- まえがき
- 準備編 図解でわかる!中学校社会科の授業展開づくり
- 手順1 授業準備 学びの地図を生徒と描く
- 手順2 導入 学びの世界に生徒を呼び込む
- 手順3 問いと課題 生徒の問いと課題を結び付ける
- 手順4 資料 教材研究で資料を厳選する
- 手順5 見通し ゴールへの道筋と乗り物を想定する
- 手順6 学習活動 活動の目的を共有する
- 手順7 ツール 見方・考え方を働かせるように仕掛ける
- 手順8 支援の手立て しなやかに対応して軌道修正する
- 手順9 フィードバック ブレずに追究のエネルギーを補充する
- 手順10 まとめ・振り返り 生徒が学びをメタ認知できるようにする
- 実践編 フローチャートでわかる!中学校社会科の単元別授業展開モデル
- 地理的分野
- A世界と日本の地域構成 (1)地域構成 世界の地域構成
- 1 地球儀は1つの形しかないのに,なぜ地図は様々な形があるのか?
- A世界と日本の地域構成 (1)地域構成 日本の地域構成
- 2 こういうお雑煮を本当に食べる?
- B世界の様々な地域 (1)世界各地の人々の生活と環境 温帯の暮らし
- 3 地球温暖化が進むと,誰が困るのか?
- B世界の様々な地域 (1)世界各地の人々の生活と環境 人々の生活と宗教
- 4 イスラム教の生活って本当に大変なの?
- B世界の様々な地域 (2)世界の諸地域 アジア州
- 5 アジアは多様だけれども,共通点はないだろうか?
- 6 アジアを5枚の写真で表すとしたら?
- B世界の様々な地域 (2)世界の諸地域 ヨーロッパ州
- 7 ヨーロッパの統合は,誰にとって得なのだろうか?
- B世界の様々な地域 (2)世界の諸地域 アフリカ州
- 8 「ラスト・フロンティア」以外でアフリカをたとえるなら,どのような表現が適切か?
- B世界の様々な地域 (2)世界の諸地域 北アメリカ州
- 9 ○○に関するアメリカのすごさは,どこかの地域に集中しているのだろうか?
- B世界の様々な地域 (2)世界の諸地域 南アメリカ州
- 10 アマゾン川流域の熱帯雨林の減少は,誰にとっての問題なのだろうか?
- B世界の様々な地域 (2)世界の諸地域 オセアニア州
- 11 SNSで人気のナウルのように,オセアニアと他地域には,どんな意外な結び付きがあるか?
- C日本の様々な地域 (1)地域調査の手法
- 12 中学生の立場を生かして地域をPRするポイントは何か?
- C日本の様々な地域 (2)日本の地域的特色と地域区分 自然環境
- 13 「北海道は寒いから雪が降る」という説明は正しいか?
- C日本の様々な地域 (2)日本の地域的特色と地域区分 資源・エネルギーと産業
- 14 半導体の生産に必要な大量の水と電気をどのように確保するか?
- 15 発電方法の特色を根拠にすると,ベストミックスはどうなるか?
- C日本の様々な地域 (3)日本の諸地域 九州地方
- 16 産業について北海道と九州に似ている点はあるか?
- C日本の様々な地域 (3)日本の諸地域 中国・四国地方
- 17 そもそも人口減少や少子化は解決できる課題なのか?
- C日本の様々な地域 (3)日本の諸地域 近畿地方
- 18 地域への愛着や誇りは,どのような要因から生まれるのだろうか?
- C日本の様々な地域 (3)日本の諸地域 中部地方
- 19 岐阜の例から考えると,産業がさかんな理由を調べる時には何に注目するとよいだろうか?
- 20 繊維と楽器とオートバイには,生産がさかんになる共通点があるのだろうか?
- C日本の様々な地域 (3)日本の諸地域 関東地方
- 21 なぜ若い人が集まる東京の出生率が低いのか?
- C日本の様々な地域 (3)日本の諸地域 東北地方
- 22 震災の被害に地域差がある状況で,復興のイメージを共有できるのか?
- C日本の様々な地域 (3)日本の諸地域 北海道地方
- 23 石屋製菓はせっかく東京に店を出したのに,どのようなねらいで白い恋人を販売しないのか?
- C日本の様々な地域 (4)地域の在り方
- 24 ○○市の課題を解決するためにこれから必要になることは何か?
- 歴史的分野
- A歴史との対話 (1)私たちと歴史
- 1 歴史の時代は,ある時にガラッと次の時代になるのか?それともじわじわ変わるのか?
- A歴史との対話 (2)身近な地域の歴史
- 2 今の地域と,逆に変わっていないところはないかな?
- B近世までの日本とアジア (1)古代までの日本 世界の古代文明や宗教のおこり
- 3 なぜ砂漠に古代文明ができたのか?
- B近世までの日本とアジア (1)古代までの日本 日本列島における国家形成
- 4 本当に縄文時代の生活は理想的だと言えるのか?
- 5 弥生時代は縄文時代の発展形なのか?
- B近世までの日本とアジア (1)古代までの日本 律令国家の形成
- 6 そもそも朝廷は,都の建設にかかる費用を事前に考えていたのだろうか?
- B近世までの日本とアジア (1)古代までの日本 古代の文化と東アジアとの関わり
- 7 古代の文化は,誰が広めたのか?
- B近世までの日本とアジア (2)中世の日本 武家政治の成立とユーラシアの交流 鎌倉幕府の成立
- 8 御成敗式目がつくられると,幕府や御家人にとってどのような影響があるのか?
- B近世までの日本とアジア (2)中世の日本 武家政治の成立とユーラシアの交流 元寇
- 9 「元寇のせいで鎌倉幕府の支配が弱まった」という意見を,どのように評価するか?
- B近世までの日本とアジア (2)中世の日本 武家政治の展開と東アジアの動き
- 10 海を使った交通の役割は,現代と中世を比べるとどのように異なるのだろうか?
- B近世までの日本とアジア (2)中世の日本 民衆の成長と新たな文化の形成
- 11 下剋上と自治は同じことなのか? それとも違うことなのか?
- B近世までの日本とアジア (3)近世の日本 世界の動きと統一事業
- 12 近世にヨーロッパから来た人々の影響は,過去に日本に来た外国の人々と何が違うのか?
- B近世までの日本とアジア (3)近世の日本 江戸幕府の成立と対外関係
- 13 参勤交代のねらいは,本当に大名の経済力を下げることなのか?
- 14 「鎖国」という表現には,どのような問題があるか?
- B近世までの日本とアジア (3)近世の日本 産業の発達と町人文化
- 15 この問いは,いくつの内容に分けることができるだろうか?
- B近世までの日本とアジア (3)近世の日本 幕府の政治の展開
- 16 幕政改革の通信簿を付けるとしたら,気を付けるべきことは何か?
- C近現代の日本と世界 (1)近代の日本と世界 欧米における近代社会の成立とアジア諸国の動き
- 17 産業革命は,誰を幸せにしたか?
- C近現代の日本と世界 (1)近代の日本と世界 明治維新と近代国家の形成
- 18 渋沢栄一はどのような功績を残して紙幣に選ばれたのだろうか?
- 19 沖縄と北海道は,内地(本土)と同じになったのだろうか?
- C近現代の日本と世界 (1)近代の日本と世界 議会政治の始まりと国際社会のかかわり
- 20 歴史を劇にする時に気を付けるべきことは何か?
- C近現代の日本と世界 (1)近代の日本と世界 近代産業の発展と近代文化の形成
- 21 明治時代は女性が活躍できる時代になったのだろうか?
- C近現代の日本と世界 (1)近代の日本と世界 第一次世界大戦前後の国際情勢と大衆の出現
- 22 毒ガスの使用は,その後の戦争にも影響を与えたのだろうか?
- C近現代の日本と世界 (1)近代の日本と世界 第二次世界大戦と人類への惨禍
- 23 正しい戦争だと,国民は納得していたのか?
- C近現代の日本と世界 (2)現代の日本と世界 日本の民主化と冷戦下の国際社会
- 24 なぜ今でも「戦後○○年」という表現を使うのか?
- C近現代の日本と世界 (2)現代の日本と世界 日本の経済の発展とグローバル化する世界
- 25 戦争が終わった要因は何か?
- 公民的分野
- A私たちと現代社会 (1)私たちが生きる現代社会と文化の特色 現代日本の特色
- 1 現代の日本の特色に,1つ付け加えるとしたら何を入れるか?
- A私たちと現代社会 (2)現代社会を捉える枠組み 現代社会の見方・考え方の基礎
- 2 合意形成には,どのような方法があるのだろうか?
- B私たちと経済 (1)市場の働きと経済 身近な消費生活
- 3 納得できない消費とはどんなものか?
- B私たちと経済 (1)市場の働きと経済 市場経済の基本的な考え方
- 4 生産のコストが上がるのに,なぜSDGsに力を入れるのか?
- B私たちと経済 (1)市場の働きと経済 生産や金融の仕組み
- 5 学生で社長をしている人は,大人にはできない工夫をしているのだろうか?
- B私たちと経済 (1)市場の働きと経済 勤労の権利と義務
- 6 仕事と私生活の理想の割合は,ずっと変わらないのだろうか?
- 7 退職の日に人生を振り返ってどんな言葉を残すか?
- B私たちと経済 (2)国民の生活と政府の役割 社会保障の充実
- 8 日本人も外国人労働者も幸せに感じるために,どのような社会保障が必要か?
- B私たちと経済 (2)国民の生活と政府の役割 財政・租税
- 9 「仕方ない」と多くの人が思える税金の使い道は,どんなものか?
- C私たちと政治 (1)人間の尊重と日本国憲法の基本的原則 人間の尊重
- 10 「みんな」からこぼれ落ちている人々がいないか?
- 11 人権が保障された出来事は地域も時代も違うが,共通する点は何か?
- C私たちと政治 (1)人間の尊重と日本国憲法の基本的原則 法に基づく政治
- 12 他の法律がある状態で日本国憲法だけをなくしたら,国民が困ることはあるのか?
- C私たちと政治 (1)人間の尊重と日本国憲法の基本的原則 日本国憲法の原則
- 13 参政権の保障に関わって,忘れられている立場の人はいないか?
- C私たちと政治 (1)人間の尊重と日本国憲法の基本的原則 平和主義
- 14 沖縄の怒りという表現がされているが,日本の怒りではないのか?
- C私たちと政治 (2)民主政治と政治参加 民主政治の仕組み
- 15 18歳で初めて選挙に行った時の様子をSNSに投稿するとしたら,何と書くか?
- C私たちと政治 (2)民主政治と政治参加 議会制民主主義
- 16 政治に関して信頼できる情報は,どうやったら手に入るのか?
- C私たちと政治 (2)民主政治と政治参加 公正な裁判
- 17 有罪率99.9%は,よいことなのか?
- C私たちと政治 (2)民主政治と政治参加 地方自治
- 18 どうして,住む町に対する自慢より不満が多くなるのだろうか?
- D私たちと国際社会の諸課題 (1)世界平和と人類の福祉の増大 国際連合の働き
- 19 国際連合憲章を22世紀に通用する内容に変えるには,どんな問題があるか?
- D私たちと国際社会の諸課題 (2)よりよい社会を目指して 持続可能な社会の実現
- 20 あなたは,どのように社会を変えたいか?
- 21 社会を変えるために大切なことは何だろうか?
- あとがき
まえがき
授業をしていると,こんな悩みを感じることはありませんか?
・授業は盛り上がったけれど,生徒の振り返りを読むと何を学んだかわかっていない
・せっかく準備した導入なのに,思ったより生徒の反応が鈍かった
・学習課題を教師が提示した直後に,生徒が「今日何するの?」と友達に課題を聞く
・様々な資料を用意したけれど,生徒は教科書かネット検索から答えを探そうとする
・課題の追究の場面で,生徒の反応が薄く,つまずいて困っている生徒もいる
・生徒のつまずきに合わせて課題の難度を下げたら,今度は暇を持て余す生徒が出た
・考察や構想が深まらずに,時間をかけて考えても最初の内容と変わらない
・1時間の授業で完結していて,語句レベルの知識の一部しか生徒の頭には残らない
同じ教科書を使って,同じ教師が授業をしても,授業に参加するのは同じ生徒ではありません。同じ授業は,1つとしてありません。授業展開の基本は同じでも,生徒の実態やその日の反応に合わせて,柔軟な対応が求められます。
授業は,たとえるならオーダーメイドの服を仕立てたり,手作りの料理を振る舞ったりすることに近いと考えます。しかも,生徒が次第に自分で服を用意したり,料理を作ったりすることができるようにする必要があります。教師主導ではなく,子どもを主語にした授業づくりと授業展開の調整が求められます。特に,毎時間の授業では,次の3点が鍵になります。
1点目は,構造化した授業展開です。単元(学習指導要領における小項目や中項目)の全体を俯瞰し,各時間の授業の役割を位置付けます。単元の目標をしっかりと定め,授業は柔軟に変えながらも,目標を見失わないようにします。授業展開の形は教室の数だけあっても,単元のまとめの段階では展開した流れを収束させ,すべての生徒が目標に到達するようにします。
2点目は,芯の通った柔軟さです。生徒の反応に対して「それもいいね」と何でも受け入れれば,授業は進みません。学校教育という枠組みがあり,学習指導要領という基準がある以上,何でもありにはできません。逆に,教師が予定した授業に無理に従わせても生徒は付いてこず,時間が過ぎるのを待つだけになってしまいます。そこで,単元のゴールを明確にします。そして,ゴールに至る「道筋」としての思考の流れが自由になるようにします。また,ゴールへ進む「乗り物」としての資料活用や学習形態・表現方法を柔軟にします。
3点目は,学習状況を分析して生徒と共有する評価です。生徒が働かせている見方・考え方,獲得した知識,効果的だった学習方法を自覚できるようにします。教師による形成的評価や生徒の相互評価,生徒の振り返りと自己評価,提案する学習での外部の評価を組み合わせます。
以上の授業展開のポイントを,本書では実際の授業に即して具体的に紹介しています。初めて教壇に立つ先生でも,本書を読めばある程度授業ができるように要点を示しました。1時間の授業を見開き1ページにしているので,授業の前の10分間に読むだけで,授業の流れをつかんだり,生徒の反応に余裕をもって対応できたりするはずです。
本書の準備編は「図解でわかる!中学校社会科の授業展開づくり」として,授業展開の基本的な理論と技を取り上げています。授業展開の流れに合わせて,導入から振り返りまで,図解を載せてポイントを紹介しています。社会科の教科の特性を踏まえつつ,他教科や道徳・特別活動・総合的な学習の時間の指導にも生かせるヒントを提案しています。
実践編は「フローチャートでわかる!中学校社会科の単元別授業展開モデル」です。
授業展開の要点として,資料,導入,課題の把握,課題の追究,効果的な見方・考え方,ゴールの姿,学習の構造化を挙げ,相互の関連性がわかるようにしました。さらに,生徒の反応やつまずきに合わせて授業展開を調整する方法を具体的に示しています。授業で困った時やもっと工夫したいと感じた時に,役に立つ内容になるようにまとめました。
また,実践編では中学校3年間で学習するすべての単元を取り上げ,単元を貫く学習課題(単元を貫く問い)を掲載しています。授業展開については,地理は24時間,歴史は25時間,公民は21時間分の実践例を載せています。すべての単元を網羅しているため,紹介していない時間の授業についても,関連させて実践することができると思います。読者の先生方の開発してきた授業プランや生徒の実態に応じて,授業展開をアレンジしてご活用ください。
なお,本書は,『図解&フローチャートでわかる 中学校社会科教材研究のすべて』の続編です。前著は教材研究や授業準備など,授業を設計するための考え方や具体的な方法を取り上げました。それに対して本書は,授業を実際に動かす方法を具体的に紹介しています。2冊を組み合わせると,教材研究から教室での授業まで,一貫した実践ができる形にまとめました。
私のこれまでの社会科教員としての歩みを振り返ると,10000回以上の社会科授業を行いましたが,その多くは「うまくいかなかった」と反省する日々でした。授業の達人にはほど遠いです。しかし,うまくいかないからこそ,反省と改善を繰り返し,その中で授業の「技」を一歩ずつ,時には後退しながらも鍛えてきたつもりです。本書には,その技を出すための「構え」と,ありったけの技を具体的に掲載しました。
図解とフローチャートを取り入れてわかりやすい表現にしつつ,社会科教育の奥深い世界のガイドになるように努めました。社会科教育の道を日々歩んでいる先生方にとって,本書が豊かな社会科実践を支える一冊になれば幸いです。
2025年12月 /川端 裕介
-
明治図書

















