- まえがき
- 第一章 歌を生涯の友とする5つのポイント
- 1 身体の力をぬきましょう
- 2 心の力をぬきましょう
- 3 息を吸って吐けばよい
- 4 悲しい歌でもほほえんで
- 5 最高の発声練習をしよう
- 第二章 いつでもどこでもワンポイントレッスン!歌いつぎたい名曲18
- 春
- 「うぐいす」
- 「どこかで春が」
- 「早春賦」
- 「さくらさくら」
- 「春の小川」
- 夏
- 「うみ」
- 「みかんの花咲く丘」
- 秋
- 「月」
- 「故郷の空」
- 「夕焼小焼」
- 「赤とんぼ」
- 冬
- 「たきび」
- 「雪の降る街を」
- 「富士の山」
- 季外
- 「この道」
- 「森の水車」
- 「月の砂漠」
- 「見上げてごらん夜の星を」
- 第三章 心も身体も元気になる!歌の効能あれこれ
- 1 暗じて歌う素晴らしさ
- 2 初めてのデートはオペラ座で
- 3 歌は空想を生み発想を変える
- 4 歌の発音は噛む力(生きる力)
- 5 声を出すことの素晴らしさ
- あとがき
まえがき
「今日もたっぷり歌えて元気が出ました!」と満面の笑顔でおっしゃる方……。こんな言葉を聞いた時が最高の幸せです。童謡や唱歌,あるいは叙情歌をみんなで一緒に歌う会が全国的に大変盛んな昨今。私もそんな歌の世界,みなさんと共に歌う時間が大好きです。
私たちの国からは,数え切れない程の名曲が生み出されました。名だたる詩人,そしてクラシックのその時代の最高峰の作曲家たちがエネルギーをそそぎ込み,子供たちへの歌をはじめ,本当にたくさんの優れた作品を残して下さいました。時には幼い日の子供心,ふるさとの風景,青春の息吹き,人生への愛情……。詩人や作曲家たちの魂や霊感がそそぎ込まれたのです。そんな宝物の作品が,夜空にちりばめられた星のように輝きと魅力を持ってまたたいています。
ちょっと誰かが歌い出せば,すぐにみんなが合わせて歌える曲が,こんなにたくさんある国って,世界中のどこをさがしても見あたりません! もちろん外国から伝わってきた曲も私たち日本人は,大切に大切に歌いついできました。「あの曲がもともとは外国曲だなんて?!」と驚いてしまう曲,日本語の見事な訳詞がつけられて,あたかも日本で生まれた歌かのように,みんなで歌ってきた曲が多いのも事実ですね。
春を迎えた喜び,秋の真っ赤な夕焼け空に魅せられた時,私たちは思わず「まぁ!!」「うぁ!!」と言葉にならない感嘆のため息をつきますね。実はこれ「歌」なのです。心が動いて,何か大きな物を感じてため息をつく……。とても豊かな恵みを感じて息を止めることもあるでしょう。これは休符なのかもしれません。
「歌うことの気持ち良さは何となくわかるけれども,まず歌う気持ちになれない。」
「『唇に歌を,心に太陽を!』と言うが,どうしたらそんな喜びあふれる気分になれるのかがわからない。」
などという声がきこえてまいります。実は何気ない日常生活の中にも,さまざまな場面で私たちの心はぐるぐる動いています。それこそが歌いたくなる気持ちの源です。驚いたり,嬉しかったり,おいしかったり,悲しかったり,時には絶望の淵に立たされ,光が見えなくなったり……。せつなかったり,懐かしかったり,ドキドキしたり……。そんな心の動きに歌うエネルギーの源があるのです。
さまざまな現代社会のストレス。個々にかかえる人生の悩み……。さまざまな問題やハードルを私たちは乗り越えていかなければなりません。そのために必要な一歩前へと歩き始めるきっかけやエネルギーを,「歌」は与えてくれると確信します。
本書は歌の成り立ちや歴史を語る本ではありません。また上手く歌うための技術を紹介するものでもありません。一口で言うならば「歌いたくなる本」になれたらこの上ない喜びです。最初から順番に読まなくても大丈夫です。そして,歌がみなさんの生涯の友となって下さったらと願うものであります。ひとりで歌っても,コーラスで歌っても,ステージで歌っても,鼻歌で歌ってもかまいません。「歌う」という行為からいただける大きな恵みが,私たちを待っているのです。
歌をいつも身近において,身体は元気,健康に! 心はやわらかくニュートラルに! 心豊かに! 人間らしく! 人生プラス20年!
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- 明治図書