支援の技術シリーズ284年生の「学習技能」を鍛える

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四年生にとって学習技術とは/楽しい学級を創る子ども/学習技能をめざした授業づくり/「書く」ことを楽しむ子ども/「追究の鬼」とよばれる


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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-283403-8
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 120頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
T 四年生にとって学習技能とは
〜学習を「楽しむ」子どもたち〜
一 子どもの言葉で「学習技能」とは
1 油断ならない
2 子どもの授業論
二 四年生に必ず身につけさせたい「学習技能」のポイント
1 絵にもかけないおもしろさ
2 学習技能に「布石」を打つ
三 織田信長で学習技能を具体化する
1 信長と学習技能
2 学習技能を育てる要件
U 楽しい学級を創る子ども
〜意欲と、やさしさと、居場所のある学級〜
一 学級づくりの筋道 最初の一週間ですること
1 「偶然」を「必然」にする!
2 「夢」を「演出」する!
(1) 前日から始まる/ (2) 出会いの演出
3 「願い」を「具体化」する
(1) 二日目以後にすること
二 学級の「組織」をつくる 子どもが生きる係・当番の技能
1 生き生き「係」活動
(1) 係登録制の提案/ (2) 第二電電DDI/ (3) 名称一つで意欲が変わる/ (4) 内容から考えると
2 当番の心
(1) 仕事の汗がかけますか/ (2) そうじの汗/ (3) 仕事の心
三 活動目標見直しの技能 外的規範から内的規範へ
1 ステップをふまえて
2 あえてアンバランス
(1) ひらく/ (2) ゆさぶる/ (3) つづける
3 学級づくりのめざすもの
V 学習技能をめざした授業づくり
〜考え、体験し、支援する授業〜
一 「考える技能」を育てる「考える」楽しさがある授業
1 「考えなさい」と言っても子どもは考えない
2 問題への「気づき」!
3 不備がおもしろい
4 書いて考える
5 たくさんがおもしろい
二 学習活動の複数展開 多様な考えを引き出す技能
1 なぜ、いま「学習活動の多様化」なのか
2 複数メニューの用意を
3 子どもが学習活動を選択する
4 多様な体験を工夫する
三 学習技能を育てる支援 子どもを「励ます・認める」言葉
1 なぜ「認め・励ます」のか
2 「受容」と「挑発」
3 枠をこえる
4 ゆさぷることも支援
5 「そろえる」と「ちがえる」
W 「書く」ことを楽しむ子ども
〜「書く」ことを総合的に鍛える教材開発〜
一 作文はスイカだ! 作文を書く技能を一言でいうと
1 作文技能を教える
2 スイカを作文する
二 「言葉遊び」であそぶ まねることも学習である
1 「パロディー」を作る
2 「年めぐりのうた」に挑戦
3 ここで国語辞典が
三 コメントを書く! 自分はどう読みとったのか
1 自注を書く
2 コメントをつけて紹介する
四 単元論文を書く! 書くことは「総合」活動である
1 プロットをたてる
2 子どもの「こだわり」
3 この際、教師の「よい文」観を変える
4 授業を超える
五 書く意欲を高める板書指導の技術
1 板書の持つ「特性」をとらえなおす〜子どもを生かす板書〜
(1) 板書の記録性/ (2) 板書の刺激性/ (3) 板書の作業性
2 板書からノート指導を解放する
(1) ていねいな板書の弊/ (2) 板書計画は捨てる/ (3) 板書のルールづくり
X 「追求の鬼」とよばれる学習技能
〜布石、個別化、自学〜
一 「追究の鬼」からプロの技術をこう盗む
1 子どもをとらえる構えを再考する
2 「個人研究」をすすめる
(1) 作業をさせる/ (2)「その気」にさせる
3 「生きた流れ」にのる
(1) 「待てる」教師になること/ (2) おもしろがらせる
4 個性的な思考
二 「自学」へ導く授業の布石
1 「学習技能」を授業で教える
2 自学を「表現」する技能
三 「追求の鬼」を育てる事典・年鑑のおもしろ活用法
1 理科年鑑が社会科授業に登場する多角的活用法
2 「新しさ」を活用する
3 「その時(時事問題)」に直接関わる活用法
四 総合学習のための教材開発 教科の「枠」を超えて
1 教材開発の方向を変える
2 総合単元「水」の構想
3 教科の「枠」を超える
4 時間の「枠」を超える
5 発展読書を!
Y ドラマ(感動)のあるクラス
〜子どもの「生きる力」を問う学習技能〜
一 「生き方」を伝える授業 「学ぶ」ということは「変わる」ということ
1 画家・星野富弘さんに学ぷ命の輝き
2 宮大工・西岡常一氏の人を育てる教育論
二 「生き方」を考える授業 灰谷文学に学ぶほんとうのやさしさとは
1 短編「だれも知らない」と共に(道徳)
(1) いろいろな「生」/ (2) 「生きる」ということ
2 児童詩「チューインガムひとつ」(道徳)
(1) 心のブレーキ/ (2) 教師はどう関わるのか
Z 指導する側、される側
〜関わりの中で育つ、「心」の学習技能〜
一 教育実習生と子どもたち
「出会い」と「別れ」、そしてぽくの教師修業
1 真理子先生が、来た!
2 失敗の授業
3 泣くな、先生
4 ありがとう、さよなら
(1) 伝えるもの/ (2) やさしくなりたい
二 ツー・ウェイ授業 父母と共に学ぶ子どもたち
1 だれもが正しいという話は役に立たない
2 自分の心臓のありかがわかりました
(1) 教師と子どもの授業/ (2) 話し合いに、お母さん・お父さん・おばあちゃんが加わる/ (3) まとめ
三 教師に必要な能力は 保護者の「不平」「不満」
1 教師稼業、喜怒哀楽
2 腹をたてない能力
終章 別れ、それは最後の教育です
〜子どもの成長とは何か〜
一 子どもの言葉で「まとめる」一年
1 カウント・ダウン
2 優しく鍛える教室
二 先生の通信簿「ずれ」による創造
1 「評価」のない実践はない
2 自分を知る
3 「信頼」の交流としての評価
4 ズレを知る
5 ふりかえって
三 ありがとう、さよなら 父母の声に学ぶ
1 どんな教育観があるか
2 父母の声に学ぶ
解説 /有田 和正

まえがき

 四年五組、三月の子どもたちの会話である。

横山 うちの先生「やさしく鍛える」なんて言うでしょう。あれ、きっと

   ○鍛えられた、ありがとう。

   と受け止められる人と、

   ○意地悪!

   と感じる人に分かれるんだよね。

白松 どう感じるかは、その人の「感性」だよね。

浅野 「資質」じゃないかな。

芹沢 人としての「能力」と言ってもいいと思う。

滝口 でもね、「教えられた・ありがとう」と感じることのできる人が伸びるんだよ。

   「いじめられた」なんて人は、その程度なんだよ。

 そこで「ねっ、先生!」と言われても戸惑うばかりだが、一人ひとりが滝口くんのような受け止め方を「体得」してきたからこそできる会話と思えば、子どもの成長を喜ぶほかない。

         *

「鍛える」という言葉には、そんな浪漫がある。

         *

浅野 つまり、ぼくら四年五組と先生(一応入れていただいて光栄です)がつくってきたのは

   ○学習を楽しむ力

   なんだよね。

「やられた!」って、感じである。

 今「学習技能」をこんな柔らかな言葉に置き換えることができたなら、なんとすてきなことだろう。

 子どもたちは、楽しんでいるとき伸びている。

 プロとは楽しみながら練習できる人のことである。

 苦行としての学習は、御免こうむりたい。

         *

 そんな問題意識に支えられながら、四年生の「学習技能」を鍛える!に挑んでみようと思う。

 しかし、そこは、勝又の仕事である。

 実践をくぐらせることによって、その在り方を提案できればと思う。

 本書の、ほんとうの主人公である

○富士岡小学校 四年一組

○御殿場小学校 四年五組

の面々に、心から感謝したい。きみらとの出会いから、この本は生まれたのだと。そして、四年生の集大成として本書をまとめる機会を与えてくださった、明治図書江部満編集長にもお礼申し上げたい。ありがとうございました。

         *

 よい授業というのは、学習技能を育てるものでなくてはならない。

 根(学習技能)を養えば、樹は自ら育っていくのである。


  一九九七年 富士の雪解け水に すみれが似合う

   /勝又 明幸

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      明治図書

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