改訂対応 高校新教育課程編成の手引

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高校の教育課程改訂に対応したカリキュラム編成のモデル案を先取りして示した一冊。今後の高校教育の進路を展望するうえで基本となる必読書。


復刊時予価: 2,332円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-261616-2
ジャンル:
学習指導要領・教育課程
刊行:
5刷
対象:
高校
仕様:
B5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
1章 新教育課程の基準の改善の基本方針
§1 中央教育審議会及び教育課程審議会における審議の概要
§2 教育課程審議会の答申内容の構造
§3 教育課程の基準の改善に当たっての基本的な考え方
§4 教育課程の基準の改善のねらい
2章 特色ある学校づくりと新教育課程
§1 学校週5日制完全実施に向けたこれからの高等学校
§2 特色ある学校づくりと創意ある教育活動の展開
§3 新教育課程のねらいと基本的な枠組み
§4 新教育課程編成上の配慮事項
§5 新教育課程編成の基本的な手順
3章 新教育課程の創意を生かした編成例
§1 新教育課程の基本型
1 新しい教育課程を編成する際の基本的考え方
2 編成上の留意点
3 新教育課程の基本型
§2 普通科における教育課程
1 各学校の特色を最大限に生かす編成
(1) 一人ひとりの特性に対応する編成例
(2) 大学などの進学を重視した編成例
(3) 地域の産業や学校の特色などを生かした編成例
2 生徒選択の拡大を目指す編成
(1) 総合選択性(系列を置いた新タイプ)の編成例
(2) 類型例と類型間の選択
(3) コース制とコース間の選択を生かした編成例
§3 専門学科における教育課程の編成例
1 今後の専門高校における教育の在り方
2 教育課程編成の基本的原則
1 農業
2 工業
3 商業
4 家庭
5 水産
6 福祉
7 情報
8 国際
9 体育
10 芸術
§4 総合学科の教育課程
1 総合学科の設置
2 教育課程編成上の基本的な考え方
3 総合学科の教育課程の構造
4 教育課程編成上の工夫
5 教育課程編成上の留意点
6 新学習指導要領第1章総則における総合学科の扱い
§5 単位制高等学校の教育課程
1 全日制課程
2 定時制課程
§6 定時制課程の教育課程(選択制・実務代替・学校間連携等の導入)
1 定時制課程の概要
2 定時制課程の教育課程の編成例
§7 中高一貫教育を目指す中等教育学校の教育課程
4章 「生きる力」をはぐくむ教育改善の道
§1 普通教科「情報」の新設と学校の対応
1 普通教育に関する教科「情報」の新設
2 教育課程編成上の基本的な考え方
3 教育課程編成上の留意点
§2 専門教科「情報」「福祉」のカリキュラム開発
1 新教科「情報」の諸科目の指導計画の作成と情報教育の充実
2 教科「福祉」の諸科目の指導計画の作成と福祉教育の充実
§3 「総合的な学習の時間」の生かし方と展開例
1 「総合的な学習の時間」の教育課程上における位置付け
2 「総合的な学習の時間」のねらいと学習活動
3 「総合的な学習の時間」の特徴
4 高等学校における「総合的な学習の時間」の展開例
§4 「産業社会と人間」の年間指導計画
1 「産業社会と人間」を学習する意義
2 「産業社会と人間」の学習内容と方法
3 年間指導計画
§5 「課題研究」の授業の進め方
1 「課題研究」の科目の設置
2 新学習指導要領における「課題研究」の取り扱い
3 「課題研究」の授業の進め方
§6 体験的な学習と問題解決的な学習の推進
1 体験的な学習の推進
2 問題解決的な学習の推進

まえがき

 近年,各高等学校は,社会の変化や生徒の多様化に対応して漸進的に教育改革を進めている。学校によっては,目を見張るほどの変革をとげたところもある。これは,もちろん文部省の教育行政・制度改革のもたらしたものであるが,都道府県・市の教育委員会や各学校の学校改善への熱意の現れの結果でもある。

 例えば,新設された第3の学科・総合学科の高等学校や新しいタイプの全日制課程の単位制高等学校などにおいては,生徒の興味・関心,進路希望などに対応して,多様な選択科目を設けたり,民間人講師の導入やガイダンス・カウンセリングを充実させるなどして,従来にないユニークな教育活動を展開している。

 また,普通科の高等学校においても同様に,各種のコースの設置,学校間連携による専門科目の履修,習熟度別学級編成による授業の展開などにより,教育課程の改善に取り組んでいる。専門高校は,将来のスペシャリストになるために必要な基礎・基本を身に付けるべく,新設の科目「課題研究」の中で,企業現場等における実習の充実を図ったり,技能審査の成果の単位認定の活用などにより,生徒の学習意欲や職業意識などを高めている。

 このようにみると,「高等学校は変わった」と言えるかも知れない。しかし,一部の学校には当てはまるが,全国的にみて「変わってない高等学校」も多いのである。新しい学力観の定着や進路選択能力の育成等いろいろ提唱されているが,一向に教育課程にその理念が具現化しない現状がある。

 折しも本年,平成11年3月,新しい高等学校学習指導要領が告示された。完全学校週5日制の下で,平成15年度から各高等学校において,新教育課程が学年進行でいよいよ実施される。平成元年に現行の学習指導要領が告示されて平成6年度より実施されて以来,ちょうど10年目に当たる。まさに,今次の改訂は,21世紀における高等学校教育の新しい幕開けの“宣言”とも言える画期的なものである。

 今回の改訂に至るまでには,中央教育審議会・教育課程審議会を中心にして,特色ある学校づくり,年間総授業時数の大幅削減,教育内容の厳選など,話題性のあるさまざまな内容について審議が行われてきた。これらの答申の内容は,わが国の学校教育の基本的な在り方を示す重要な指針である。

 各高等学校は,このような審議会の答申の趣旨を生かして学校のスリム化を図り,ゆとりの中で「生きる力」をはぐくむ教育活動を展開することになる。とりわけ,実施年度までに,新学習指導要領に基づいて主体的に特色ある教育課程を編成することが緊急の課題である。各学校に期待されることは,校内研修の充実を図り,現下の教育改革の背景や内容,そしてこのたびの新学習指導要領をよく理解して,自校の教育課程の改善に協働で取り組むことである。

 本書は,各学校における今後の「新教育課程編成の手引」として利用していただくことをねらいとして企画されたものである。その内容のねらいを以下に簡単に述べることにしたい。

【第1章】 新教育課程の基準の改善の基本方針

 今次の学習指導要領の改訂の基礎固めをした教育課程審議会の審議のうち,「教育課程の基準の改善」のねらいと内容について詳述する。ここに示された内容を十分理解して,教育課程の編成・実施に当たることが肝要である。高等学校の役割および特色ある学校づくりに触れている点が,従前にみられない新鮮な答申事項である。

【第2章】 特色ある学校づくりと新教育課程

 完全学校週5日制実施の下において,高等学校の特色化・個性化をどのように実現するか,教育課程編成の視点からその方策を取り上げている。学校経営・運営の面から,どのような観点に留意して,教育課程編成と教育実践を進めるかについて理解が得られるものと期待している。

【第3章】 新教育課程の創意を生かした編成例

 本書の中核となる部分である。各学校は,新学習指導要領の総則に示されている「教育課程編成の一般方針」及び各教科・科目,特別活動などの目標・内容等に則り,自校の教育課程についての編成準備に入ることになる。その際,21世紀を切り拓く学校像・生徒像を構築することが大切である。今後,どのような学校にするか,どのような特色を持った教育課程に変えるか,いろいろな選択肢の中から最善の基本方向を決定しなければならない。例えば,普通科・選択制方式の教育課程のタイプでいくか,それともコース制に改編するか,総合学科への転換を図るかなどの検討は必要である。選択制でいくとしても,選択幅の拡大にどう取り組むかも重要な検討課題となる。

このようなさまざまなケースを想定して,本書では,普通科,専門学科,総合学科,単位制高等学校,定時制課程の高等学校,そして,中等教育学校に至るまで,多様な教育課程(基本型と特色型)を提示している。  

【第4章】 「生きる力」をはぐくむ教育改善の道

 これからの高等学校の生徒は,問題を解決する資質や能力,豊かな人間性,逞しく生きるための健康や体力を育成することや現代社会が直面する課題(情報・環境・国際・福祉など)への対応が求められている。これに対応するためには,学校のカリキュラム開発・授業改善が不可欠である。新しい教科や,「総合的な学習の時間」など話題の内容について詳しい解説・実践的な事例を示した。

 終わりに,本書が高等学校の教育課程について,高等学校関係者を始め,中学校関係者,指導主事,大学関係者など多くの方々に理解を深めていただく一助になればと願う次第である。


  1999年6月   編者 /清水 希益

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      明治図書

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