- はじめに
- 本書を使用するうえでのご注意(※必ずお読みください)
- 第1章 アイテム&アイデア活用のポイント
- 1 ねらいを明確にする
- 2 準備・予備実験を徹底する
- 3 生徒の実態に合わせる
- 4 TPOに応じて授業の内容を変える
- 5 使いどころを精選する
- 6 無理はしない
- 7 さらなるレベルアップを目指して
- 第2章 分野別 授業で使えるアイテム&アイデア100
- 物理分野
- 1 頭の大きさがわかっちゃう! 鏡の実験(1年/光の反射・屈折)
- 2 光の単元を盛り上げる! 3色の下敷き(1年/光の反射・屈折)
- 3 光の性質を学べる! 100均レインボーライト(1年/光の反射・屈折)
- 4 ガラスを溶かす液体!? 授業を盛り上げる光の屈折マジック@(1年/光の反射・屈折)
- 5 先生は魔法使い? 授業を盛り上げる光の屈折マジックA(1年/光の反射・屈折)
- 6 凸レンズの性質に楽しく気づく! 窓枠×虫眼鏡のお手軽実験(1年/凸レンズの働き)
- 7 レンズの性質がすんなりわかる! 炭酸ペットボトルの爆笑実験(1年/凸レンズの働き)
- 8 「音=振動」であることが学べる! お手軽楽器&塩のダンス(1年/音の性質)
- 9【ICT】 オシロスコープをグッと手軽に! フリーソフト「振駆郎」(1年/音の性質)
- 10【ICT】 好きな周波数の音を自由自在に出せる! フリーソフト「発音」(1年/音の性質)
- 11 素手で電気を感じる! アルミホイルのプチ感電装置(2年/電流)
- 12【ICT】 生徒一人ひとりが自由に回路をつくれる! 回路のシミュレーション教材(2年/回路と電流・電圧)
- 13 電流計・電圧計の学習がスムーズに! くるくる電流計&電圧計(2年/回路と電流・電圧)
- 14 仕組みがしっかり見える! 巨大クリップモーター(2年/磁界中の電流が受ける力)
- 15 仕組みがしっかり見える! 巨大二極モーター(2年/磁界中の電流が受ける力)
- 16 水圧を体感しながら学べる!@ 傘袋の実験(3年/水中の物体に働く力)
- 17 水圧を体感しながら学べる!A ペットボトルとピンポン玉の実験(3年/水中の物体に働く力)
- 18【ICT】 運動の様子をビジュアルに記録できる! カメラアプリ「モーションショット」(3年/運動の速さと向き)
- 19 作用反作用の法則を学べる! 風力で進む不思議な車(3年/力と運動)
- 20 物理の計算はこれでばっちり! 仮面ライダー(全学年)
- 化学分野
- 21 1年生の心をつかむ! 魔法の液体マジック@(1年)
- 22 1年生の心をつかむ! 魔法の液体マジックA(1年)
- 23 液体の密度が目で見てわかる! 水と油とエタノールの実験(1年/身の回りの物質とその性質)
- 24 理科の授業開きはこれでばっちり! ブタンのファイヤーショー(1年/気体の発生と性質)
- 25 気体の重さを実感できる! 風船&シャボン玉実験(1年/気体の発生と性質)
- 26 思考力と実験技能が試される! 醤油から塩だけを取り出す実験(1年/水溶液)
- 27 マッチの性質を正しく理解させる! マッチの火でクラスマッチ(1年/ガスバーナーの使い方)
- 28 水蒸気への理解が深まる! エレビーカー(1年/状態変化と熱)
- 29 火を止める前にガラス管を抜くのはなぜ? ぶくぶくおっとっと実験(2年/物質の分解)
- 30 原子・分子を楽しく覚える! 歌&ペーパーアイテム(2年/原子・分子)
- 31【ICT】 原子を楽しく学べる! おもしろ周期表(2年/原子・分子)
- 32【ICT】 分子の学習が自由自在! 分子モデルをつくれる「MolView」(2年/原子・分子)
- 33 質量保存の法則を実感できる! 炭素の燃焼実験(2年/化学変化と質量の保存)
- 34 身近な液体で思考力を培う! 電解質の実験(3年/原子の成り立ちとイオン)
- 35 原子を視覚的に理解できる! カプセル原子モデル(3年/原子の成り立ちとイオン)
- 36 電池の仕組みを楽しく学べる! 55円電池の実験(3年/化学変化と電池)
- 37 酸・アルカリの実験をもっと安全に! 酢酸と重曹水(3年/酸・アルカリ)
- 38【ICT】 良質な動画を生徒に届ける! 「物質・材料研究機構」ムービーライブラリ(全学年)
- 39 安全・安い・環境にやさしい! 100均アイテムでマイクロスケール実験(全学年)
- 40 化学と物理の知識を駆使する! 電気パンづくり(3年)
- 41 化学の授業を盛り上げる! 化学の語呂合わせ集(全学年)
- 生物分野
- 42 花や葉のつくりは触って学ぶ! 実物直貼りでノートづくり(1年/植物の体の共通点と相違点)
- 43 花のつくりをじっくり知る! 造花を使った学びの深め方(1年/植物の体の共通点と相違点)
- 44【ICT】 書画カメラの拡大機能をフル活用! 植物当てクイズ(1年/植物の体の共通点と相違点)
- 45【ICT】 超高機能の植物図鑑が手軽に使える! 千葉県立中央博物館「野草・雑草検索図鑑」(1年/植物の体の共通点と相違点)
- 46【ICT】 植物の名前がすぐわかる! アプリ「Google レンズ」(1年/植物の体の共通点と相違点)
- 47【ICT】 教室で手軽に人体を学べる! ポップアップ人体図鑑(2年/生命を維持する働き,刺激と反応)
- 48 臓器も本物を用意する!? 「モツ」で学ぶ臓器の仕組み(2年/生命を維持する働き)
- 49 魚からヒトの構造を考えさせる! カタクチイワシの解剖(2年/生命を維持する働き,刺激と反応)
- 50 心臓のつくりを実物から学べる! 鳥の心臓の解剖(2年/生命を維持する働き)
- 51 クラス全員が参加できる! アサリの解剖実験(2年/生命を維持する働き,刺激と反応)
- 52 骨格の「なぜ?」が学べる! ストローと割りばしで骨格モデル(2年/刺激と反応)
- 53 縁日のおもちゃでできる! 立体筋肉モデル(2年/刺激と反応)
- 54 誰でも簡単に成功する! 九条ネギで細胞分裂観察実験(3年/細胞分裂と生物の成長)
- 55 誰でも簡単に成功する! ホウセンカの花粉管伸長観察実験(3年/細胞分裂と生物の成長)
- 56 遊びながら生態系を学べる! 食物連鎖カードゲーム(3年/自然界のつり合い)
- 57【ICT】 仮想世界で生態系を学べる! フリーソフト「食物連鎖シミュレーション」(3年/自然界のつり合い)
- 58 リアルな生と死を通して分解者を学ぶ! 絵本『死を食べる』(3年/自然界のつり合い)
- 59 安くてリアル! 生徒が食いつく科学ガチャ(全学年)
- 60 生物の授業でいつでも大活躍! SOIL-SHOP生物教材製作所ペーパークラフト(全学年)
- 61 生物の授業を盛り上げる! 生物の語呂合わせ集(全学年)
- 地学分野
- 62 鉱物を手軽に観察できる! 鹿沼土の観察実験(1年/火山活動と火成岩)
- 63【ICT】 等粒状組織と斑状組織を全員で観察できる! 岐阜聖徳学園大学「デジタル偏光顕微鏡」(1年/火山活動と火成岩)
- 64【ICT】 日本中の地形図を見られる! フリーソフト「カシミール3D」(1年/火山活動と火成岩)
- 65【ICT】 リアルタイムの火山の様子がわかる! 気象庁ライブカメラ(1年/火山活動と火成岩)
- 66【ICT】 地震の学習の幅が広がる! 「地震本部」ホームページ&「地震計」アプリ(1年/地震の伝わり方と地球内部の働き)
- 67【ICT】 断層を実感できる! Google Earthで見る伊豆半島石廊崎断層(1年/地震の伝わり方と地球内部の働き)
- 68 気圧を体感できる! 2階からストローでジュースを飲む実験(2年/気象要素)
- 69 机が軽々持ち上がる!? ゴム板とお鍋の蓋の「気圧体感器」(2年/気象要素)
- 70 思考力が試される! うずらの卵とペットボトルの面白実験(2年/気象要素)
- 71 空気の温度による変化がわかる! ペットボトルしょんべん小僧(2年/気象要素)
- 72 気象の分野をお手軽に学べる! ペットボトルで雲&トルネードづくり(2年/霧や雲の発生)
- 73 宇宙の単元で大活躍! 地球儀ビーチボール&黄色のボール(3年/地球と宇宙)
- 74【ICT】 天体の動きを自在にシミュレーションできる! フリーソフト「Mitaka」(3年/地球と宇宙)
- 75【ICT】 視覚的に理解できる! 「Mitaka」で日食と月食をシミュレーション(3年/月や金星の運動と見え方)
- 76 日射量の理解が深まる! 乾燥パスタ&ペットボトル(3年/太陽の様子)
- 77 天体の見え方が立体的にわかる! マグネットシート&地球儀(3年/日周運動と自転)
- 78【ICT】 月の満ち欠けの教具をさらにわかりやすく! ウェブカメラで教具アレンジ(3年/月や金星の運動と見え方)
- 79【ICT】 天文情報が盛りだくさん! 名古屋市科学館のホームページ(3年/地球と宇宙)
- 80【ICT】 NASAの貴重な画像や動画が見られる! NASA Image and Video Library(3年/地球と宇宙)
- 81【ICT】 ボールが地球儀・天体儀に変身! デジタル地球儀「ダジック・アース」(3年/地球と宇宙)
- 82 地学の授業を盛り上げる! 地学語呂合わせ集(全学年)
- 学習環境
- 83 構造の理解に役立つ! ペーパークラフト
- 84【ICT】 教科書がフリップボードに大変身! 書画カメラ+付箋
- 85【ICT】 クラス全体での共有に役立つ! スマホ・タブレットのミラーリング
- 86【ICT】 教室で簡単に顕微鏡が使える! デジタル顕微鏡
- 87 授業がグッとスムーズになる! 両面マグネットシート&カラー輪ゴム
- 88 計算が苦手な生徒も自分で解ける! 図の提示で計算のパターン化
- 89【ICT】 授業の流れを系統的に示せる! マインドマップ
- 90【ICT】 導入で使える! NHKの大科学実験&考えるカラス
- 91【ICT】 生徒の視覚に訴える! DVD付き図鑑
- 92【ICT】 授業で使える素材が満載! 「理科ねっとわーく」おすすめ10選
- 93【ICT】 授業時間を見える化する! Time Timer &キッズタイマー
- 94【ICT】 専門的な計算も自由自在! CASIO「ke!san」
- 95 実験が楽になる! シロカの「おりょうりケトル ちょいなべ」
- 96【ICT】 豊富な実験器具イラストが手に入る! 「研究.net」の研究イラスト素材
- 97【ICT】 ちょうどいいサイズの動画が詰まってる! 『「なぜ?」に挑んだ科学の歴史100』
- 98【ICT】 PCレスで動画や画像を再生できる! ポータブルメディアプレイヤー
- 99【ICT】 スマホ・タブレットでフラッシュカードがすぐできる! 「フラッシュカードメーカー」
- 100【ICT】 反転学習に使える! ふたば塾のデジタル教材
- おわりに
- 【ICT】このマークのある項目はICTを活用しています
はじめに
「理科離れ」という言葉を聞くたびに私の頭には「?」が浮かびます。不思議ですよね。だって,理科はこんなに楽しいはずなのに…。私は,理科離れが叫ばれ続ける原因は「子どもたちに理科の楽しさを十分に伝えられていないから」だと考えるようになりました。もしそうなら,子どもたちに理科の楽しさを伝えられる「楽しく学びのある授業」を行うことができれば,「理科離れ」を止めることができるはずです。
理想の授業は子どもたちが自ら理科の授業内容に興味をもち,教師とともに疑問を解き明かしていく形だと思います。しかし,すでに理科嫌いになっている子どもたちもいます。だからこそ「興味深い」より前に「楽しさ」が必要なのです。子どもは自分に正直です。楽しいこと,興味のあることに対しては目が輝きます。嫌々やらされているときの目は澱みます。まずは,子どもたちの目が輝く,楽しさを前面に押し出した授業から始めるのはどうでしょうか?「理科は楽しい」がある日,「理科は興味深い」に変わる日がきます。では,子どもに理科を楽しいと思わせるためにはどのような授業を行えばいいのでしょうか。私は,教師自身が授業を楽しむことが一番大切だと思います。子どもが楽しい授業は,例外なく教師も楽しい授業です。そして,そんな授業を行うために必要なのが教材や教具なのです。
この本では,100均グッズからICTまで様々な教材や教具を紹介しています。第1章では,この本で紹介している教材や教具を活用する上でのポイントを書きました。第2章では,数ある教材・教具,ICTを活用したデジタル教材の中から特に,授業ですぐに使える選りすぐりの教材や教具を100挙げさせていただきました。物理,化学,生物,地学,学習環境の5つの分野ごとに,学年や難易度も併記しているので,「授業をもう一ひねりしたい」というときに活用していただけると思います。
私は授業直前に思いついたことを,そのまま授業に取り入れることがあります。もちろん失敗することもありますが,成功することの方が多いです。この「思いつき」を実行に移せるかどうかが授業力の向上に繋がると感じます。教師はまじめな人が多いです。そして失敗が嫌いです。1〜3年生まで一通り経験すると,どうしても以前の授業スタイルに固執しがちです。しかし,以前と同じ授業スタイルを継続していては,授業力は上がりません。授業力を上げるために必要なこと,それは今まで使ったことがない教材や教具を取り入れるなど,新たな授業スタイルにチャレンジすることです。
「NASAよりも宇宙に近い町工場」と呼ばれる植松電機の社長である植松努さんは,人間の自信と可能性を奪う言葉「どーせむり」をなくすために宇宙開発を始めました。彼は教育についてこう述べています。
「教育は,死に至らない失敗を安全に経験させるためのものだったはず。しかし,失敗をマイナスだと思っている大人によって子どもたちの可能性と自信が奪われている」(※参考:2014年7月13日「TEDxSapporo」スピーチ「思うは招く」)
やったことのないことにチャレンジすればもちろん失敗します。しかし,私たち教師が失敗も含めてチャレンジする姿勢を見せることが子どもたちの「チャレンジ(成長)」に繋がります。この本の中にはあなたの知らない教材や教具が必ずあるはず。「やったことがないことをやってみよう!」の精神で授業に取り入れていただけると嬉しいです。
2020年7月 /窪田 一志
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- 明治図書