- はじめに
- 1章 自由進度学習と「個別最適な学び・協働的な学び」
- 1 自由進度学習とは
- 2 「個別最適な学び」とは
- 3 「協働的な学び」とは
- 4 中学校理科における「個別最適な学び」と「協働的な学び」
- 5 だから今,自由進度学習が求められる!
- コラム 私が自由進度学習を始めたきっかけ
- 2章 自由進度学習の始め方
- 1 自由進度学習の始め方
- 2 進度表の作成
- 3 進度表をもとにした授業の流れ
- 4 1人1台端末の活用@ デジタルコンテンツの活用
- 5 1人1台端末の活用A 学習サイトを中心とした自由進度学習
- 6 1人1台端末の活用B Padletを活用して協働的な学びをつくる
- 7 自由進度学習に向けた準備物と環境整備
- 8 自由進度学習における単元テストと単元の振り返り
- 9 評価に向けて
- コラム 授業動画のつくり方
- 3章 自由進度学習の具体的指導
- 1 自由進度学習1回目の授業例〜自由進度学習のガイダンス〜
- 2 自由進度学習2回目の授業例〜進度表に沿って実際に1つの学習内容を進める〜
- 3 自由進度学習3回目の授業例〜グループをつくらせ自由進度学習を始める〜
- 4 自由進度学習4回目以降の授業例〜進度を意識させる工夫〜
- 5 自由進度学習にメリハリをつけるミニレッスン
- 6 探究の過程と自由進度学習
- 7 自由進度学習における実験について
- 8 単元テストにおける指導
- コラム 自由進度学習を受けた生徒の感想(単元の振り返りより)
- 4章 中学校理科 自由進度学習のQ&A
- Q1 自由進度学習と自習って何が違うんですか?
- Q2 自由進度学習にするとサボる生徒が現れるのでは?
- Q3 自由進度学習で成績は下がらないの?
- Q4 単元の始めに全ての課題を準備するのは大変ではないですか?
- Q5 問題解決はみんなでするものでは?
- Q6 生徒に一斉授業の方がいいと言われたら?
- Q7 自由進度学習にデメリットはないの?
- Q8 周囲の先生の理解が得られそうにないのですが?
- おわりに
はじめに
「自由進度学習」という言葉をいろんなところで聞くようになりました。この本を手に取ってくださったということは,あなたは自由進度学習を実践してみたい先生,もしくはすでに実践されている先生でしょうか。どちらにしても自由進度学習に興味がある教育熱心な方のはずです。
中学校の理科に特化した自由進度学習の情報は調べてもなかなかでてきません。なぜ知っているのか? 私自身が自由進度学習を始める上で調べ尽くしたからです。タイトルに「自由進度」と書かれた本は全て読みました。しかし,中学校理科について書かれているものはごく一部。多くが小学校の実践であり,中学校での実践を見つけても理科の実践報告は少なく,授業のイメージをもつことは正直できませんでした。
自分自身でつくりあげるしかないと考え,小学校の実践や他教科の先生の実践をもとに,自分なりの自由進度学習の形をつくりあげました。もちろん,まだまだ改善の余地があると考えていますが,これから自由進度学習を始めたいと考えている全国の理科の先生の役に少しは立てるはずです。
この本は,全部で4つの章に分かれています。1章では,「今,自由進度学習が注目されている理由」について,2章では,「自由進度学習の具体的な始め方」について,私の実践をもとにお伝えします。自由進度学習は,これまでの授業スタイルとは異なる部分が多く,授業のイメージがもちにくいように感じます。私が実践している自由進度学習の進め方を紹介することで,自由進度学習の始め方のイメージをもっていただけるはずです。3章では,「自由進度学習を実際に始める際の具体的な指導内容」をお伝えします。自由進度学習は生徒にとっても新しい学習スタイルです。最初の授業で自由進度学習のガイダンスを行うなど通常の授業とは異なるアプローチが必要になります。また,自由進度学習を軌道に乗せるにはガイダンスだけでは足りません。2回目,3回目の授業でもそれぞれ意識するべきことがあります。1〜4時間目までの授業での,教師の具体的な指示や意識するべきポイントをお伝えします。4章では,「自由進度学習に対しての疑問」についてQ&A形式でお答えしたいと思います。読み終えたころには,私が実践する中学校理科の自由進度学習の形をイメージしてもらうことができるはずです。
「自由進度学習」は,軌道に乗せるのは難しいですが,一度軌道に乗せれば,生徒は主体的に学習を進めることが当たり前になります。例えるなら人工衛星の打ち上げのようなイメージでしょうか。人工衛星は打ち上げるときが最も事故が起こりやすいです。一度事故が起こってしまうと修正するのはとても大変です。自由進度学習を始めようとしたけれど,上手くいかなくて結局もとの授業方法に戻してしまう……教師として面目が立ちませんよね。自由進度学習という言葉を研修等で聞くことが多いのに実践者が少ないのは,
・始め方がイメージしにくい
・今までの学習方法を大きく変える必要がある
・自由進度学習が上手くいかなかったとき,進度が生徒によって異なるため,もとの授業方法に戻すことが難しい
といった理由があるのではないでしょうか。教師は失敗が嫌いな人が多いように思います。『教室はまちがうところだ』(蒔田晋治・作,長谷川知子・絵,子どもの未来社)がこれだけ学校で読まれているのに不思議です。子どもは「大人の挑戦する姿」から,挑戦することを学びます。これからは「変化」の時代です。もし興味をもっているのなら,変化を恐れずチャレンジしてみませんか。挑戦する姿を子どもに見せ,生徒と共に一つ上の授業をつくりあげていきましょう。
/窪田 一志















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本校の生徒にあった、自由進度学習を考えていきたいです。