- はじめに
- 本書の特長と使い方
- Chapter1 外国語活動の評価の考え方と新3観点の評価規準作成のポイント5
- 1.評価の考え方
- 2.評価の留意点
- 3.評価の観点について
- 4.評価規準の作成について
- 5.授業における評価方法
- Chapter2 外国語活動・全70時間の新3観点の評価規準作成マニュアル
- 1.第3学年“Let’s Try!1”35時間の評価規準作成マニュアル
- *本単元の評価規準作成例・各時間の主な活動と評価のポイント
- [Unit1] Hello! あいさつをして友だちになろう(2時間)
- [Unit2] How are you? ごきげんいかが?(2時間)
- [Unit3] How many? 数えてあそぼう(4時間)
- [Unit4] I like blue. すきなものをつたえよう(4時間)
- [Unit5] What do you like? 何がすき?(4時間)
- [Unit6] ALPHABET アルファベットとなかよし(4時間)
- [Unit7] This is for you. カードをおくろう(5時間)
- [Unit8] What's this? これなあに?(5時間)
- [Unit9] Who are you? きみはだれ?(5時間)
- 2.第4学年“Let’s Try!2”35時間の評価規準作成マニュアル
- *本単元の評価規準作成例・各時間の主な活動と評価のポイント
- [Unit1] Hello, world! 世界のいろいろなことばであいさつをしよう(2時間)
- [Unit2] Let's play cards. すきな遊びをつたえよう(4時間)
- [Unit3] I like Mandays. すきな曜日は何かな?(3時間)
- [Unit4] What time is it? 今,何時?(4時間)
- [Unit5] Do you have a pen? おすすめの文房具セットをつくろう(4時間)
- [Unit6] Alphabet アルファベットで文字遊びをしよう(4時間)
- [Unit7] What do you want? ほしいものは何かな?(5時間)
- [Unit8] This is my favorite place. お気に入りの場所をしょうかいしよう(4時間)
- [Unit9] This is my day. ぼく・わたしの一日(5時間)
- Chapter3 すぐに使える!新3観点の指導要録記入例&通知表の文例集
- 1.指導要録・通知表の記入,作成例について
- 2.第3学年 指導要録記入例&通知表の文例集
- ["Let's Try! 1"] Unit1〜9 指導要録記入例
- *単元ごとの記入例・いくつかの単元をまとめた記入例・観点ごとの記入例
- ["Let's Try! 1"] Unit1〜9 通知表の文例集
- *観点ごとの文例・いくつかの観点をまとめた文例
- 3.第4学年 指導要録記入例&通知表の文例集
- ["Let's Try! 2"] Unit1〜9 指導要録記入例
- *単元ごとの記入例・いくつかの単元をまとめた記入例・観点ごとの記入例
- ["Let's Try! 2"] Unit1〜9 通知表の文例集
- *観点ごとの文例・いくつかの観点をまとめた文例
- Chapter4 実録で分かる!できる!新3観点の外国語活動評価事例18
- 1.第3学年“Let’s Try!1”を使った評価事例
- *目標・計画・本時の主なねらい・展開・本時の活動と評価のポイント
- [事例1] Unit1 Hello! あいさつをして友だちになろう
- [事例2] Unit2 How are you? ごきげんいかが?
- [事例3] Unit3 How many? 数えてあそぼう
- [事例4] Unit4 I like blue. すきなものをつたえよう
- [事例5] Unit5 What do you like? 何がすき?
- [事例6] Unit6 ALPHABET アルファベットとなかよし
- [事例7] Unit7 This is for you. カードをおくろう
- [事例8] Unit8 What's this? これなあに?
- [事例9] Unit9 Who are you? きみはだれ?
- 2.第4学年“Let’s Try!2”を使った評価事例
- *目標・計画・本時の主なねらい・展開・本時の活動と評価のポイント
- [事例1] Unit1 Hello, world! 世界のいろいろなことばであいさつをしよう
- [事例2] Unit2 Let's play cards. すきな遊びをつたえよう
- [事例3] Unit3 I like Mondays. すきな曜日は何かな?
- [事例4] Unit4 What time is it? 今,何時?
- [事例5] Unit5 Do you have a pen? おすすめの文房具セットをつくろう
- [事例6] Unit6 Alphabet アルファベットで文字遊びをしよう
- [事例7] Unit7 What do you want? ほしいものは何かな?
- [事例8] Unit8 This is my favorite place. お気に入りの場所をしょうかいしよう
- [事例9] Unit9 This is my day. ぼく・わたしの一日
- 付録 まるごと早分かり!外国語活動の指導要録・評価関連資料
- 〔別紙1〕小学校及び特別支援学校小学部の指導要録に記載する事項等
- 〔別紙4〕各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨
- 小学校児童指導要録(参考様式)
はじめに
大阪樟蔭女子大学教授 /菅 正隆
2020(令和2)年4月より実施される学習指導要領に関し,事前に学習評価の課題と改善の基本方針が国から示されている。特に課題については,多くの方々がうなずけることと思う。まずは,評価の現状における課題として,以下の5点が示されている。
・学期末や学年末などの事後での評価に終始してしまうことが多く,評価の結果が児童生徒の具体的な学習の改善につながっていない。
・現行の「関心・意欲・態度」の観点について,挙手の回数や毎時間ノートをとっているかなど,性格や行動面の傾向が一時的に表出された場面を捉える評価であるような誤解が払拭しきれていない。
・教師によって評価の方針が異なり,学習改善につなげにくい。
・教師が評価のための「記録」に労力を割かれて,指導に注力できない。
・相当な労力をかけて記述した指導要録が,次の学年や学校段階において十分に活用されていない。
また,これらの課題に対し,学習評価の改善の基本方針として次のようにまとめられている。
@児童生徒の学習の改善につながるものにしていくこと
A教師の指導改善につながるものにしていくこと
Bこれまで慣行として行われてきたことでも,必要性・妥当性が認められないものは見直していくこと
学校における働き方改革が喫緊の課題となっていることも踏まえ,上記の基本的な考え方に立って,学習評価を真に意味のあるものとすることが重要とされている。指導をしっかりした上での評価であること,常に指導と評価の一体化を意識することが大切なのである。
外国語活動に転じて考えると,2020(令和2)年4月より,小学校中学年で外国語活動が実施され,これは,2011(平成23)年度から高学年で実施された日本初の外国語活動に次ぐ学習指導要領の2回目の改訂にともなうものである。この改訂の大きな変更点は,単に高学年から中学年に外国語活動が移行したということだけではない。それ以上に,指導の在り方及び評価の考え方,そして評価の観点が大きく異なっていることにある。総論(基となる力)は,前回も今回も同じく,子どもに身に付けさせるべき力=『生きる力』の育成である。しかし,各論(具体的な身に付けるべき力,観点)が外国語活動においては,前回の@コミュニケーションへの関心・意欲・態度,A外国語への慣れ親しみ,B言語や文化に関する気付きから,今回は@知識・技能,A思考・判断・表現,B主体的に学習に取り組む態度に改善された。特に,昨今,「考えようとしない子ども」「考える力が低下した子ども」「判断できない子ども」「言葉を上手く使えない子ども」など,巷間耳にする子どもの増加傾向に歯止めをかける意味でも,思考・判断・表現の重要性が叫ばれている。それが,今回の評価の考え方に如実に現れている。
これらを考えると,授業も根本的に考え直さなければならない。「外国語活動は楽しければよい」「ゲームばかりのお遊びの授業」「ピーチクパーチクの英語ごっこの授業」などと揶揄される授業から脱却する必要がある。まさに,funからinterestingの知的な学びを通した楽しい授業にしていかなければならない。しかも,子ども達が教師から一方的に教えられる受け身的な授業の形態ではなく,子ども自らが考える場面や子ども同士で創作する場面などをふんだんに盛り込んだ授業の構築が求められる。これらは,既に『小学校外国語活動“Let’s Try!1&2”の授業&評価プラン』(明治図書出版)に詳しいが,これと本書を活用いただければ,小学校における外国語活動での困難さを感じることはない。
また,外国語活動は高学年の教科「外国語」につながるものである。外国語活動は領域であり,しかも,週1回程度であることから,授業を軽視することは子ども達にリスクを負わせることになる。つまり,外国語活動で既に英語嫌いの子どもをつくったり,教師が授業で手を抜くことで高学年の外国語の授業でちんぷんかんぷんにしてしまったりと,罪深いことをしてしまうことになりかねない。したがって,指導をしっかりと行い,評価はそれを確認するためのものとするように努めることである。それが子どものためでもあり,教師自身の指導力向上にもつながるのである。
本書では,評価の考え方や目標(@知識及び技能,A思考力,判断力,表現力等,B学びに向かう力,人間性等)の立て方,学習評価(@知識・技能,A思考・判断・表現,B主体的に学習に取り組む態度)の評価規準の作り方,指導要録の書き方や通知表の書き方まで事細かに例を示している。先に示したように,多忙な先生方にとって,普段の授業から学期末や学年末の通知表や指導要録の作成に至るまでの評価の参考になれば幸いである。
最後に,本書の執筆を担当した方々は,それぞれの地域で長年に渡り外国語教育に携わってきた先生方である。自信をもってお奨めできる一冊である。
例文等もあり、所見の作成時に役立った。