- はじめに
- 本書の使い方
- 第0章 改めて「非認知能力」について
- 1. 「非認知能力」なんてなにも新しくない
- 2. 非認知能力を評価する上で大切なこと
- 3. 非認知能力は行動にあらわれ行動で評価される
- 4. 非認知能力を育てるために
- 5. 非認知能力と認知能力を共に育てるために
- 第1章 教育目標を行動指標へ言語化
- ステップ1.0 Chunk down
- 1. チャンクダウンが必要な理由
- 2. チャンクダウンの具体的な方法
- 3. チャンクダウンの応用方法
- 第2章 教師のフィードバックと児童・生徒のマインドセット
- ステップ2.0 Feedback & Mindset
- 1. 見取ってフィードバック
- 2. チーム学校でレンズを共有
- 3. 児童・生徒自身のマインドセット
- 4. チーム学校で能動的なマインドセットの機会を生み出す
- 第3章 ギミック(感情を動かす仕掛け)の効いた授業
- ステップ3.0 Gimmick
- 1. いまこそ,「ギミックの効いた授業」を!
- 2. 改めて「ギミック」について
- 3. ギミックブラッシュアップシートの活用
- 4. 教師のパフォーマンスがギミックの効果を高める
- 5. 学びのインフラが授業を支える
- 第4章 質の高い振り返りと自己評価
- ステップ4.0 Reflection & Assessment
- 1. アセスメントではなく振り返りそのものについて
- 2. 振り返りは自分に「問い」を立てること
- 3. 振り返りのための「問い」の立て方
- 4. そのほかの振り返りについて
- 5. 質の高い振り返りで学習転移を
- 第5章 教師のリフレクションと実践サイクル
- ステップ5.0 Reflection & Cycle
- 1. 反省的実践家としての教師
- 2. 授業のリフレクション
- 3. 非認知能力の評価からリフレクション
- 4. 反省的実践家としての実践サイクル
- 参考文献
- おわりに
はじめに
拙著『教師のための「非認知能力」の育て方』を世に出してから,早いもので3年の年月が経とうとしています。あの本は,現場の先生方と共に,子ども(児童・生徒)たちの「非認知能力」を育てるということは一体どういうことなのか,また「非認知能力」と「認知能力」を一体的に育てるとはどういうことなのかについて,日々の実践の中で試行錯誤を重ねながら,その成果を言語化・体系化した一冊でした。理論だけでも,経験だけでもたどり着けなかった,まさに実践と対話の往還の中から生まれたものだったと感じています。私一人では決して書くことのできなかった,そして現場の先生方がいらっしゃらなければ決して形にならなかった本であったと強く思っています。
さらにいえば,当時の私にとっては,これ以上に現場の先生方に寄与できる本はもう書けないのではないかとさえ思えるほどの達成感もありました。実際,この3年間で立て続けに増刷されてきたことは,多くの先生方に受け止めていただけた証であり,その手ごたえを裏づけているように感じています。同時に,それだけ現場において「非認知能力」をどう育てるのかという問いが切実であり続けていることのあらわれでもあるのでしょう。
しかし,驚くべきことに,この3年間で私自身の中に確かな変化,いわばアップデートが起こっていることを強く実感するようになりました。それは,現場の先生方と毎日のように共歩※(きょうほ)し続ける中で,3年前には見えていなかったことが次々と見えるようになり,実践の意味づけや捉え方がより精緻になってきたからです。特に,「教育実践ステップ5.0」に取り組んでくださる小中学校や高等学校が全国的に広がり,各校でトライ&エラーが粘り強く繰り返されてきたことは大きな財産でした。その蓄積によって,それぞれのステップの具体像やつながりがより立体的に捉えられるようになり,解像度を一段と高めることができたと確信しています。
そこで,前著『教師のための「非認知能力」の育て方』をパートTとするならば,本書は紛れもなくパートUに位置づくものです。単なる続編というよりも,実践の積み重ねによって再構築された「深化版」として,正統に受け取っていただければ幸いです。
そのため,章立ても前著と同様に,第0章の総論から始まり,以降は教育実践ステップ5.0の各ステップに対応した構成としています。全体像を体系的に把握したい方は第0章から順を追ってお読みいただき,現時点で特定のステップについて具体的に知りたい方は,該当する章から読み進めてください。それぞれの関心や課題意識に応じて読み進めていただくことで,これまで以上に理解が深まり,みなさんの実践にも無理なく,そして効果的に反映しやすくなるはずです。なお,パートTにあたる前著をまだ読まれていない方は,本書の理解をより確かなものにするためにも,先にそちらからお読みいただくことをおすすめします。
もう一つ,本書のタイトルでは,あえて「チーム学校」という言葉を前面に掲げました。近年の学校現場を取り巻く様々な課題は,複雑化・多様化の一途をたどっており,私以上に読者のみなさんの方が日々その深刻さを実感されていることと思います。もはや,これらの問題を個人の力量や努力だけで乗り越えられる時代ではなくなっています。だからこそ,単なるスローガンとしての「チーム学校」ではなく,一人ひとりの専門性や強みを生かしながら,組織として子どもたちに向き合っていく在り方を本気で模索していく必要があります。そもそも,上述した教育実践ステップ5.0も,そのような組織的実践を支えるために言語化・体系化してきたものにほかなりません。
さあ,チーム学校という視点のもとで,子どもたちだけでなく,大人たち自身の非認知能力も育てていきましょう。そのプロセスこそが,結果として子どもたちの育ちをより確かなものにしていくはずです。そのための一助として,本書を読み進めていただければ幸いです。本書の中の,たった1ページでも構いません。みなさんの明日からの実践に少しでも生かしていただけることを,心から願っています。
2026年6月 /中山 芳一
※「共歩」という言葉は,筆者による造語です。
文字通り「共に歩む」を意味しています。
意味的には,「伴走」に近いですが,現場のみなさんともっと一緒になって,もっと一歩一歩をしっかり踏み出していきたい,という思いを込めています。
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明治図書















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