アクティブ・ラーニングを位置づけた小学校社会科の授業プラン

アクティブ・ラーニングを位置づけた小学校社会科の授業プラン

好評2刷

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即実践できるアクティブ・ラーニングの事例が満載!

「主体的・対話的で深い学び」とのかかわりがよく分かるアクティブ・ラーニングの授業プランを、3年〜6年の学年別・単元別に授業中の資料や対話場面も入れた形で豊富に収録。見方・考え方から子供の社会認識のとらえまで、ALの評価の手立ても詳しく解説しています!


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PDF
ISBN:
978-4-18-277116-3
ジャンル:
社会
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 136頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年10月10日

もくじ

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はじめに
第1章 アクティブ・ラーニングを位置づけた小学校社会科の授業づくり
1 アクティブ・ラーニングとは何か
2 小学校社会科におけるアクティブ・ラーニングの位置づけ
3 本書におけるアクティブ・ラーニングのとらえ
第2章 アクティブ・ラーニングを位置づけた小学校社会科の授業プラン
〈3年〉
自作の絵地図から,自分たちの学区の特徴を考えよう
(3年/学校のまわりのようすを調べ・考え合う)
様々な立場の人が買い物しやすくなる工夫を考えよう
(3年/店ではたらく人の工夫を調べ・考え合う)
私たちの学校のまわりのお仕事図鑑を作ろう
(3年/地域の人々の生産活動を調べ・考え合う)
〈4年〉
水を大切に使うためのアイデアを考えよう
(4年/くらしを支える水を調べ・考え合う)
家庭ごみ有料化の是非を考えよう
(4年/健康なくらしを守る活動を調べ・考え合う)
すごいぞ!消防団 近所の近助で安全な暮らしを守ろう
(4年/安心・安全なまちづくりを調べ・考え合う)
「原爆ドームスタディツアー」を企画しよう
(4年/変わってきた人々のくらしを調べ・考え合う)
福山をつくった人物を紹介するCMを作ろう
(4年/地域の発展に尽くした人々を調べ・考え合う)
セツブンソウのまち総領町から楠那へ〜想いのバトンをつなげよう〜
(4年/県の特色ある地域の人々のくらしを調べ・考え合う)
〈5年〉
特産物の生産量が「日本一」になるための方策を提案しよう
(5年/地形や気候をいかした人々のくらしを調べ・考え合う)
農家の課題を克服する「プロジェクトX」を考えよう
(5年/我が国の農業の特色を調べ・考え合う)
三陸のカキ養殖の特色を調べ,ブランド化への取り組みについて考えよう
(5年/我が国の水産業の特色を調べ・考え合う)
日本の企業はどこに工場を建設するべきかを考えよう
(5年/工業生産の特色や人々の工夫・努力を調べ・考え合う)
日本の工業アップ↑アップ↑プランをつくろう
(5年/日本の工業の問題点・課題について調べ・考え合う)
新聞社の企画運営事業の意図について資料を読み取り,話し合おう
(5年/我が国の情報産業を調べ・考え合う)
本当!?と問う力を育もう
(5年/情報化した社会の変化や課題を調べ・考え合う)
鮪立地区の防潮堤の高さについて考えよう
(5年/国土の環境と生活との関係について調べ・考え合う)
自然災害に強いまちづくりについて考えよう
(5年/自然災害を防ぐ取り組みを調べ・考え合う)
〈6年〉
縄文・弥生文化から当時のくらしの様子について考えよう
(6年/縄文・弥生・古墳文化について調べ・考え合う)
室町文化の特徴を漢字1文字に縮めよう
(6年/現代に生きる室町文化について調べ・考え合う)
信長・秀吉・家康が天下統一に果たした役割を考え,歴史新聞にまとめよう
(6年/天下統一について調べ・考え合う)
外交関係や国際交流を中心に明治の世の中をつくった人々の歴史ドラマを作ろう
(6年/明治維新と文明開化について調べ・考え合う)
広島の歩みから平和に必要なことを考えよう
(6年/戦後復興について調べ・考え合う)
これまでの学習内容やオリンピックの歴史を踏まえ,2020東京五輪開催の意義を考えよう
(6年/日本でのオリンピックの開催について調べ・考え合う)
持続可能な地域づくりのために大切なことを考え合おう
(6年/災害復旧にかかわる政治の働きについて調べ・考え合う)
経済的視点でよりよい関係づくりを構想しよう
(6年/日本とつながりの深い国々について調べ・考え合う)
新たな国際協力の在り方から関わり方を考えよう
(6年/我が国の国際交流や国際協力について調べ・考え合う)
第3章 アクティブ・ラーニングを位置づけた小学校社会科の授業の評価
1 アクティブ・ラーニングがめざすもの
2 社会科とアクティブ・ラーニング
3 アクティブ・ラーニングを踏まえた社会科の評価の事例

はじめに

 「アクティブ・ラーニング」は,今回改訂された新しい教育課程の特色の一つとして注目されているものです。その概念としては,2016年12月21日の中央教育審議会の「答申」では,「主体的・対話的で深い学び」と定義されています。では,具体的に小学校社会科の場合,どのような学習が求められるのでしょうか。最近の実践例から考えてみましょう。

 先日,心に残る2つの授業を見学する機会を得ました。一つは,広島市内のS小学校3年生の安全な生活に関連した単元の授業です。それは,自分たちの町が警察や地域の防犯ボランティア団体の人々によって守られている安全な町であることを知った児童が,警察ではない防犯ボランティアの人々がどうして地域の安全を守ろうとしているのかを考えた上で,「地域をもっと安全な町にするにはどうしたらよいか」,そのプランを4人グループで考え合うという授業でした。3年生であっても,よりよい地域社会の実現にかかわろうとすることができることが実感できる授業でした。

 もう一つは,神戸市内のT小学校5年生の,宮城県気仙沼市のカキ養殖を取り上げた授業です。現地での取材に基づいて教師が作成した東日本大震災前後のカキ生産量の変化に関するグラフが示されると,児童は4人グループで,2011年度に震災の影響で0に激減していたものが,ライバルである広島県からの支援もあり,2012年度にはある漁協の生産量がわずかに回復,2013年度には別の漁協でも生産量が上がってきている事実を読み取っていきます。そして,わずかでも回復のきざしが見られるようになったのはなぜかを考えていきます。その時です。ある児童が,復興への「希望が見えた」と発言しました。この後,この授業は生産量を元のようにV字回復させるにはどうしたらよいかを考え合うような展開が構想されていましたが,このクラスならそれも十分可能ではないかと感じられました。

 これら2つの実践に共通しているものは,次の3点ではないでしょうか。第1は,社会生活の中の課題解決に向けた人々による問題解決的行為の具体的な事例が学習材として取り上げられていることです。第2は,取り上げられた学習材に対して,「なぜ,どうして」「どうしたらよいか,どの解決策がより望ましいか」という問いを児童自身が発見していることです。そして第3は,課題の解決策をクラスの仲間同士で対話的に深く考え合うものとなっていることです。それは,正解のない問題の解決策を求めて,児童たちが多様な意見や考えを出し合い,話し合う学習でもあります。

 しかし,このような特色よりもさらに注目する必要があるのは,児童自身が現実の社会と深くかかわりながら,その中から児童が「希望を見つける」,児童に「希望が生まれる」,そのような学習を成立させようとしている点ではないでしょうか。「希望を見つける」「希望が生まれる」社会科学習は,よりよい社会の実現に向けた社会参画の実践や行動の土台づくりにつながるものでもあります。では,どうしたらこのようなアクティブな社会科学習を構想し,実践することができるのでしょうか。

 このような問題意識から,本書の第1章では,「アクティブ・ラーニング」を取り入れた小学校社会科の授業デザインの基本的な考え方を提案しました。

 続く第2章では,授業デザインの基本的な考え方を大きな枠組みとして,第3・4学年,第5学年,第6学年の中から,「アクティブ・ラーニング」型の学習例としてそれぞれ9つの小単元を取り上げて,地域の社会科研究会をリードしている教員の皆さんを中心に人選を行い,授業プランを作成してもらいました。特に本書では,社会科独自のねらいである「社会認識と市民的資質」を統一的に育成する学習方法論の視点から,A「社会認識の形成をより重視した学習方法(「なぜ,どうして」の思考型)」として@「理解型」とA「説明型」,B「市民的資質の育成をより重視した学習方法(「どうしたらよいか,どの解決策がより望ましいか」の判断型)」としてB「構想型」,C「議論型」,D「社会参画型」,C「AとBの両方の学習成果の発信を重視した学習方法」としてE「発表会・報告会型」とF「総合的表現活動型」の全体で7種類の学習活動を取り出し,各小単元の中に適切なものを取り入れてもらいました。したがって,作成されたすべての小単元が実践された通りの展開ではありません。「アクティブ・ラーニング」型の学習モデルを示せるように,修正・改善をお願いしたものです。その意味では,これからの社会科の授業づくりを強く意識した学習プランでもあります。そのチャレンジ精神を感じてもらえれば幸いです。

 そして第3章では,評価を専門に研究している若手研究者から,アクティブ・ラーニングの考え方を踏まえた社会科の多様な評価例を紹介してもらいました。指導と評価は本来一体のものですので,評価が変わらなければ「アクティブ・ラーニング」型の学習も定着しないと思われます。本稿が小学校社会科の指導と評価の改善につながることを期待しております。

 以上のような特色をもつ本書が,全国各地の社会科教師の皆様に活用され,小学校社会科の究極目標となっている「平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」独創的な授業プラン開発のための参考文献の一つとなりますことを大いに期待しております。

 なお,本書は,先に刊行いたしました『アクティブ・ラーニングを位置づけた中学校社会科の授業プラン』の姉妹編となるものです。両書を通して,発達段階に応じた「アクティブ・ラーニング」型の小・中学校社会科学習の系統も感じていただければ幸いです。

 最後になりましたが,続けて本書出版の機会を与えていただいた明治図書ならびに,きめ細かい助言をいただきました及川誠氏に心よりのお礼を申し上げます。


  2017年3月   /小原 友行

著者紹介

小原 友行(こばら ともゆき)著書を検索»

1951年広島県生まれ。

広島大学教育学部高等学校教員養成課程社会科卒業。

広島大学大学院教育学研究科教科教育学専攻博士課程前期・後期修了。

高知大学教育学部助手,同助教授,広島大学学校教育学部助教授,同教授などを経て,現在は同大学院教育学研究科教授。

博士(教育学)。

【主な活動】

全国社会科教育学会会長,日本NIE学会会長,広島大学グローバル・パートナーシップ・スクール・プロジェクト研究センター代表などを歴任(現在はいずれも顧問)。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
    • とても参考になりました。
      2018/10/820代・小学校教員
    • とても見易いし使いやすく便利です。
      2018/1/13あつし
    • 小原先生の理論がわかりやすいです。
      2017/4/3030代・小学校教員
    • 授業の具体的な例がわかりやすい
      2017/4/230代・小学校管理職
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