支援の技術シリーズ306年生の「学習技能」を鍛える

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六年生にに身につけさせたい「学習技能」とは/授業を通して鍛える「学習技能」/生活指導を通して鍛える「学習技能」/自学ノートを通して


復刊時予価: 2,277円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-283601-4
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 120頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

T 六年生に身につけさせたい「学習技能」とは
一 ぎ・の・うを育てていこう!
1 六年生担任の心
2 六年生に育てたい学習技能
3 問題発見力の高め方
4 書く力の高め方
5 受け身ではなく主体的に
6 自尊感情を大切に!
二 授業びらき一週間で「自学自習」の技能をこう教える
11 言葉遊びで、自学を語る
2 「はてな?」を見つける力を育てる
3 授業中に、家庭学習の方法を教える
4 自学に発展する単元展開を工夫する
三 簡潔な話し方を鍛える
1 教師が発言の手本を示す
2 発言の型を日々指導していく
3 授業記録を読み合う
4 すぐれた授業記録から話し方を学ぷ
四 自らを鍛える教師
1 学習の遅れを見る目を鍛える
2 学習の遅れとは
3 小さな進歩を認める
4 話し方の技術を鍛える
5 「読み聞かせ」で力量をあげる
6 意欲を引き出す話し方
7 有田和正先生に学ぶ
8 kくんのこだわりから学んだ
U 授業を通して鍛える「学習技能」】
一 国語科「思い出に残る文集を作ろう」
1 自分の成長をとらえる
2 単元展開のポイント
3 単元の設定について
4 指導計画
5 単元展開の実際
6 単元指導の成果
7 今後の課題
二 有田学級に見た学習技能
1 有田学級参観記
@ 飛び入り授業のいきさつ/ A 有田学級の子どもについて/ B 私の授業の反省/ C 有田先生の授業/ D 無理のない授業記録の取り方
2 有田学級での授業「徳山市の東京地名」
3 樋口編集長、有田先生からのコメント
三 お年玉年賀ハガキ賞品で戦後史を構想する
1 お年玉年賀ハガキのはじまり
2 クイズで見るお年玉商品の変遷
@ 昭和二五年の特等賞品/ A 昭和二五年の二等賞品/ B 昭和二六年の一等賞品/ C 昭和二八年の一等賞品/ D 昭和三四年の一等賞品/ E 昭和四〇年の特等賞品/ F 昭和四〇年代のお年玉賞品/ G 昭和四八年の一等賞品/ H 昭和四八年の二等賞品/ I 昭和四七年の二等賞品/ J 昭和六四年の一等賞品/ K 平成二年の一等賞品
3 手紙で刺激と励ましを
四 社会科「学校給食をネタに戦後史を学ぶ」
1 こんなに変わった六年生
2 給食メニューでわかる時代相
五 社会科「わたしたちの暮らしと政治」
1 面白選挙クイズ
2 意見の分かれる問い
六 算数科「はかり方の工夫」 〜校数カウント機をネタに〜
1 単元名に注目
2 枚数カウント機を使った授業
3 見通しをもつために手順を書く
4 用紙の枚数の間接測定
5 身の回りのモノを間接測定
七 ボランティア教育に取り組む
1 ジュニアボランティア教育
2 学年を挙げての取り組み
3 視覚障害者の介助の仕方
4 車椅子歩行者の介助の仕方
5 聴覚障害者の介助の仕方
6 お年玉年賀ハガキとボランティア教育
V 生活指導を通して鍛える「学習技能」
一 生活を通してつけたい力
二 ユーモアのセンスを磨く
1 色めがねをはずす
2 物の見方を鍛える
3 パロディ版「わたし」先生編
4 パロデイ版「わたし」子ども編
三 ユーモアを生かして学級憲法作り
1 学級の憲法を作ろう
2 新聞を読もう
四 ユーモアを交えた担任への評価
1 教師もほめてもらいたい
2 担任への通信簿の書かせ方
3 マイナス評価の取り上げ方
4 一行詩でマイナス評価をキャッチ
五 カルタで鍛える楽しい学級作り
1 五色百人一首で鍛える
2 手作りカルタで遊ぼう
六 遊び文化の創造
1 牛乳キャップで楽しむ
2 学級オセロ大会をしよう
3 「ジャンボ百人一首」大会
七 おもしろい話題でユーモアセンスを磨く
1 教師の失敗談を語る
2 教師自身の話し方を鍛える
八 感謝の心を育てる
1 六年生担任として戒めたいこと
2 別れの布石を打つ
3 「指導上参考となる諸事項」
4 入学時にはじめてかいた絵と文字を贈る
5 子どもたちからの手紙
九 生きる力を鍛える
1 共に生き方を模索する
2 中学進学の不安を語り合う
W 自学ノートを通して鍛える「学習技能」
一 自学ノートで自学力をこう育てる
1 自学力は、教師が育てる
2 自学で育てたい力
3 ノートの余白から自学を導入
4 自学メニュー作りを楽しむ
5 教師の励ましが自学力を育てる
6 自学を育む学級づくり
7 子ども自身の自己評価が大切
8 自学メニュー
二 自主的学習のためのノートの取り方の支援のヒント
1 誰のためのノートか
2 キャラクター、イラストの活躍
3 楽しい学習クイズ作り
4 自己評価を取り入れる
三 高学年児に自学力をつけるポイント
1 漢字は、授業中に教える
2 漢字の書き方にウエートをおいた自学
3 楽しく自学させる
4 目次作りでマンネリ化を打破
四 自学ノートに発展するノート作り
1 この子に合ったノート指導
2 色、枠、線の工夫
3 イラスト、キャラクターの導入
4 クイズ化
五 授業は、自学メニューを作る土壌
1 自学メニュー作りの二つのルート
2 子どもたちの自学に発展
3 学習発表会までは、自学の場
六 共通の土俵から自学メニュー作り
1 メニュー作りを楽しむ子ども
2 歴史人物事典をネタに
七 「自学自習」に導く学習計画の立て方
1 自学自習へ導く「継続テーマ」
2 教師の支援が継続テーマを作る
3 学級全体で、一つの継続テーマを追う
4 適したメニューと自己評価
あとがき
解説 /有田 和正

まえがき

 人間は、三つのタイプに分けられるという話を聞いたことがある。

A「走る前にじっくりと、考えるタイプ」

B「走りながら、考えるタイプ」

C「走った後で、考えるタイプ」

 私は、Cのタイプに近いBのタイプであると思っている。

 入念に、計画をしていないので失敗することが多い。

 自分ではわかっているが、なかなかこの性格は改められない。

 最近では、居直って失敗の中から何かをつむことを心がけている。

 こんな私であるが、小学校時代にお世話になったH先生は、「あなたのよいところは、思いついたらすぐに実行するところです。」と言ってくださったことが今でも心の支えとなっている。

 子どもたちは一人一人ちがう。

 「あなたの『はてな?』発見力は、すばらしい。」「あなたは、書きながら考えることができる。」「あなたは友達の意見を生かしながら、発表することができる。」というように、一人一人の学習技能のすぐれているところを認めていく教師でありたい。

 また、「Aくんのユーモアにはかなわない。」「Bさんのやさしさには、いつも感心している。」「Cさんの調べる力は、ナンバーワン!」など子ども同士でよさを認め合うような学級集団をつくっていきたいものである。

 自分自身の学習技能を自覚した子ども、友達のよいところを認め合っていくような子どもを育てていく上で、教師の役割は大きい。

 本著の書名は『学習技能を鍛える』となっているが、鍛えるのが教師であって、鍛えられるのが子どもであるという固定的な関係であるというように理解してはならない。

 教師が、子どもたちに鍛えられることはよくあることである。

 授業の構想段階において、「このように反応するだろう。」というように子どもの反応を予想していても、実際の授業では思い通りにいかないことは多い。

 この場合、子どもたちは「こんな授業ではダメだ!」ということを教師に教えてくれているのであり、鍛えてくれているのである。

 自らの授業を振り返りながら、子どもたちの学習技能は、このように鍛えていけばよいのかということを学んだ。

 その意味では、学習技能を語る上で具体的な教材をセットにして語っていかなければならないと思っている。

 すぐれた教育実践に学び、自らの授業の事実に学ぶ謙虚な教師でありたい。

 私は、主に有田和正先生の実践に学びながら、子どもの学習意欲を引き出すような教材の開発に力を注いできた。

 自ずと、「どんな教材を用意し、子どもの学習意欲を引き出すか。」ということに力点を置いて書かせていただいた。

 小学校の最終学年として、「話す」「聞く」「書く」という学習の基本を中核として、具体的な教科、単元で子どもたちの精一杯の力を発揮して欲しいものである。

 「この教材で、こんな子どもたちを育てた。」

 「この発問は、このように改めるとよく理解できたようだ。」

 など、本著を読まれた先生方の少しでもお役に立てれば幸せである。

 最後になったが、本著をまとめる機会を与えてくださった明治図書編集部の江部満編集長には、執筆中も何度となく励ましのお便りをいただいた。

 心からお礼を申し上げたい。

 ありがとうございました。


  一九九七年三月三日   /藤本 浩行

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      明治図書

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