- はじめに
- 序章 つまずき解消で子どもの「できた!」を増やす
- @ 運動の苦手な子へ指導者ができること
- A 褒めることで最大の効果を得る
- 第1章 体つくり運動
- 1 体ほぐしの運動 両足ジャンプができない
- 両足で地面を蹴って地面から浮くことができているか/両足を地面から離すことができているか
- 2 体ほぐしの運動 ケンケンができない
- 片足ジャンプが連続でできているか/ケンケンのための正しい姿勢ができているか
- 3 体ほぐしの運動 スキップができない
- スキップの動き方が理解できているか/個々の動作はつながっているか
- 4 体ほぐしの運動 上体起こしが一度もできない
- お腹への力の入れ方はあっているか/腹筋に力が入るように体をうまく使えているか
- 5 多様な動きをつくる運動 片足立ちを長い時間維持できない
- 視線は固定されているか/気をつけの姿勢が維持できているか
- 6 多様な動きをつくる運動 平均台を上手に渡ることができない
- 視線や姿勢にぎこちなさはないか/高さに恐怖心をもっていないか
- 7 瞬発力 反復横跳びを素早くできない
- 膝を曲げて腰を落とせているか/20秒間集中して取り組めているか
- 8 短なわ 前跳びを1回も跳ぶことができない
- なわをきれいに回すことはできているか/余分な力は入っていないか
- 9 短なわ 前跳びを連続で跳ぶことができない
- 1回目跳んだ後に持ち手がさがっていないか/1回目同様優しく大きく回せているか
- 10 短なわ 跳ぶ回数を伸ばすことができない
- 正しい跳び方か,集中はきれていないか/やみくもに回し,跳んでいないか
- 11 短なわ 後ろ跳びをうまく跳ぶことができない
- 持ち手の位置が不安定になっていないか/姿勢が崩れていないか
- 12 短なわ あや跳びをうまく跳ぶことができない
- なわを交差できているか/なわを力いっぱい回していないか
- 13 短なわ 二重跳びを1回も跳ぶことができない
- なわは十分な速さで回せているか/素早く2回目を跳ぼうとしているか
- 14 長なわ 大なわとびを跳ぶことができない
- 大なわ全体の動きを把握できているか/入るタイミングはあっているか
- コラムpart1 授業の最初はまず動くことから!
- 第2章 器械運動
- 1 マット運動 前転ができない
- 手のひらは全部床につき,腕はまっすぐに伸ばせているか/背中は回りやすいよう丸くなっているか
- 2 マット運動 前転から立ち上がることができない
- 足が伸びてしまっていないか/体は起き上がりやすいよう丸くなっているか
- 3 マット運動 後転時に足を持ち上げることができない
- 体は緊張で固くなっていないか/足上げの勢いは足りているか
- 4 マット運動 開脚前後転で脚を広げることができない
- 脚を広げるタイミングはあっているか/床をしっかりと押すことはできているか
- 5 マット運動 倒立で自分の身体を支えることができない
- 腕の筋肉で体を支えていないか/目線は定まっているか
- 6 マット運動 倒立で足を上げることができない
- 背中は曲がっていないか/逆さになることに恐怖心をもっていないか
- 7 マット運動 側転ができない
- 手の出し方,全体の動きの流れは分かっているか/腰は曲がっていないか
- 8 跳び箱 踏切動作がうまくできない
- 脚は揃っているか/踏み込み動作前に余裕はあるか
- 9 跳び箱 着手からの体重移動がうまくできない
- 自重を支えるのに十分な腕の力はあるか/反復練習を嫌がっていないか
- 10 跳び箱 ロイター板でうまく跳ぶことができない
- 体に余分な力が入っていないか/ロイター板の勢いをうまく活かせているか
- 11 鉄棒 鉄棒に乗ることができない
- ひじは伸ばして体を支えられているか/乗り上げる勢いは十分か
- 12 鉄棒 ツバメの体勢を維持できない
- ひじで体を支えられているか/一人でバランスをとることができているか
- 13 鉄棒 前回りができない
- 回ることに抵抗を感じていないか/回ることに恐怖を感じていないか
- 14 鉄棒 逆上がりができない
- ぶら下がる,回る感覚は十分か/無理な助走をつけていないか
- コラムpart2 二重跳びができればハヤブサもすぐできる
- 第3章 陸上運動
- 1 短距離走 スピードを出すことができない
- スタートで正しい姿勢をとれているか/走る際に十分に腕を振ることはできているか
- 2 長距離走 長距離を走ることができない
- 長距離走自体を嫌がっていないか/すぐに走ることをやめてしまっていないか
- 3 立ち幅跳び・走り幅跳び 立ち幅跳び・走り幅跳びで遠くへ跳ぶことができない
- 上半身と下半身の動きは連動しているか/助走からの踏切はきれいな体勢でできているか
- 4 走り高跳び 走り高跳びで高く跳ぶことができない
- 基本的な動きはできているか/助走からそのままバーにぶつかっていないか
- コラムpart3 話を聞いて実行できた子を褒める それを聞いて修正した子はもっと褒める
- 第4章 水泳運動
- 1 水慣れ 水に顔をつけることができない
- あごをつけることはできているか/水に恐怖心をもっていないか
- 2 水慣れ うまく呼吸ができない
- 鼻に水が入ってしまっていないか/呼吸をするタイミングは分かっているか
- 3 けのび けのびがうまくできない
- まっすぐ体を伸ばせているか/すぐに立ち上がってしまっていないか
- 4 クロール クロールでうまく進むことができない
- 手でかくスピードが速すぎていないか/力いっぱいにバタ足をしていないか
- 5 クロール クロールの息継ぎができない
- 泳ぎながらの呼吸の動きはそもそもできているか/息継ぎに必死で体勢が崩れていないか
- 6 平泳ぎ 平泳ぎのタイミングをつかむことができない
- 手足の動きのリズムは分かっているか/手足の動きは連動しているか
- コラムpart4 アヒル座りで運動が苦手になる?
- 第5章 ボール運動
- 1 投球 ボールをうまく投げることができない
- 手首の返しはうまく使えているか/余分な力が入っていないか
- 2 投球 遠くまで投げることができない@
- 体が正面以外に向いていないか/ボールが曲がってしまっていないか
- 3 投球 遠くまで投げることができないA
- 体重移動はできているか/足がつく前にボールを手放していないか
- 4 投球 助走からうまく投げることができない
- 走る勢い・ボールのサイズは適切か/足(下半身)をうまく動かせているか
- 5 捕球 ボールを捕ることができない
- 捕球の姿勢はできているか/恐怖で,全身に力が入っていないか
- 6 捕球 いろいろな方向からのボールを捕ることができない
- 方向に合わせて足は動いているか/無理に強い力で投げる・捕ろうとしていないか
- 7 蹴球 ボールをうまく蹴ることができない
- 足を振りかぶることはできているか/蹴る動作を分かっているか
- コラムpart5 いろいろ注意せずまずは目線だけ
- 第6章 表現運動
- 1 リズム テンポをうまく取ることができない
- リズムをまず理解できているか/リズムにあわせて体を動かすことができているか
- 2 リズム ステップが覚えられない
- 視覚で見たステップを自分の中でイメージできているか/ステップは頭の中で定着しているか
- 3 表現 振りを覚えることができない
- リズム・ステップはそれぞれ理解できているか/曲内での振りのつなぎはうまくできているか
- おわりに
はじめに
運動が苦手な子を専門とした運動指導や発達障がいを専門とする運動教室を運営し,今まで数多くのお子さんの運動の苦手に向き合ってきました。
・大なわに入れず不登校になった子
・走るのが遅くていじめにあった子
・ボール投げの記録が1mの子
など,多くの子どもたちに指導をしてきました。この本を読まれる指導者の方も,以前当たり前のようにできていた子どもたちが,できなくなってきていると感じるのではないでしょうか。
苦手な子から話を聞くと,「どうせできないし」「できないからつまらない」といった言葉が出てきます。そうです。できるようにならないから「つまらない」のです。小学校の算数は足し算・引き算・掛け算・割り算と簡単なことから徐々に難しくなっていきます。その都度段階的にやり方を教えて行えば,小学校が終わるころには一定の学力が担保されるわけなのですが,体育では投げる・捕る・避けるといった複合要素が入ったドッジボールが突然はじまります。苦手な子は算数でいうところのいきなり掛け算をやらされるわけです。これではスポーツクラブ等で行っていた子は楽しいですが,全くやっていない子にとっては苦手になっても仕方のない環境とは言えないでしょうか。
体育に限らずですが,全ての教育は簡単から難しくしていくことで,まずはできているという自信を得て,できないことへの意欲の向上につながるのです。この本では両足ジャンプやスキップ,なわとびの1回の跳び方等,今まで指導法が存在しなかった当たり前の動作も「段階的」に指導することによって,できるようになる方法を紹介しています。「体育が嫌い!」という子が少しでも減るように参考にして頂ければ幸いです。
2021年1月 株式会社ボディアシスト 取締役 /西薗 一也
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- 明治図書
- 運動が苦手な子のつまずきが具体的にわかりやすく、多様な教材が網羅されていて非常に参考になります。2021/3/1330代・小学校教員