- まえがき
- 第1章 タイプ別に違いがある? 校長の協力を得るために
- 1 校長は色々です
- 2 イノベーター・アーリーアダプターの校長
- 3 アーリーマジョリティ・レイトマジョリティの校長
- 4 ラガードの校長
- 5 校長の見分け方
- 6 『学び合い』的校長
- COLUMN 大人にすること
- 第2章 悩みも迷いも受けとめて! 子どもとの接し方
- 1 上手くいかなくなったら
- 2 選択科目の場合
- 3 子どもが悩みを訴えたら
- 4 子どもたちが暗くなるのは何故
- COLUMN 規格
- 第3章 最初に説明しよう! 保護者との接し方
- 1 最初に保護者に説明しましょう
- 2 学級通信
- 3 授業参観
- 4 授業公開の定常化
- 5 子どもに説明させる
- 6 保護者別対策
- COLUMN リンカーン
- 第4章 普通のことを徹底することから始めよう! 同僚との接し方
- 1 人に押しつける
- 2 説明してしまう
- 3 普通のことを徹底する
- 4 ネットは公
- 5 あなたの他にあと2人
- 6 学校としての取り組み
- 7 保健の先生・介助員
- COLUMN 仲間
- 第5章 週イチから始めよう! 授業のファーストステップ
- 1 まずは週イチ
- 2 安全運転で
- 3 部分的な『学び合い』
- 4 プリントを用意する
- 5 自由にグループをつくる
- 6 時間を守らせる
- 7 たして2でわる『学び合い』もどき
- COLUMN 最後の一線
- 第6章 仲間と広がりを生み出そう! 自分の志を保つために
- 1 会に参加しましょう
- 2 参観しましょう・参観してもらいましょう
- 3 情報発信をしましょう
- 4 会を開きましょう
- 5 戦い方
- 6 落ち込まないために
- あとがき
まえがき
あなたの勤務校で『学び合い』の実践者は何人おられますか?おそらく,多くの方がご自身一人であるのではないでしょうか?そのため,気を遣うことも多いと思います。
しかし,それは『学び合い』だからではありません。
私が本を書き始めたとき,出版社から「採用5年以内の先生を想定して書いて下さい」,「この一冊で完結した本を書いて下さい」と言われました。何故でしょうか?
出版社の調査によれば,本を買って学ぶのは採用5年目以内の先生方が主なのです。採用直後の先生は授業自体を成り立たせるのに精一杯です。藁をもつかむ思いで本を買い,学びます。しかし採用5年もたてば,ことさら学ばなくても,教師用指導書を斜め読みすれば授業は出来るようになります。そうなると本を買って学びません。授業改善しません。残念ながら,それが現実です。本書を手に取っている方にお伺いします。周りを見回せば,それは事実ではないでしょうか?そして買って学ぶ人も,多様な本を買わなくなりました。だから,一冊で完結する本でなければならないのです(注)。
つまり,『学び合い』以外であっても,現状の再生産ではなく,新たなことに飛び込もうとするならば,少数派にならざるをえないのです。大変だと思います。でも,そのような人がいなければ日本の教育は緩慢に死ぬしかありません。子どもたちが生きる社会が今とは違うならば,教育も変化し続けなければなりません。
大変でしょうが,得るものも大きいです。
『学び合い』のような新たなものに取り組もうとされる方は,現状の閉塞感に不満をもっています。私はあなたにお約束します。他の誰よりも早く,その閉塞感を打ち破る経験が出来ます。このような経験を得られる人は,明治以降の近代学校教育制度が生まれてから現在までの星の数ほどの教師の中で,本当にわずかです。
なお,お願いがあります。対話形式であるため,基本的に設定は小学校で統一しております。中学校,高校に勤務される方はご自身の勤務校に置き換えて下さい。『学び合い』はもの凄くシンプルで汎用性が高いので,おそらくそれは容易いことだと思います。
(注)幸い『学び合い』の裾野が広がりました。そのため身銭を切って本を買い,『学び合い』を学ぼうとする採用直後ではない先生方が増えたのです。そのため,本書のような本を出版できるようになりました。ありがとうございました。
/西川 純
もう分かっていると思うから省略するね、と言ったような記述が多かったから。