中学校理科の個別最適な学び・協働的な学び

中学校理科の個別最適な学び・協働的な学び

新刊

総合81位

自己決定×自己調整×相互啓発で新しい理科授業を

観察・実験を行うことが多い理科授業において、どのように個別最適な学びと協働的な学びを実現するか。「自己決定」「自己調整」「相互啓発」の3つの切り口から紹介。単元内自由進度学習、探究的な学びなどの注目されている方略も含んだ充実の1冊。


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PDF
ISBN:
978-4-18-303720-6
ジャンル:
理科
刊行:
対象:
中学校
仕様:
四六判 176頁
状態:
在庫あり
出荷:
2025年11月6日

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 中学校理科における個別最適な学び・協働的な学び
1 中学校理科の学習指導要領の構成
2 理科の目標のとらえ方
3 指導の個別化・学習の個性化
4 個別最適な学び
5 自己決定と自己調整
6 協働的な学び
7 探究的な学び
コラム 旧来型のチョーク&トークの教育実習
第2章 自己決定を核とした個別最適な学びを目指した実践事例
1 観察対象を選択肢の中から選ぶ
(第1学年 生物領域 生物の観察と分類の仕方)
2 観察対象を自由に選ぶ
(第1学年 地学領域 地層の重なりと過去の様子)
3 単元内自由進度学習を行う
(第1学年 物理領域 力の働き)
4 実験計画の立案で自己決定を促す
(第3学年 化学領域 化学変化と電池)
コラム 生徒の行動を含めた授業構成
第3章 自己調整を核とした個別最適な学びを目指した実践事例
1 やり直しレポートを作成する
(第2学年 物理領域 電流)
2 シミュレーション教材を活用する
(第3学年 生物領域 生物と環境)
3 教材を自由に選択して使える環境を整える
(第3学年 地学領域 天体の動きと地球の自転・公転)
コラム 授業改善に役立つICT
第4章 相互啓発を核とした協働的な学びを目指した実践事例
1 バイキング形式で観察・実験計画を立てる
(第1学年 化学領域 物質のすがた)
2 条件制御を意識して実験計画を立てる
(第1学年 物理領域 力の働き)
3 作成したレポートの相互評価をする
(第2学年 化学領域 化学変化)
4 共有機能を利用して観察・実験計画を立てる
(第2学年 生物領域 植物の体のつくりと働き)
5 協働的に資料の情報を分析する
(第2学年 地学領域 日本の気象)
6 自分の意見に自信度を設定する
(第3学年 物理領域 力のつり合いと合成・分解)
7 グループレポートを作成する
(第3学年 地学領域 太陽系と恒星)
コラム ICTの波
コラム 個別最適な学びを行う意味
おわりに

はじめに

 中央教育審議会(以下,中教審)の答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現〜」は,令和3年1月に明らかになりました。その当時の学校現場は,収束が見通せないコロナ禍の対応に追われ,それどころではありませんでした。しかし,未来を見据え,考え抜かれた提案がいくつも記されているこの答申は,その後の教育界に,じわじわと浸透し始めています。


 数ある提案の中でも,「『個別最適な学び』と『協働的な学び』を一体的に充実し,『主体的・対話的で深い学び』の実現に向けた授業改善につなげていく」という部分は,特に意義深いものです。中でも,答申で指摘されるまでもなく,実現すべきだと考えてはいる「個別最適な学び」という文言が,現場教師の胸に刺さります。「個別最適な学び」は新しい文言ですが,「指導の個別化・学習の個性化」であれば,実は,昭和の時代からすでに学校現場で唱えられていました。以前から大切にすべきだということはわかっていました。ただ,納得できるような形には,なかなかできなかった…答申は,そこを突いた形です。本書のテーマともつながっています。

 理想的な授業の形態として,「できればやってみたいが,現状では難しい」というのが,教師の本音です。「40人学級の生徒集団では難しいが,少人数学級が導入されれば,ハードルが下がる」と考えている教師もいるでしょう。実現を目指したいのです。

 その一方で,「個別最適な学び」との一体的な充実を求められている「協働的な学び」は「何とかなる」という教師が多いようです。「個別最適な学び」に比較すれば,実現の可能性は高いでしょう。ただ,「協働的な学び」と「個別最適な学び」との一体的な充実が求められており,「主体的・対話的で深い学び」を実現することで,その成果が表れます。

 また,本書では,ICTを活用した事例をいくつも掲載しました。「単元内自由進度学習」の事例も掲載しました。いずれも個々の生徒へ支援することが前提で,確かに,一斉授業より,授業の準備が必要になります。観察・実験の指導のスキルにさえ慣れていない若い教師には,なおさらハードルが高いでしょう。

 できない理由,やれない言い訳を並べても,前には進めません。


 今の学校で無理なくできることは何か…具体的な事例を通して明らかにしたいと考えました。


 それが,本書の刊行のねらいです。


 第1章では,個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させるにあたり,中学校理科での背景を明らかにしました。

 第2章以降では,14の具体的な実践例を,解説とともに紹介しました。


 特別支援が必要な生徒を含め,全ての生徒が有能な学び手であり,学びの環境が整いさえすれば,自ら進んで学んでいきます。


 その実現に,本書が役立てば,幸いです。


  2025年盛夏   /山口 晃弘

著者紹介

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)著書を検索»

東京農業大学 教職・学術情報課程 教授

1961年福岡県生まれ。元東京都公立中学校校長,中央教育審議会専門委員,文部科学省・学習指導要領等改善検討協力者,国立教育政策研究所・評価規準,評価方法等の工夫改善に関する調査研究協力者。全国中学校理科教育研究会・顧問。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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