- 発刊のことば
- T わが国のインターネットの教育利用の課題と展望
- 1 インターネットと教育実践の研究
- 1 知識が情報となるとき
- 2 モンキータッチングとネットサーフィング
- 3 変質する知識の価値
- 4 魚の目,鳥の目,鷹の目
- 5 情報が知識になるとき
- 6 学習する権利とインターネット
- 7 教育実践と実践理論の研究
- 8 実践理論の試み
- 9 実践理論と学会の役割
- 2 インターネットを利用した共同学習カリキュラムの開発と支援ツール
- ─「こねっと・プラン」モデルプロジェクトの研究成果─
- 1 共同学習のための素材提供のシステム
- 2 共同学習のためのカリキュラム開発
- 3 子どもによる情報発信
- 〜「メディアキッズ」の実践から〜
- 1 メディアキッズの概要
- 2 具体的な実践事例から〜ソフトクリエータプ口ジェクト
- 3 課題として
- 4 子どもが科学者に出会う
- 〜湧源サイエンスネットワークの活用
- 1 はじめに
- 2 研究背景
- 3 湧源サイエンスネットワーク
- 4 参加者にとってのYSNの意味
- 5 コミュニケーションとは
- 6 YSNの現在
- 7 参加者とシステム
- 8 活動概要とこれまでの結果
- 9 教師の内省と授業デザイン
- 10 生徒の変容の分析視点
- 11 科学者の変容
- 12 学校におけるコミュニケーション活動の問い直し
- 13 最後に
- 5 インターネットの教育利用を促進する施策
- 1 文部省の施策
- 2 主な答申書
- 3 地方交付税措置
- 4 文部省と郵政省のプロジェクト
- 5 文部省と通産省のプロジェクト
- 6 バーチャルエージェンシー
- 7 今後の課題
- 6 我が国の学校におけるインターネットプ口ジェク卜
- ─日本人学校プ口ジェクトを中心に─
- 1 はじめに
- 2 日本人学校プ口ジェクト
- 3 学校をベースにしたプロジェクトの意義
- 4 まとめ
- U インターネットを活用する教育実践
- 1 インターネットを用いた地域間交流学習
- 1 学校プロフィール
- 2 インターネット利用のねらい
- 3 実際の活動例
- 4 実践を支えるネットワーク環境
- 5 新たな交流の方法
- 6 メールの問題点
- 7 成果と課題
- 2 生活環境の異なる学校との共同学習
- 1 単元名「食べ物があぶない」
- 2 はじめに
- 3 育てたい資質・能力
- 4 活動の構造図
- 5 活動の実際
- 6 児童の変容
- 7 最後に
- 3 ホームページに対するメッセージを活用した国際理解教育の試み
- 〜小学6年社会「世界の中の日本」での実践を通して〜
- 1 はじめに
- 2 教育実践の目的と学習活動の構成
- 3 児童が学んだこと
- 4 まとめ
- 4 高度情報通信社会における生きる力の育成
- 〜ネットワークの有効活用を通して〜
- 1 はじめに
- 2 研究の仮説と手だて
- 3 研究の構想
- 4 研究の内容
- 5 おわりに
- 5 インターネットを活用する学校間交流
- 1 はじめに
- 2 川島中学校の学校間交流の歩み
- 3 交流から得たものから今後に向けて
- 6 インターネットを用いた国際交流学習
- 〜インターネット,テレビ会議を用いたドラマコラボレーション〜
- 1 はじめに
- 2 インターネットを用いたMlDlコラボレーションからスタート
- 3 姉妹校とのドラマコラボレーション
- 4 テレビ会議の内容とドラマコラボレーションの経過
- 5 「互いの違いに学びあい,互いの違いを生かし合える場面」での生徒の様々な「思い」
- 6 これまでの成果と今後の課題
- 7 課題学習のためのネットワーク活用
- 1 はじめに
- 2 実践の背景
- 3 システムの概要
- 4 ネットワークアンケート【社会科学分野】
- 5 まとめ
- 8 地域ネットワークを活用する教育研修
- 1 石川県における教育用ネットワークシステム(スクールネット)の特色
- 2 スクールネットを活用するための教員研修プログラム
- 3 スクールネットで資源を活用する教員研修
- V 学校でのインターネットの利用を促進する条件
- 1 最初は行動力・サポート・イベント,継続には全教科・全教員・全教室
- 1 はじめに
- 2 導入期は行動力・サポート・イベント
- 3 継続には全教科・全教員・全教室
- 4 おわりに:教育工学研究者からの貢献
- 2 コミュニケーションが変われば利用が変わる
- 1 電話・ファックスとインターネット
- 2 コミュニケーションと授業
- 3 教師自身の問題として
- 3 対等な立場での共同研究
- 〜理解ある上司の存在と成果の発表〜
- 1 はじめに
- 2 インターネットへの接続
- 3 教育実習への利用
- 4 今後の展望
- 4 教育委員会の支援がカギ
- 1 はじめに
- 2 馬橋小学校でのコンピュータ活用
- 3 インターネット利用促進の条件
- 4 おわりに
- 5 教師一人に「1台+ID」の環境を
- 1なぜ教師一人に1台のパソコンが必要か
- 2 なぜ教師一人一人にメールlDが必要か
- 6 教師のマルチタレント性が生きる
- 〜総合的な学習におけるインターネットの活用〜
- 7 子どもが自由に日常的に使えるインターネット学習環境が大切
- 1 はじめに
- 2 子どもによるネットワーキング
- 3 人が見えるインターネット学習環境
- 4 インターネット利用を広げていくために
- 8 新しいカリキュラムと重層的なサポート体制の必要性
- 1 はじめに
- 2 総合的な学習とインターネットの教育利用との接点の開拓
- 3 学校内外のサポート体制の確立
- 9 確かな理念を持ち校内の共通理解のもとに
- 1 ホームページ作成にあたっての考え方
- 2 指導にあたっての教師の役割
- 3 教師の啓発
- 4 ネットワークによる教師間の情報交換
- 10 これからの教育と高度情報化通信社会
- は じめに
- 1 学校とインターネットの始まり
- 2 インターネットは学校を変える
- 3 教育現場の体制づくり
- 4 インターネットは教育に役立つのか
- 資料 インターネットの教育利用を考えるための参考資料
- 1 単行本・雑誌
- 2 インターネット(WWWサイト・ページ)
- W 今日の教育課題「総合的な学習(情報)」の実践の課題
- 1 総合的学習と「情報」の課題
- 1 はじめに
- 2 総合的学習の内容構成は
- 3 情報教育からの総合的学習への接近
- 2 総合的学習の時間のための新たな授業づくり
- 1 総合的学習のためのカリキュラム開発
- 2 総合的学習のための授業づくり
- 3 小学校での情報教育の実際
- 〜何をどうするか〜
- 1 小学校における情報教育の意味と意義
- 2 総合的な学習と情報教育
- 3 情報通信機器の視聴覚的活用の推進
- 4 児童に対する情報教育の実際
- 5 課題
- 4 中学校での情報教育の実際
- 〜何をどうするか〜
- 1 総合的な学習の時間と情報教育
- 2 中学校における情報教育の指針
- 3 実践から体系化への一貫教育
- 4 実践事例データベースの構築
- 5 実践に当たっての課題
- 5 高等学校での情報教育の実際
- 1 はじめに
- 2 総合的な学習の時間の確保
- 3 情報教育と生きる力
- 4 実践事例
- コンピュータの中の自分史40年に思う 〜情報インフラの進む中で〜
- あとがきに代えて─インターネットと自由な学習
- 執筆者一覧
発刊のことば
日本教育工学会 会長 /水越 敏行
「日本教育工学会」という看板をみると,皆さんはどんなものを連想されるであろうか。例えば,コンピュータ,インターネット,情報教育,CD-ROM,マルチメディア,WWW,といったものが,まず列挙されるのではなかろうか?コンピュータ関連のハードやソフトが真っ先に連想されるのは,もちろん当節のメディアの動向からみれば,有り得ることだと思う。しかしその反面,大きな歪みというか,問題を感じる。人間の姿や問題が連想されてこない。特に子どもの学びや遊びの姿が浮かび出てこない。新しい学力形成と,メディア環境の現状の狭間にあって,苦闘し続ける教師の顔が,浮かばない。これでは「教育」という名詞を前に付ける資格がないと言われても仕方がない。
それはどこに原因があるのか。まず考えられるのは,教育工学が15〜20年前に発足した当初は,文字通りハード先行の雰囲気があった。ハードといっても当時はまだコンピュータは視野になかったが「私の学校は,まだOHPもアナライザーもないので,教育工学に関心を持てません」というような声に代表されるような発想が,確かにあった。やがてコンピュータが導入され,大学や中学・高校で数学や理科のCAIが始まると,当時の巨大なコンピュータ装置が,頭から覆い被さってくるような錯覚を覚えたものだ。このイメージがその後,尾を引いているように思う。
が実際はそうではない。その証拠の一つを上げると,1998年函館で開いた第14回大会では,教育メディア,教育評価,教師教育,授業研究・授業実践,インターネットを利用した授業実践,高等教育とメディア,等が,一般研究や課題研究の大半を占めている。学会機関誌でも,新たにショートレターを加えて,時の教育の実践的課題を取り上げるように努めてきた。全国各地での研究会を定期的に開いて,ご当地の教育課題を掘り下げ,比べ合う企画も拡充してきた。
しかし,である。教育工学会の会員は,増加し続けているとはいえ,まだ2000人に充たない。教員の数は136万人である。この第一線の教師達に,学会の垣根を越えて直接に訴え,また教師や生徒の生の声を載せる機関誌が,どうしても必要なのだ。これが会長を引き受けてからの一貫した私の願いであった。中野照海・池田 央ら編集委員の献身的な努力と,明治図書のご協力とで,私を含めた会員の願いがやっと結実する日を迎えられた。一人でも多くの購読者を得て,内容の充実を計っていきたい。
-
明治図書















