- 序文 聞こえないけど,聞こえる音 /大岩 幸太郎
- まえがき /千田 昇
- 第1章 総論:授業で勝負できる教師になるために
- 〜Z図を活用した授業づくり〜
- 1 授業を成立させる「Z図」/ 2 子どもに生きてはたらく学力/ 3 本校の問題解決学習/ 4 子どもの思考活動図(Z図)で授業を考える/ 5 評価計画を立てよう
- 第2章 Z図を活用した各教科・領域の授業づくり
- 国語 子ども主体の学びを支える授業
- (1年 「『シャボン玉遊び』の楽しさを6年生のお兄ちゃん,お姉ちゃんに知らせよう」)
- T 教材研究をしよう
- 1 つけたい力と到達像/ 2 教材を選ぶ
- U 指導計画をつくろう
- 1 骨組みをつくる(学習の入り口と出口)/ 2 指導計画を想定する
- V 本時案をつくろう
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(6/10)
- W 本時案例 (説明的文章 3年 「めだか」)
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(5/11)
- 社会 働く人びとの姿から自分のくらしを見直す授業
- (4年 「資源プラ分別のきまりをゆるめた清掃センターのSさん」)
- T 教材研究をしよう
- 1 つけたい力と到達像/ 2 教材を選ぶ
- U 指導計画をつくろう
- 1 骨組みをつくる(学習の入り口と出口)/ 2 指導計画を想定する
- V 本時案をつくろう
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(8/13)
- W 本時案例 (6年 「我が国の政治の働き」)
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(10/15)
- 算数 数学的な考え方を伴った理解を図る授業
- (5年 「小数の割り算」)
- T 教材研究をしよう
- 1 つけたい力と到達像/ 2 教材を選ぶ
- U 指導計画をつくろう
- 1 骨組みをつくる(学習の入り口と出口)/ 2 指導計画を想定する/ 3 2つの思考活動
- V 本時案をつくろう
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(8/12)
- W 本時案例 (数量関係 4年 「折れ線グラフ」)
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(7/11)
- 理科 実感を伴った理解を図る授業
- (6年 「人の体のつくりと働き」)
- T 教材研究をしよう
- 1 つけたい力と到達像/ 2 教材を選ぶ
- U 指導計画をつくろう
- 1 骨組みをつくる(学習の入り口と出口)/ 2 指導計画を想定する/ 3 2つの思考活動
- V 本時案をつくろう
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(10/12)
- W 本時案例 (3年 「じしゃく」)
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(7/11)
- 生活 気づきの質を高める授業
- (2年 「自然や物を使った遊び」)
- T 指導計画をつくろう
- 1 骨組みをつくる(学習の入り口と出口)/ 2 指導計画を想定する/ 3 2つの思考活動
- U 本時案をつくろう
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(9/15)
- 音楽 感性を働かせ,自分なりの表現を工夫する授業
- (6年 「『Smile Again』で励ます気持ちを表そう」)
- T 本時案をつくろう
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(7/10)
- 図画工作 自分の願いを表現する楽しさを感じる学習
- (1年 「つめたりくっつけたりして,ふわふわ紙ランドで楽しく遊ぼう」)
- T 本時案をつくろう
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(5/10)
- 家庭 自ら考え実践する力を育む授業
- (5年 「栄養を考えた食事」)
- T 本時案をつくろう
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(9/15)
- 体育 楽しみながら動きを高める授業
- (2年 「E ゲーム『ボールゲーム』」)
- T 本時案をつくろう
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(9/13)
- 道徳 主人公の道徳的行為の原動力を探らせる授業
- (6年 「ブランコ乗りとピエロ」)
- T 教材研究をしよう
- 1 つけたい力と到達像/ 2 教材を選ぶ
- U 指導計画をつくろう
- 1 骨組みをつくる(学習の入り口と出口)/ 2 指導計画を想定する/ 3 2つの思考活動
- V 本時案をつくろう
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(2/2)
- W 本時案例 (2年 「ブランコ」)
- 1 本時の主眼を考える/ 2 どんな学習活動(手立て)を仕組み,どう評価するか/ 3 本時の板書を考える/ 4 学習指導案例(2/2)
- あとがき
- 研究同人
序文♪聞こえないけど,聞こえる音♪
今回,大分大学附属小学校が,附属小学校としてのこれまでの取り組んだ研究成果を「子どもの学びと思考活動」と題する実践報告書にまとめ,世に問うことになりました。その序文を書く機会を与えていただきましたので,子どもたち一人ひとりの将来につながる「子どもの学びと思考活動」への期待を述べることにします。
そこで「聞こえないけど,聞こえる音」をテーマとし,どんな思考活動が生じるかを考えてみます。まず,このタイトルを英語に訳すとして,どんな英訳が思いつくでしょう。私は,このタイトルから,サイモン&ガーファンクルの“The Sounds of Silence”を思い起こし,よい訳があったと思いました。これと対照的な関係にある有名なタイトルは,“The Sound of Music”でしょうか。次にこのタイトルから連想して「聞こえないけど,聞こえる音」を考えます。今度はどんな思考が頭の中を巡るでしょうか。あるいは,どんな音が連想できるでしょうか。
私の場合は,まず2つの俳句が浮かびました。
「閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声」,「古池や 蛙飛びこむ 水の音」
続けて「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」も思い出しました。さらに,古今和歌集にある和歌「目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」も見つけました。これらは,いずれの歌からも「聞こえないけど聞こえる音」が聞こえてきます。
もう1つ,イタリア・フィレンツェにある「科学史研究所博物館」を訪問したときのことを思い出しました。そこには,ガリレオ・ガリレイの落下実験を再現する斜面(Inclined Place)が展示されていました。その斜面には,小さな5つのベルが取り付けられ,斜面の頂上から静かに球をなげうつと,球は斜面を転がり落ちながら,ベルに衝突する仕掛けになっています。その斜面を眺めているうちに,17世紀のガリレオは,どんなベルの音を聞いたのか知りたくなり,思わず知らず,小さなベルに指が伸びていきました。その指先が,今まさに,ベルを鳴らそうとしたとき,大きなイタリア語が耳に飛び込んできました。驚いて,とっさに指を元に戻してしまいました。ですからこれは,「聞いたけれども,聞けなかった音」への思考活動でした。
小学校・中学校の義務教育の過程では,各教科に分かれて教育が行われています。しかし,社会に出てから必要とされる「思考過程」では,上述のように,教科で習ったことや日常で体験したことをもととして,それらを自由につなぐ思考活動が求められているかと思います。そのような観点からも,「子どもの学びと思考活動」は,大事な研究テーマです。もし,小学校の授業での子どもの学びが教科ごとに分割され,総合する思考活動につながらないとすれば,大変な問題であるといえるからです。そうした意味も含めた「学びと思考活動」の個々での研究が全国に広がることに,本書が貢献できればと望んでいます。また,本書に対する忌避のないご叱正をいただけますことを期待しております。
2010年1月 大分大学教育福祉科学部長 /大岩 幸太郎(理学博士)
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明治図書
















