支援の技術シリーズ262年生の「学習技能」を鍛える

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二年生に身につけさせたい「学習技能」とは/「学習技能」はこうやって伸ばす/二年生・基本的な「学習技能」を伸ばす/問題を発見するなど。


復刊時予価: 2,120円+税

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-283205-1
ジャンル:
授業全般
刊行:
3刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第
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目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 二年生に身につけさせたい「学習技能」とは
一 二年生に必ず身につけさせたい「学習技能」のポイント
1 ページをめくったことがわからないような読みができる
2 スラスラ日記が書ける
3 かけ算の問題を、式・図・言葉で説明できる。かけ算を唱えることができる
二 「学習技能」=「学び方」(自己実現の仕組みを内面化できる学習)
三 本書のプロット
(1) 基本的な「学習技能」/ (2) 問題を発見する「学習技能」/ (3) 情報収集・活用の「学習技能」(一人学び)/ (4) 友だちと高め合う「学習技能」
U「学習技能」はこうやって伸ばす
一 教師の姿勢@「まず、おもしろく楽しい授業を」
二 教師の姿勢A「笑顔」
三 「学習技能」を伸ばすキーワード「繰り返し・たくさん・楽しく・全員で」
四 「学習技能」を伸ばす留意点@「成功体験の積み重ね」
五 「学習技能」を伸ばす留意点A「学習技能を活用する場面設定」
六 「学習技能」を伸ばす留意点B「家庭との連携」
V 二年生・基本的な「学習技能」を伸ばす
一 読む「学習技能」を伸ばす(音読)
1 ページをめくったことがわからないような読み
2 音読の方法アラカルト
3 音読練習の目安となる音読チェック
二 読む「学習技能」を伸ばす(読書)
1 本に親しませるポイント
2 本にふれる機会を増やす
3 おもしろい本を紹介する
4 読んだ量が目に見えるように
三 書く「学習技能」を伸ばす(作文)
1 スラスラ日記が書けるレベルに
2 毎日、作文を書く
3 無理のない作文指導のポイント
4 「オリジナル原稿用紙」
5 連絡帳(おたよりノート)で、書く力のアップを
四 書く「学習技能」を伸ばす(漢字)
1 意識することなく漢字が書けるレベルに
2 漢字練習のノウハウ
3 テストの丸つけは子ども達同士で
4 漢字で遊ぼう
五 計算する「学習技能」を伸ばす(九九)
1 式を見ただけで答が口にでる「九九」のレベルに
2 毎回小テストの繰り返し
3 九九指導のポイント
六 計算する「学習技能」を伸ばす(問題解決)
1 問題を把握する力を鍛える=問題作り
2 問題を解決する力を鍛える=式・図・言葉の三点セット
七 基本的な「学習技能」を伸ばす学習システム
1 取り組みを無理なく配置し、ワンパターンに
(1) 朝自習/ (2) 朝の会/ (3) 給食後/ (4) 帰りの会/ (5) 家庭学習/ (6) 算数の時間/ (7) 国語の時間
2 授業参観で、保護者に紹介
3 学習の道具をそろえる
W 問題を発見する「学習技能」を伸ばす
一 授業で「はてな?」を伸ばす
1 子どもが、「はてな?」と思う発問を
2 問題を見つける場面設定
3 子どもの発見した問題を大切に扱う
二 はてな帳(日記帳)で鍛える
1 はてな帳は日記から始めよう
2 「はてな?」の解決のためのアドバイスを
3 日記の「はてな?」と授業のリンクを
三 いろいろなやり方で、問題を発見する「学習技能」を伸ばす
1 メニューを自分で選ぶ家庭学習
2 8マス見つけ
3 五分間ニュース
X 情報処理・活用の「学習技能」を伸ばす
一 調べる「学習技能」を伸ばす
1 いろいろな方法で調べる
2 本で調べる
3 人に聞いて調べる
4 見て調べる
5 クイズ作りで鍛える
6 自由研究で鍛える
二 資料を読む「学習技能」を伸ばす
三 メモの取り方の「学習技能」を伸ばす
1 二年生はフォーマットを与えて
2 ときにはフォーマットなしで
四 ノートの取り方の「学習技能」を伸ばす
1 まず、「うつすノート」から
2 「うつすノート」の「学習技能」を伸ばす
3 「つくるノート」の「学習技能」を伸ばす
4 プラス評価で、ノートの取り方の「学習技能」を伸ばす
五 辞書の使い方の「学習技能」を伸ばす
Y 友だちと高め合う「学習技能」を伸ばす
一 話を聞く「学習技能」を伸ばす
二 話す・発表する「学習技能」を伸ばす
1 全員に発表する機会を保障する
2 話す相手を意識させる
三 話し合う・討論する「学習技能」を伸ばす
1 全員に考えをもたせる
2 話し合い(発表)のルールを身につけさせる
3 簡単なメモをとらせる
四 ディベートする「学習技能」を伸ばす
1 まず、ボックス図で根拠付けを
2 次に、異なった二つの立場に立つ経験を
3 そして、モデルディベートを行う
Z コンピューター活用の「学習技能」を伸ばす
一 まず、教師がコンピューターに慣れよう
二 コンピューターなんて簡単だというレベルを
三 コンピューターで何を学習させるかを欲張らない
[ 心と体(図工・音楽・体育)の「学習技能」を伸ばす
一 図工の「学習技能」を伸ばす
1 様々な体験をさせる
2 いろいろな素材を体験させる
3 いろいろな道具を体験させる
4 いろいろな技法を体験させる
二 音楽の「学習技能」を伸ばす
1 基礎的な感覚を育てることを念頭において
2 リズム感を育てる
3 音程感を育てる
4 楽器の奏法を向上させる
三 体育の「学習技能」を伸ばす
1 動きの基礎感覚を育てる
2 器械運動の基礎感覚を育てる
3 陸上運動の基礎感覚を育てる
解説 /有田 和正

まえがき

 以前、サークルの仲間と「リコーダーの導入」の話で盛り上がったことがあった。

 それは、こんなことだ。


 A先生の導入である。

 リコーダーを初めて手にした子ども達が、吹いてみたくて(いじってみたくて?)うずうずしている。

 A先生は、そういう子ども達を前にして、

 「これは、リコーダーといいます。こぅいうふうに穴を指でふさいだら、息を吹いて音を出します。」との説明。

 説明は続く。

 「たくさん穴をふさぐと低い音が出ます。穴を少しふさぐと高い音が出ます。」

 「では、リコーダーを使うときの注意を言っておきます。この口のところは、きたなくなりやすいので、ハンカチなどでよくふいてから、くわえるようにしましょう。」

 「吹き終わって、しまうときは、つばが管の中に入っていますから、この棒に布をつけたやつを、つっこんできれいにしていきます。」

 「まだ、注意することがあります。」

 「ピーピーとむやみにふかないこと。うるさいから。いいですね。」

 この「いいですね。」にうなずく子は誰もいない。


 B先生の導入。

 同じく、リコーダーを初めて手にした子ども達が、吹いてみたくて(いじってみたくて?)うずうずしている。

 「これ、リコーダーっていうんだけど、吹いてみたい?」

 当然、子ども達は、

 「吹いてみたーい!」

の大合唱。

 「でも、先生は、みんながリコーダーを吹き始めたら、ずっと吹いてるんじゃないかと心配なんだ。先生がやめーと言っても、やめない子がいるかもしれない。」

 「そんなことないよ。」

と子どもの声。

 「本当? 先生がやめーと言ったらリコーダーを机の上に置くと約束できる?」

 「できるー。」

 「では、リコーダーを吹いてみましょう。五分たったら、先生はやめといいます。どうぞ、吹きましょう!」

 子ども達は、自由にリコーダーを吹き(?)始める。教室は騒然となっている。五分たって、B先生は大きめな声で言う。

 「はい、やめましょう!」

 子ども達は、満足げな顔でリコーダーを机の上にしだいに置いていく。

 さっきのうるささがうそのように、教室の中が静まって、子ども達はB先生を見ている。

 「約束守れたね。えらいね。」

 「リコーダーは楽器だから、先生が一つ曲を演奏してみましょう。」

 B先生は、とっておきの曲「コンドルは飛んでいく」を演奏し始める。

 その音はさっき子ども達が出していたピーピーいう音ではなく、リコーダー特有のやわらかい音色である。

 子ども達は、B先生の指先を見つめ、その音に耳を澄ませている。

 曲が終わると、思わず、子ども達から拍手が起こった。

 「先生、上手だね。」

 「リコーダーっていい音だね。」

と、子ども達が口々に言う。

 先生は、

 「もう一曲、短い曲を演奏していいかな?」

と、子ども達にきく。

 「いいよ、先生、演奏して!」

 それを聞いて、B先生は、リコーダーを再び手にし、子ども達にウィンクしてみせると、今度は「マクドナルド」のCM曲を吹いてみせた。

 「マクドナルドだ!」

 「すごーい。」

 またも、拍手が起こる。

 「リコーダーっていろいろな曲が演奏できるんだね。」

 次は何かを期待している子ども達に向かって、今度はB先生はカセットテープを見せながら、

 「これは、去年の二年生が三月のまとめの時期にリコーダー演奏を録音したテープです。聴いてみようね。」

 カセットテープからリコーダー演奏が流れると、

 「上手だね。」

 「うまいね。」

とか、子ども達がつぶやいていく。

 テープが終わると、またも拍手が起こる。

 B先生は、静かに話し出す。

 「ねえ、みんな、練習するとこんなに上手に演奏できるようになるんだね。先生は、みんなにもこうした演奏ができるようになってほしいな。」

 子ども達は、うんうんとうなずいていた。


 何について、サークルの仲間と話が盛り上がったかというと、もしこの導入の時点で、A先生とB先生が「関心・意欲・態度」の評価をするとどうなったか、ということである。

 当然、B先生に習った子ども達の方が、「関心・意欲・態度」の評価が高くなるだろう。

 こんなふうに「教師の技術が評価を作りだしてしまう」おかしさに話が盛り上がったのである。


 さて、B先生のリコーダーの導入は、「プラン」における支援である。

 「教師の技術」が、子ども達が「学習技能」を身につける際の意欲付け・方向付けを行ったのである。

 このように、「教師の技術」の向上が、子ども達の「学習技能」の向上につながっていく。

 本書は、そんな

 「教師の技術」の向上=「学習技能」の向上

の一助にと思って書かれたものである。

 もちろん、まだまだ不十分な点がある。その点については、ご批判、ご叱正していただければ幸いである。


 なお、本書の執筆にあたっては、教育研究サークル「横浜海岸通り」のメンバーにお世話になった。

 中でも、小松眞氏、吉崎安浩氏、岡田篤氏、榎本明彦氏には、いろいろなアイデアを出してもらったり、アドバイスしてもらった。特に感謝したい。


 本書を世に出すことができたのは、明治図書の江部満氏のおかげである。氏のお誘いと長々と原稿を待っていてくれる忍耐強さがなかったら、本書は誕生しなかった。心から感謝申し上げたい。


   /渡辺 喜男

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