で探究する力を育てよう

社会的に意味のある課題(ミッション)をクラスで共有しグループで協働しながら課題解決を目指すプロジェクト型学習(PBL)。本書ではプチPBLとして、小・中・高で教科の1単元をプロジェクト化する手法と情報活用能力を育てる探究学習の15の事例を収録した。


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ISBN:
978-4-18-314314-3
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小・中・高
仕様:
B5判 136頁
状態:
在庫あり
出荷:
2020年9月30日
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Contents

もくじの詳細表示

まえがき
Chapter1 理論編 探究し続ける人を育てる情報活用型PBL
1 変化する社会を生き抜く力
1 3つの変化
2 探究する・社会とつながる・ふりかえる
2 古くて新しい「探究」
1 探究の2つのルーツ
2 再び注目されるPBL
3 さまざまな教科で「プチPBL」してみよう
3 情報活用型PBLをつくるNADプロセス
1 情報活用型PBLができるまで
2 NADプロセスで単元のプロトタイピング
4 探究の質を高めるために
1 気持ちの質
2 活動の質
3 思考の質
Chapter2 準備編 情報活用型PBLによる探究デザインと学習ツール
1 探究の物語を描こう
1 ミッションと成果物をイメージする
2 探究の流れをシミュレーションする
2 探究の質を点検しよう
1 成果物の質を「思考」と「表現」から考える
2 学びのプロセスを支える情報活用能力
3 学びを助ける方法を工夫しよう
1 情報活用型PBLと「主体的・対話的で深い学び」
2 単元づくりからはじまるカリキュラムマネジメント
Chapter3 実践編 授業から評価までわかる小・中・高等学校の情報活用型PBLプラン
1行で紹介!小・中・高等学校の情報活用型PBLプラン15事例
1 小学校の情報活用型PBLプラン
1 1年・生活「きれいにさいたね」
年長さんを迎える会で,あさがおのたねと図鑑を渡そう
2 4年・社会「特色ある地いきと人々のくらし」
宮城県の特産物「ホヤ」のイメージアップ大作戦―沖縄の小学生に「ホヤ」のよさを伝えよう―
3 4年・理科「電気のはたらき」
目的地まで速く自動でたどりつくモーターカーをつくろう
4 5年・保健「けがの防止」
みんなのけがを減らそう!
5 6年・国語「意見を出し合おう」
オリジナル愛知旅プランを提案しよう
2 中学校の情報活用型PBLプラン
6 1年・国語「表現を考える」
中学校の定期試験を攻略する学習通信を作ろう
7 1年・数学「資料の活用(データの活用)」
夏の暑さについて,地元の気温データを用いて分析し,調べてみよう
8 2年・技術・家庭「エネルギー変換の技術」
消費者が乗りたいと思う電気自動車を開発しよう
9 3年・社会「地球社会と私たち(さまざまな国際問題)」
同級生や後輩に国際問題の解決策について伝えよう
10 3年・美術「社会問題を訴える―SDGsをもとにしたポスターづくり―」
身近な問題や,社会の問題等をポスターで伝える
3 高等学校の情報活用型PBLプラン
11 1年・数学A「場合の数・確率」
宝くじから合理的な判断をしてみよう!
12 1年・社会と情報「情報社会と問題解決」
学校の魅力を伝えるプロモーション動画を作ろう
13 2年・現代社会「平等権の保障」
富士見Diversity Weekを開催しよう!
14 3年・化学基礎「物質量と化学反応式」
二酸化炭素排出量を40%削減した生活を定量的に提案しよう
15 3年・時事英語「英語による郷土紹介」
宮城県のことを英語で外国人に伝えよう
資料1 情報活用型プロジェクト学習 単元デザインシート
資料2 学習活動カード
あとがき
執筆者紹介

まえがき

 問題を発見する力が大事だ,他者と協力して問題を解決できるようになってほしい,AIに負けない創造性を育みたい…私たち大人は自分たちを棚に上げて,随分と高度なことを子どもたちに求めているようです。変化の激しい現代社会を生きる私たちの不安,自信のなさを投影しているのかもしれません。


 高等学校では「探究」をキーワードに,新学習指導要領への準備が進められています。大学と連携するなどして,新たなテーマを開拓し,時に驚くべき成果を挙げる生徒たちがいます。私の研究室にもメールでの問い合わせや,関東から訪ねてきてくれた生徒もいました。嬉しく思う反面,学校現場を訪問した際に見かける,(少なくともその授業の中では)すべてを諦めてしまっているように見える生徒たちの姿とのギャップに戸惑いも覚えます。


 心理学者のエドワード・L・デシは,内発的動機づけを支える要素を,「自律性(autonomy):行動を自分で選びたい」「有能性(competence):行動をやり遂げる自信を持ちたい」「関係性(relatedness):周囲の他者や社会とつながっていたい」の3つの基本的欲求からなる自己決定理論(SDT)を提唱しています。探究は,内発的動機づけなしには成り立ち得ない学びです。ひるがえって教科の学習はどうでしょうか。自分で何かを選ぶ機会はなく,やり遂げたかどうかはテストのみで測られ,教師の指導と児童生徒の(教師に向けた)努力に閉じた学びだけでは,いくら面白く,価値ある学習内容だとしても,内発的な動機づけを支えるのは難しいでしょう。「主体的・対話的で深い学び」の「主体的」は,内発的な動機づけだけを意味しているわけではありませんが,それなしでは,どんな手立てを講じたとしても,受け身で教師の敷いたレールに乗って「学ばせられる」児童生徒になってしまいます。


 教育学者の水越敏行氏は,学習者が科学的な法則や事象間の関係性等を自ら見つけ出す「発見学習」の研究から,学習には「一人立ちの発見」から「全面制御」までのグラデーションがあることを指摘しました。水泳に例えるなら,プールで特訓を受けた後,突然,大海原に放り出されてしまうのではなく,その間にはプールで自分の実力を試したり,海水浴場で泳いでみたり,同じゴールを目指して遠泳したりといった段階的な経験があるはずです。


 プロジェクト型学習(PBL=Project Based Learning)は,一人立ちした探究と受け身の学びの間に位置します。社会的に意味のある課題(ミッション)をクラスで共有し,グループで協働しながら,課題解決を目指します。かつて流行ったドキュメンタリー番組のように,総合的な学習(探究)の時間をフル活用した一大プロジェクトもありますが,本書で扱うのはもっと身近な「プチPBL」です。教科の一単元をプロジェクト化する手法とその実際を紹介しています。


 プチPBLを教育課程の中に散りばめておくと(教育課程すべてをPBL化すべきと言っているわけではないことに注意してください),どんなことが起こるでしょうか。子どもたちは,さまざまな教科でミッションを達成するために,何を解決すべきか考える機会が生じます。課題を解決するために,情報を集め,集めた情報を整理・分析します。ミッションはさまざまな他者(時には自分自身)にとって意味があるものですから,自分たちのアイデアが相手に伝わるよう,表現を工夫します。こうした一連のプロセスを何度も繰り返し経験しながら,探究する方法を獲得していきます。本書で「情報活用型PBL」と名付けたのは,プチPBLを通して,題材への理解を深めるだけでなく,学び方の技能である情報活用能力の育成を目指しているからです。情報活用能力は,一人立ちした探究や大プロジェクトへの挑戦を支える基礎になります。


 もうひとつ,プチPBLによって子どもたちが経験することがあります。教科で学んだことが自分たちの生活,校内,時には地域の中でどんな意味を持つのか,どう活かされるのか実感できることです。「社会に開かれた教育課程」は,総合的な学習(探究)の時間に地域と連携することや,地域の方々にボランティアで協力してもらうことだけではありません。教育課程全体を通して,学校で学ぶことが社会にどうつながっていくのかを実感し,よりよい社会を創るための礎になる力(資質・能力)を身につけることがゴールです。


 冒頭で「随分と高度なこと」と書きました。しかしながらこうしてみると,資質・能力の育成は,子どもたちの学びたい欲求に根差したものであり,各教科の学習と地続きにとらえられるはずです。本書は,この「情報活用型PBL」の視点から,探究的な学びをさまざまな教科で実践するためのガイドとして企画しました。


 「理論編」では,プロジェクト型学習の歴史的経緯や現代における必要性,デザインの要点についてポイントをしぼって解説しました。校内研修等の説明資料にもご活用いただけます。


 「準備編」は,実際に単元をつくる流れを,順を追って学べるようにまとめました。単元デザインシート,学習活動カード,ルーブリックなど,子どもたちの探究する姿を思い浮かべながら授業をデザインするのに役立つツールを用意しています。単元デザインシートと学習活動カードは資料として巻末にまとめています。


 「実践編」では,小学校,中学校,高等学校で5事例ずつ,合計15の多様な教科での情報活用型PBLの具体例を収録しました。単元デザインシートやルーブリックの記入例,児童生徒の探究エピソード,学びの質を高める手立ての紹介などから,それぞれの実践の魅力と授業づくりのヒントを見つけてみましょう。


 本書が,皆さんの授業づくりのアイデアを広げ,子どもたちがワクワク感と達成感を持って未来を築いていく一助となることを願っています。


  2020年6月   /稲垣 忠

 ※本書はJSPS科研費JP 16K01123およびJP19K03009の助成による成果を含みます。

著者紹介

稲垣 忠(いながき ただし)著書を検索»

東北学院大学文学部教育学科・教授 博士(情報学)

■職歴

東北学院大学教養学部講師を経て,2018年より現職。

■外部委員など

文部科学省「教育の情報化に関する手引」委員,同「デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究」委員, 同「 ICT活用教育アドバイザー」企画評価委員会委員,経済産業省「未来の教室実証事業」教育コーチ等

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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