- まえがき
- T 四年生にとって学習技能とは
- 〜学習を「楽しむ」子どもたち〜
- 一 子どもの言葉で「学習技能」とは
- 1 油断ならない
- 2 子どもの授業論
- 二 四年生に必ず身につけさせたい「学習技能」のポイント
- 1 絵にもかけないおもしろさ
- 2 学習技能に「布石」を打つ
- 三 織田信長で学習技能を具体化する
- 1 信長と学習技能
- 2 学習技能を育てる要件
- U 楽しい学級を創る子ども
- 〜意欲と、やさしさと、居場所のある学級〜
- 一 学級づくりの筋道 最初の一週間ですること
- 1 「偶然」を「必然」にする!
- 2 「夢」を「演出」する!
- (1) 前日から始まる/ (2) 出会いの演出
- 3 「願い」を「具体化」する
- (1) 二日目以後にすること
- 二 学級の「組織」をつくる 子どもが生きる係・当番の技能
- 1 生き生き「係」活動
- (1) 係登録制の提案/ (2) 第二電電DDI/ (3) 名称一つで意欲が変わる/ (4) 内容から考えると
- 2 当番の心
- (1) 仕事の汗がかけますか/ (2) そうじの汗/ (3) 仕事の心
- 三 活動目標見直しの技能 外的規範から内的規範へ
- 1 ステップをふまえて
- 2 あえてアンバランス
- (1) ひらく/ (2) ゆさぶる/ (3) つづける
- 3 学級づくりのめざすもの
- V 学習技能をめざした授業づくり
- 〜考え、体験し、支援する授業〜
- 一 「考える技能」を育てる「考える」楽しさがある授業
- 1 「考えなさい」と言っても子どもは考えない
- 2 問題への「気づき」!
- 3 不備がおもしろい
- 4 書いて考える
- 5 たくさんがおもしろい
- 二 学習活動の複数展開 多様な考えを引き出す技能
- 1 なぜ、いま「学習活動の多様化」なのか
- 2 複数メニューの用意を
- 3 子どもが学習活動を選択する
- 4 多様な体験を工夫する
- 三 学習技能を育てる支援 子どもを「励ます・認める」言葉
- 1 なぜ「認め・励ます」のか
- 2 「受容」と「挑発」
- 3 枠をこえる
- 4 ゆさぷることも支援
- 5 「そろえる」と「ちがえる」
- W 「書く」ことを楽しむ子ども
- 〜「書く」ことを総合的に鍛える教材開発〜
- 一 作文はスイカだ! 作文を書く技能を一言でいうと
- 1 作文技能を教える
- 2 スイカを作文する
- 二 「言葉遊び」であそぶ まねることも学習である
- 1 「パロディー」を作る
- 2 「年めぐりのうた」に挑戦
- 3 ここで国語辞典が
- 三 コメントを書く! 自分はどう読みとったのか
- 1 自注を書く
- 2 コメントをつけて紹介する
- 四 単元論文を書く! 書くことは「総合」活動である
- 1 プロットをたてる
- 2 子どもの「こだわり」
- 3 この際、教師の「よい文」観を変える
- 4 授業を超える
- 五 書く意欲を高める板書指導の技術
- 1 板書の持つ「特性」をとらえなおす〜子どもを生かす板書〜
- (1) 板書の記録性/ (2) 板書の刺激性/ (3) 板書の作業性
- 2 板書からノート指導を解放する
- (1) ていねいな板書の弊/ (2) 板書計画は捨てる/ (3) 板書のルールづくり
- X 「追求の鬼」とよばれる学習技能
- 〜布石、個別化、自学〜
- 一 「追究の鬼」からプロの技術をこう盗む
- 1 子どもをとらえる構えを再考する
- 2 「個人研究」をすすめる
- (1) 作業をさせる/ (2)「その気」にさせる
- 3 「生きた流れ」にのる
- (1) 「待てる」教師になること/ (2) おもしろがらせる
- 4 個性的な思考
- 二 「自学」へ導く授業の布石
- 1 「学習技能」を授業で教える
- 2 自学を「表現」する技能
- 三 「追求の鬼」を育てる事典・年鑑のおもしろ活用法
- 1 理科年鑑が社会科授業に登場する多角的活用法
- 2 「新しさ」を活用する
- 3 「その時(時事問題)」に直接関わる活用法
- 四 総合学習のための教材開発 教科の「枠」を超えて
- 1 教材開発の方向を変える
- 2 総合単元「水」の構想
- 3 教科の「枠」を超える
- 4 時間の「枠」を超える
- 5 発展読書を!
- Y ドラマ(感動)のあるクラス
- 〜子どもの「生きる力」を問う学習技能〜
- 一 「生き方」を伝える授業 「学ぶ」ということは「変わる」ということ
- 1 画家・星野富弘さんに学ぷ命の輝き
- 2 宮大工・西岡常一氏の人を育てる教育論
- 二 「生き方」を考える授業 灰谷文学に学ぶほんとうのやさしさとは
- 1 短編「だれも知らない」と共に(道徳)
- (1) いろいろな「生」/ (2) 「生きる」ということ
- 2 児童詩「チューインガムひとつ」(道徳)
- (1) 心のブレーキ/ (2) 教師はどう関わるのか
- Z 指導する側、される側
- 〜関わりの中で育つ、「心」の学習技能〜
- 一 教育実習生と子どもたち
- 「出会い」と「別れ」、そしてぽくの教師修業
- 1 真理子先生が、来た!
- 2 失敗の授業
- 3 泣くな、先生
- 4 ありがとう、さよなら
- (1) 伝えるもの/ (2) やさしくなりたい
- 二 ツー・ウェイ授業 父母と共に学ぶ子どもたち
- 1 だれもが正しいという話は役に立たない
- 2 自分の心臓のありかがわかりました
- (1) 教師と子どもの授業/ (2) 話し合いに、お母さん・お父さん・おばあちゃんが加わる/ (3) まとめ
- 三 教師に必要な能力は 保護者の「不平」「不満」
- 1 教師稼業、喜怒哀楽
- 2 腹をたてない能力
- 終章 別れ、それは最後の教育です
- 〜子どもの成長とは何か〜
- 一 子どもの言葉で「まとめる」一年
- 1 カウント・ダウン
- 2 優しく鍛える教室
- 二 先生の通信簿「ずれ」による創造
- 1 「評価」のない実践はない
- 2 自分を知る
- 3 「信頼」の交流としての評価
- 4 ズレを知る
- 5 ふりかえって
- 三 ありがとう、さよなら 父母の声に学ぶ
- 1 どんな教育観があるか
- 2 父母の声に学ぶ
- 解説 /有田 和正
まえがき
四年五組、三月の子どもたちの会話である。
横山 うちの先生「やさしく鍛える」なんて言うでしょう。あれ、きっと
○鍛えられた、ありがとう。
と受け止められる人と、
○意地悪!
と感じる人に分かれるんだよね。
白松 どう感じるかは、その人の「感性」だよね。
浅野 「資質」じゃないかな。
芹沢 人としての「能力」と言ってもいいと思う。
滝口 でもね、「教えられた・ありがとう」と感じることのできる人が伸びるんだよ。
「いじめられた」なんて人は、その程度なんだよ。
そこで「ねっ、先生!」と言われても戸惑うばかりだが、一人ひとりが滝口くんのような受け止め方を「体得」してきたからこそできる会話と思えば、子どもの成長を喜ぶほかない。
*
「鍛える」という言葉には、そんな浪漫がある。
*
浅野 つまり、ぼくら四年五組と先生(一応入れていただいて光栄です)がつくってきたのは
○学習を楽しむ力
なんだよね。
「やられた!」って、感じである。
今「学習技能」をこんな柔らかな言葉に置き換えることができたなら、なんとすてきなことだろう。
子どもたちは、楽しんでいるとき伸びている。
プロとは楽しみながら練習できる人のことである。
苦行としての学習は、御免こうむりたい。
*
そんな問題意識に支えられながら、四年生の「学習技能」を鍛える!に挑んでみようと思う。
しかし、そこは、勝又の仕事である。
実践をくぐらせることによって、その在り方を提案できればと思う。
本書の、ほんとうの主人公である
○富士岡小学校 四年一組
○御殿場小学校 四年五組
の面々に、心から感謝したい。きみらとの出会いから、この本は生まれたのだと。そして、四年生の集大成として本書をまとめる機会を与えてくださった、明治図書江部満編集長にもお礼申し上げたい。ありがとうございました。
*
よい授業というのは、学習技能を育てるものでなくてはならない。
根(学習技能)を養えば、樹は自ら育っていくのである。
一九九七年 富士の雪解け水に すみれが似合う
/勝又 明幸
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- 明治図書