総合的学習の開拓10国語科を核に総合的学習を創る

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国語科言語能力からみた総合的学習、情報のモデルとしての説明文学習、基礎・基本学習から総合的学習へ、小・中の実践例で国語科学習から総合的学習への展開が容易にわかる。


復刊時予価: 2,783円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-313331-9
ジャンル:
総合的な学習
刊行:
3刷
対象:
小・中
仕様:
A5判 192頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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はじめに ──「総合的な学習」に、国語科はどのように関わるのか? ――
1 国語科「言語能力」からみた「総合的学習」
一 「 総合的な学習の時間」の授業実践の課題・問題点
二 国語科実践の課題・問題点
――国語科「言語能力」と全教科の基礎基本・「総合的な学習」への展開――
2 「情報(理解・発信)のモデル」としての説明文学習
一 今なぜ、説明文学習が重要なのか?
――知的好奇心・探究心が生きる優れた「情報モデル」――
二 国語科の中の説明文学習
――なぜ、説明文(学習)はつまらないのか――
三 「情報〈理解・発信〉のモデル」としての説明文学習
――自分の意見をもち「伝え合う力」を育てる――
3 “国語科コミュニケーション能力”の特質
――「生きる力」につながる発信・交信指導の基本的観点――
一 コミュニケーションの特質と"二重の文脈"
二 コンテクストの多層性と国語科「言語能力」
――日本社会の特性・自己との対話――
三 店思考のフィルター点と情報選択・構成・判断・発信
――立場のない情報はありえない――
4 「生きる力」を育てる“国語科学習システム”
――基礎基本から個性化・評価への学習過程――
一 「生きる力」と国語科「言語能力」を育てる店五段階の学習過程点
二 子どもの課題意識を育てる「導入」の方法
――「説明文・読み方カード」の指導技術――
三 基本と個性化の自己評価能力を育てる「評価カード」
5 国語科「基礎基本学習」から「総合的な学習」への展開
一 《四層構造》による「総合的な学習」の構想
二 「単元構想」の基本的な枠組みと留意点
――三要素を据えた段階的な構想モデル――
6 実践事例の意図と構想
――国語科の「基礎基本」から「総合的な学習」への展開――
一 実践事例の構成
――指導目標と実践の構想・指導案と学習過程・学習技術他――
二 小学校二年の実践事例
――小学校低学年における「情報理解」「コミュニケーション能力」の基礎基本指導――
三 小学校三年の実践事例
――福祉・ボランティア教育と国語科学習の位置づけ――
四 小学校五年・中学校一年の実践事例
――言語の機能(認識・伝達・文化)とコミュ二ケーション能力――
五 中学校二年・三年の実践事例
――国語科における店メディア・リテラシー教育点入門――
7 六つの実践事例
――小学校三例・中学校三例――
一 "生命の尊さ"に気づかせる情報・コミュニケーション教育
おへそのひみつをたんけんしよう!
――説明文「おへそって、なあに」(小二)を例に―― /松木 尚美
二 店福祉の精神点に気づかせる情報・コミュニケーション教育
盲導犬の役割について調べよう!
――説明文「もうどう犬の訓練」(小三)を例に―― /伊藤 友紀子
三 店誤解のメカニズム点学習から豊かなコミュニケーションへ
正しく伝えることは難しい?
――説明文「ことばの働きー誤解はなぜ起こるか――」(小五)を例に―― /千崎 晶美
四 日本語の店豊かさ点と店構造点・入門
外来語成立のナゾを探る
――説明文「外来語と日本文化」(小六)を例に(中一)―― /川瀬 淳子
五 国語科におけるメディア・リテラシー入門1
つい買いたくなるコマーシャルづくり?
――テレビコマーシャルの戦略を考える(中二)―― /左近 妙子
六 国語科におけるメディア・リテラシー入門2
マス・メディアの情報を読み解こう!
――説明文「マスメディアを通した現実世界」(中三)を例に―― /鈴木 悟志
まとめにかえて ──子どもが喜び、言語能力が身につく国語科実践を創るために──
参考文献 ──国語科学習から「総合的な学習」への展開を考えるために──
あとがき

はじめに

   ──「総合的な学習」に、国語科はどのように関わるのか? ──


 新学習指導要領の告示によって、情報化・国際社会の枠組みの中で、また完全週五日制下で生涯学習につながる「生きる力」を育てる国語科の方向が示された。今回の国語科の目標に新しくつけ加えられたコミュニケーション能力としての「伝え合う力」の育成や、「報告」を書く論理的な表現力・効果的な資料操作による発表と交信・「話す」「聞く」「書く」を立体的に関連させた情報理解から発信・評価方法等が実践上の大きな課題になっている。特に、各教科の授業時数を削減して新設された横断的な「総合的な学習の時間」の提案が、二一世紀の学校教育のありかた、子ども達に「生きる力」を育てるうえでの大きなポイントとして提示されている。

 啓蒙と総論の時期が過ぎた今、具体的な授業実践の提案と評価、子どもの言語能力育成に即した新しい国語科実践、その中で「総合的な学習」にどのように関わるのかについての評価が求められている時期である。学習指導要領では「総合的な学習」が教科を超えて他教科や生活等の場面に「生きてはたらく力」としての役割が重視されるとする一方、各教科のそれぞれの学習が重視されている。しかし、教科と「総合的な学習」の具体的な関係については混乱が多く、国語科の場合も例外ではない。次のような課題に応えることが、実践的に求められている。

1 国語科学習と他教科・生活経験との関係が見いだせない? 国語科固有の指導を重視すれば〈他教科との構造的な関係〉が授業論や評価論レベルで見いだせない傾向が小学校高学年・中学・高校等では顕著である。

2 国語科は『総合的な学習』の下請け教科なのか? 国語科と他教科との関係を、コミュニケーション能力や表現力や思考力の育成と規定しても、こうした疑問や不安が授業研究会等で聞かれる。果たしてそうか?

3 従来の「関連学習」「単元学習」との違いは何か? 国語科実践を「総合的な学習」に生かす時の視点や解釈もさまざまであり、ある先生は「従来の合科学習や関連学習とどこが違うのか」、研究者によっては「従来の『単元学習』と同じものであり、『総合的な学習』は既に以前から行ってきたもの」と明言する方もいる。

4 作文・読解・調べ学習(一人調べ)は、今日的な学習(活動)か? 「作文(指導)」という言葉が日本の国語教育の場では生活作文的な発想と指導に重点があり、論理的な作文(報告)との混乱があること、「読解」という言葉が単なる受け身の読み取りに終始し「情報の一モデル」としての説明文学習や発信型の自己表現の方向が希薄であった。「調べ学習」「一人調べ」といった活動も国語科言語能力を育てるうえでの曖昧さを多分に含んでいる。単なる言い方の問題ではなく、つけるべき国語科言語能力との関係・授業方法(活動)と基礎基本と応用の評価の面から、今後きちんと意味づけした使い方が必要である。

5 「総合単元学習」は今回の教育改革に本当に応えられるのか? 従来の「総合単元学習」の問題点が十分克服されないままシフトアップしたような学習構想で、今回の教育改革の中心的な課題に国語科は応えられるのか。

6 今、問われている国語科言語能力とは何か? 各論としての授業方法論批評のこの時期、改めて問われているのは「生きる力」につながる国語科の「基礎基本」は何か。どのようになれば子どもの「個性」が発揮されたとみるのか。国語科のどんな「言語能力」が他教科や子どもの生活に「生きてはたらく力」の中核となって展開していくのか。「総合的な学習」との関係で国語科が果たす役割は何か、逆に国語科固有の指導事項は何か。

7 教師による「実践的指導力」が具体的で、構造的なものとして試されている時代である。こうした課題は「具体的な授業実践の構想と方法・評価」の点から提案・批評されることが求められているからである。

 本書はこのような問題意識のもとにまとめられた。理論編(T〜X章)・実践事例構想の意図(Y章)・実践事例六編(Z章)の三つからなる、国語科を中核にした「総合的な学習」の構想についての実践的な提案である。

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