- はじめに
- 序 国語科はこう変わる
- ―21世紀をひらく国語科―
- 改訂の基本的な考え方―[ゆとり]の中で[生きる力]の育成
- 高等学校の改善のポイント
- 国語科全体の改善のポイント
- 高校国語科の改善のポイント
- 「我が校」にふさわしい教育課程編成
- 国語科は不当に減らされた?
- 授業改善の方向
- 教科書が変わる―教材観の転換
- 言語活動例の具体化がカギ
- 学校や生徒の選択幅の拡大―選択必修制
- 「国語表現T」は専門高校,「国語総合」は「進学校」?
- T 国語科改訂のねらいと改訂の要点
- 1 改訂の経緯と国語科改善の基本方針
- (1) 改訂の経緯
- (2) 国語科改善の基本方針
- 2 高等学校教育の改善の要点
- (1) 教育課程の領域の変更
- (2) 「総合的な学習の時間」の創設の趣旨
- (3) 基礎・基本の定着と選択幅の拡大
- 3 高等学校国語改善の要点
- (1) 高等学校国語の基本方向
- (2) 教科構造・科目編成及び履修形態
- (3) 目 標
- (4) 各科目の概要
- U 各科目の目標,内容等
- 1 国語表現T
- (1) 性 格
- (2) 目 標
- (3) 内 容
- (4) 内容の取扱い
- 2 国語表現U
- (1) 性 格
- (2) 目 標
- (3) 内容及び内容の取扱い
- 3 国語総合
- (1) 性 格
- (2) 目 標
- (3) 内 容
- (4) 内容の取扱い
- 4 現代文
- (1) 性 格
- (2) 目 標
- (3) 内 容
- (4) 内容の取扱い
- 5 古 典
- (1) 性 格
- (2) 目 標
- (3) 内 容
- (4) 内容の取扱い
- 6 古典講読
- (1) 性 格
- (2) 目 標
- (3) 内 容
- (4) 内容の取扱い
- V 新しい高等学校国語科の創造
- 1 新しい国語科の歴史的位置付けと意義
- (1) 学習者主体の教育の流れ
- (2) 過去に学ぶ改善のための諸条件
- (3) 表現と読みの指導の画期的な改善
- 2 情報活用能力の育成
- (1) 情報活用能力の必要性
- (2) 学校図書館の機能
- (3) 学校図書館メディアの多様化
- (4) 校内体制と図書館ネットワークの整備
- (5) 司書教諭の役割
- 3 古典の指導 ――教材としての漢文の価値――
- (1) 漢文の基盤をなす中国古典そのものの価値
- (2) 漢文の訓読法という優れた技法の価値
- (3) 日本独自の漢詩文の価値
- 4 国語科における「学校設定科目」の導入の意義
- (1) 「その他の科目」から「学校設定科目」へ
- (2) 「学校設定科目」の名称及び内容
- (3) 実施上の留意点
- (4) 配慮すべき事柄
- 5 学校の創意工夫を生かした教育課程編成 ――柔軟な履修を生かす――
- (1) 科目数及び履修順序
- (2) 必履修科目及び選択科目の考え方
- (3) 教育課程の編成
- (4) 履修パターン
- (5) 配慮すべき事柄
- 6 「総合的な学習の時間」に生きる国語科
- (1) 「総合的な学習の時間」のねらいと学習活動例
- (2) 「総合的な学習の時間」に生きる国語科での指導
- W 指導計画の作成と学習指導の展開
- 1 国語表現T
- (1) 指導計画の作成の基本的な考え方
- (2) 「古典の表現法,語句,語彙」の扱い
- (3) 言語活動例の具体化
- 2 国語表現U
- (1) 指導計画の作成の基本的な考え方
- (2) 言語活動例の具体化
- 3 「国語表現T」及び「国語表現U」の全体指導計画
- 4 国語総合
- (1) 指導計画の作成の基本的な考え方
- (2) 言語活動例の具体化
- (3) 年間指導計画(案)
- 5 現代文
- (1) 指導計画の作成の基本的な考え方
- (2) 言語活動例の具体化
- (3) 実用的な文章の指導
- (4) 全体(年間)指導計画案
- 6 古 典
- (1) 指導計画の作成の基本的な考え方
- (2) 言語活動例の具体化
- (3) 「古典」年間指導計画(案)
- 7 古典講読
- (1) 指導計画の作成の基本的な考え方
- (2) 言語活動例の具体化
- (3) 「古典の現代語訳など」を取り入れた指導
- (4) 年間指導計画案
- 資料
- 1 教育課程審議会答申・国語
- 2 学校教育法及び同法施行規則(抄)
- 3 文部省告示第58号
- 4 高等学校学習指導要領・総則
- 5 高等学校学習指導要領・国語(平成11年版・平成元年版対照表)
- 6 中学校学習指導要領・国語
- 7 小学校学習指導要領・国語
- 8 言語活動例一覧(小・中・高等学校)
- 9 高等学校学習指導要領国語科の変遷
はじめに
高等学校学習指導要領は,平成11(1999)年3月29日に告示され,平成15(2003)年4月から,学年進行で実施されることになっています。
今回の教育課程の基準の改善は,学校週五日制の完全実施,司書教諭の配置など制度面での大きな変革を伴っていること,また,国全体として規制緩和,地方分権など国と地方との関係の再構築が行われていることなど,戦後最大級の改革の流れの中で行われました。したがって,今回の改善について,その趣旨や内容を的確に理解するためには,背景にこれらの改革の動きがあることを十分に認識する必要があります。
今回の改善によって,高等学校教育は,卒業単位数の縮減,必修単位数の縮減(選択幅の拡大),選択必修制の導入,学校設定科目・学校設定教科制の導入など,従来にまして柔軟な方向を目指しています。当然のことながら,国語科の改善もこの方針に沿って行われています。
教育課程の基準の改善を審議する教育課程審議会では,国語科について,授業が文学的な文章の詳細な読解に偏りがちであることが繰り返し指摘され,答申では,「互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う能力を育成すること」などに重点を置いて,内容の改善を図ることが求められました。
これを受け,文部省では,21世紀に生きていく子供たちが学校教育において是非とも身に付けておくべき国語の力とはどういうものか,その力を身に付けるために国語の授業はどのように改善していくべきかなどの視点から検討を行い,小・中・高等学校を通じて,教科の目標として「伝え合う力を高めること」を新たに位置づけました。
高等学校国語は,小・中学校国語と一体的に改善が行われ,特に社会人として必要とされる言語能力の基礎を確実に育成することを目指すことになりました。そのため,例えば選択必修制の導入,学校設定科目の設定,科目間の履修順序の工夫など,これまで以上に柔軟な選択履修を展開して,特色ある国語科教育課程を編成するとともに,各領域の調和の取れた指導が行われるよう,各科目に新たに示された言語活動例を活用して授業改善を進めるなど,各学校の創意工夫が一段と進められるよう強く期待されています。
新高等学校学習指導要領国語についての解説書『高等学校学習指導要領解説 国語編』は既に文部省から発行されていますが,本書は,その作成協力者にお願いして,それぞれの解釈と識見に基づいて自由に執筆していただいたものです。
本書が,新高等学校学習指導要領国語の趣旨と内容の的確な理解と授業改善に役立ち,21世紀の高等学校国語科教育の展開に資するものとなるよう,ご活用をお願いするものです。
平成12年5月 編者
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- 明治図書