- まえがき
- プロローグ 五年生からの「学習技能」
- 〜「メタ学力」を鍛える
- 一 これからの教育のキーワード 〜「自己実現」と「共生」
- 1 山積みの二十一世紀の時代の課題
- 2 キーワード「自己実現」と「共生」
- 二 「メタ学力」を鍛える 〜五年生からの「学習技能」
- T 国語科の「一人読み」と討論の「学習技能」を鍛える
- 一 言語に関する三つの観点
- 1 ことば・ようす・テーマ
- (1)「ことば」の観点/ (2)「ようす」の観点/ (3)「テーマ」の観点
- 2 三つの観点と「学習技能」
- (1) 教師が学習活動を分析できる/ (2) 意識して多角的な見方ができる物差しを子どもに与えられる/ (3) 「メタ学力」が育つ
- 二 「自由誦」の学習システム
- 三 「一人読み」の「学習技能」を鍛える
- 1 「一つの花」の指導計画
- 2 「一人読み」の前提として
- (1) 第一時 作品との出会い/ (2) 第二時「共通の読みのめあて設定」の学習
- 3 「一人読み」とは
- 4 「一人読み」の「学習技能」はこう鍛える
- (1) 三つの観点で書かせる/ (2) 「仮説」の形で書かせる/ (3) 「一人読み」のお手本を配布する/ (4) 「一人読み」に傍線を入れる/ (5) 時には個別指導も/ (6) 短い詩で全員で「一人読み」
- 四 討論の「学習技能」を鍛える
- 1 「一人読み」 〜座席表指導案へ
- 2 「メタ討論」
- 3 一時間の討論学習の流れ
- (1) グループ討論(S討論)/ (2) 全体討論(L討論)/ (3) 学習作文
- 4 討論学習の実践例
- 5 単元のまとめの討論とその実践例
- 五 「大造じいさんとがん」の指導案から
- 1 指導計画(全十三時間)
- 2 第九時の「一人読み」
- 3 第十時の指導案
- U 社会科の「一人調べ」の「学習技能」を鍛える
- 一 「一人調べ」とその位置づけ
- 二 「一人調べ」の前提 〜第一・二時の学習
- 三 「一人調べ」の「学習技能」はこう鍛える
- 1 資料の収集・選択
- 2 資料の引用とノートづくり
- 3 「一人調べ」のまとめ
- 4 資料の読み取り方そのものを鍛える
- (1) グラフなどの資料を読み取る/ (2) 絵や写真などの資料を読み取る
- V T・Tで「学習技能」を鍛える
- 一 T・Tのねらいと指導のかたち
- 1 T・Tの場面は九つに分類できる
- 2 横軸〜T・Tの三つのねらい
- (1) 共通の目標に応じた指導/ (2) 個別の目標に応じた指導/ (3) 個性を育む指導
- 3 縦軸〜T・Tの三つの指導のかたち
- (1) メインサブ型 / (2) 並立型/ (3) 分担型
- 4 T・Tの具体例〜保健の学習
- (1) 第二次性徴による外見上の体の変化についての復習/ (2) 体の内部の変化についての話を聞く/ (3) 参観の教師も交え、個別の質問や話し合いを行う/ (4) 参観に来た教師からの話を聞く
- 二 「オープン学習」のT・Tで「学習技能」を鍛える
- 1 「オープン学習」とは
- 2 「オープン学習」で鍛える「メタ学力」
- 3 「オープン学習」でのT・T
- 4 算数科「体積アスレチック」の「オープン学習」
- (1) 本時の目標/ (2) 本時の学習の流れ/ (3) 「体積アスレチック」の各コーナー/ (4) 「体積アスレチック」のワークシート
- W 総合学習で「学習技能」を鍛える
- 一 総合学習で鍛える「学習技能」
- 1 総合学習と教科学習
- (1) 教科学習が根差しているもの/ (2) 総合学習が根差しているもの/ (3) 教科学習と総合学習の関係
- 2 総合学習は「メタ学力」を鍛える
- 二 北条小学校の「統合学習」の実践
- 1 北条小学校の「統合学習」とは
- 2 「北条大学持別講座を開こう」 〜主体(マイプラン)領域の実践
- (1) 「北条大学特別講座」とは/ (2) 各活動の説明/ (3) 博士・名人誕生まで/ (4) 特別講座・当日/ (5) 卒業式/ (6) 本実践を振り返って
- 3 「館山市再発見」 〜社会・郷土領域の実践
- (1) 「館山市再発見」誕生のエピソード/ (2) 本実践の流れ/ (3) 追究過程でのエピソード/ (4) 本発表会のようす/ (5) 「館山市再発見」は、どのような「学習技能」を鍛えるか/ (6) 「館山市再発見」終了後のレポートから
- X 生活の場でも「学習技能」は鍛えられる
- 一 自己表現の「学習技能」を鍛える
- 1 「アイデア論文」の実践
- (1) 「アイデア論文」を書く/ (2) 論文審査会を開く
- 2 「本のファッションショー」の実践
- (1) 事前の準備/ (2) 当日の流れ/ (3) 本実践を通して
- 二 企画・演出の「学習技能」を鍛える
- 3 クラスが一委員会〜北条小学校の「センタ一活動」の実践
- (1) 「センター活動」とは
- 2 情報センターの活動
- (1) 「情報センター」の活動のねらいと特徴/ (2) 「情報センター」の活動の内容/ (3) 「北条ふれあいフェスタ」での情報サービス活動/ (4) 「北条ふれあいフェスタ」の活動での成果
- 3 「ブックセンター」の活動
- (1) 「ブックセンター」の活動のねらいと特徴/ (2) 「ブックセンター」の活動内容/ (3) 「ブックワールド」の実践
- あとがき
- 解説 /有田 和正
まえがき
本書のテーマは、「五年生の『学習技能』を、いかにして鍛えるか」ということである。
このテーマには、三つの急所がある。
一つ目は、「五年生の」である。
「五年生特有の」とも読み替えられるし、「高学年からの」とも読み替えられる部分である。
私はそれに加えて「高学年だからこそつけられる」というとらえ方をした。
そして一応五年生が対象となってはいるが、プラスマイナス一学年、すなわち四年生や六年生の実践も、必要と判断したものについては、遠慮なしに盛り込んでみた。
その意味で、五年生のみの実践にこだわったマニュアル書とは違った内容となっていることをご了承願いたい。
二つ目は、「学習技能」である。
ここには引用符がついている。
すなわち、一般的な意味の「学習技能」ではなく、これからの時代を見通した、学習技能の新しい主張をしたいという意味の「学習技能」なのである。
ここまでをまとめると、題名には、「高学年だからこそつけられる」、「新しい時代の学習技能」を示した、というメッセージが込められているということが言える。
三つ目は、「鍛える」である。
「鍛える」を文字通り受け止めれば教師が「鍛える」のである。
教師が率先して、指導に立ち、子どもを変えていく、そんなイメージがわいてくる。
しかし、本書では「鍛える」に多様なイメージをもたせた。
文字通り、教師が率先して「鍛える」実践もあるだろうし、教師が、学習の場や、学習システムなどを設定することで、間接的に子どもを「鍛える」実践もある。 また、ティームティーチングで、複数の教師がそれぞれ役割を果たす中で子どもを「鍛える」実践もあるだろうし、場合によっては、子ども同士が、あるいはその子自身が自分を「鍛える」実践もあるだろう。
以上のように、「鍛える」に多様なイメージをもたせることで、実践の書き方も多様なものになっている。
実際に教師が鍛えている授業の描写が中心の書き方の部分もあるし、学習システムの説明や、子どものノートや資料の紹介が中心の部分もある。
本書のプロローグは、唯一の理論編である。
これからの高学年の子どもにつけるべき「学習技能」を「メタ学力」とおさえ、その説明を展開している。
第T・U章は、個別化・個性化の学習に対応した「学習技能」の鍛え方を展開している。ここでは、国語科と社会科の実践を紹介する。
第V章は、ティームティーチングでの「学習技能」の鍛え方を示そうとした部分である。この部分はティームティーチングのシステム自体が重要であるので、そのシステムを生かした学習(教科は算数)の解説が中心になる。
第W章は、総合学習で、どのような「学習技能」を鍛えていくかという部分である。千葉県館山市立北条小学校の「統合学習」の実践例が盛り込まれている。
そして第X章は、広く生活場面での「自己表現」と「企画・演出」の「学習技能」を伸ばす実践事例である。
このように、本書は各章がそれぞれ独立した構成をとっている。したがって、どこから読んでいただいてもけっこうである。
/永島 俊之
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- 明治図書