改訂対応中学校新教育課程編成の手引

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各学校の創意工夫を生かした特色ある学校づくりが今後の重要テーマ。この課題達成に直結する教育課程編成の実際をアイデア豊かに具体化した。


復刊時予価: 2,211円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-261210-8
ジャンル:
学習指導要領・教育課程
刊行:
8刷
対象:
中学校
仕様:
B5判 112頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
1章 教育課程の基準の改善について
§1 教育課程の基準の改善に当たっての基本的な考え方
§2 教育課程の基準の改善のねらい
§3 主な課題に関する基本的な考え方
2章 教育課程の編成について
§1 教育課程の編成の構想
1 豊かな人間性や社会性をはぐくむ教育課程
2 国際社会に生きる日本人としての自覚を育成する教育課程
3 自ら学び、自ら考える力を育成する教育課程
4 ゆとりある教育活動を展開する教育課程
5 基礎・基本の確実な定着を図る教育課程
6 個性を生かす教育を充実する教育課程
§2 特色ある学校づくり
1 教育課程の大綱化と弾力的運用
2 教育内容の厳選と教育課程の編成
3 創意工夫を生かした日課表、時間割の工夫
4 生徒の家庭や地域社会における体験を生かした教育課程
5 家庭・地域社会と連携を図った教育課程
3章 学校裁量権の拡大と教育課程の編成
§1 学校の自主性・自律性の確立と教育課程
§2 学校運営組織の見直しと教育課程
§3 地域住民の学校経営への参画と教育課程
4章 各教科指導の充実と指導計画
§1 国 語
§2 社 会
§3 数 学
§4 理 科
§5 音 楽
§6 美 術
§7 体 育
§8 技 術
§9 家 庭
§10 外国語
§11 道 徳
§12 特別活動
§13 総合的な学習の時間
5章 時間割編成の工夫
§1 35週で割り切れない授業時数をどのように組み込むか
§2 1単位時間の弾力的運用を組み込む時間割をどう工夫するか
§3 「総合的な学習の時間」を年間の時間割にどのように組み込むか
§4 各学年の選択時間を時間割にどう組み込むか
§5 活動を集中して行う場合の時間割の工夫をどう行うか
1 〔例1〕水泳などの季節に応じて集中して行う時間割
2 〔例2〕学校行事と授業を関連させて時間割をどう工夫するか
3 〔例3〕校外の宿泊体験学習と時間割の工夫
§6 午前と午後の時間を工夫した時間割
§7 モジュールを取り入れた時間割

まえがき

 「21世紀を展望した我国の教育の在り方」として,「ゆとり」の中で,子供たちに「生きる力」をはぐくむことを教育の基本とする中央教育審議会の答申が出され,この答申の考え方によりながら今後の学校教育の基本的な考え方,具体的な仕組みや内容・方法について教育課程審議会において審議が行なわれた。

 教育課程審議会答申においては,今回の教育課程の基準の改善の具体的方針を次の4点にまとめている。

@豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること。

A自ら学び,自ら考える力を育成すること。

Bゆとりのある教育活動を展開する中で,基礎・基本の確実な定着を図り,個性を生かす教育を充実すること。

C各学校が創意工夫を生かし,特色ある教育,特色ある学校づくりを進めること。

 @は時間的にも気持ちの上でもゆとりのない子供たちの生活,十分ではない自然体験や社会体験,貧弱な人間関係などを背景として見られる様々な問題,さらに国際化の進展等の社会の状況の急激な変化等を踏まえて,これからの時代を担う子供たちを育成する学校教育の在り方としては,時代を超えて変わらない調和のとれた人間形成は特に重要であるとする観点によるものである。

 Aはこれからの変化の激しい社会の中で生きていく子供たちを考える時,これまでのように知識の習得に偏りがちな学校教育の基調の転換を図ることの重要性を指摘している。

 Bは第1,第2の具体的方針を実現するための基盤としてゆとりのある学校生活の中で基礎・基本を確実に定着させ,その過程において個性を生かす教育を充実させることが不可欠なこととしたものである。なお,この点にかかわって完全学校週5日制の実施とともに,教育内容の厳選が行なわれている。

 Cは,第1,第2,第3の具体的方針は,各学校の具体的な教育活動を通して実現されるものであることから,生徒の実態,地域の実情,保護者の期待,教職員の特色等に応じた創意工夫を生かした特色ある教育の展開,特色ある学校づくりが極めて重要であるところから述べたものである。

 以上の教育課程の基準の改善の具体的方針にしたがい,各学校での具体的な教育活動に対する基準を示したのが学習指導要領である。今回の学習指導要領の改訂にあたって注目すべきは,基準の大綱化,弾力化の考え方が取り入れられていることである。従前とは異なり各学校の教育課程は,各学校の創意工夫が十分に生かされる仕組みとなっている。また,教育内容の厳選,授業時数の削減,「総合的な学習の時間」の創設とともに従前にはない仕組みが盛り込まれているので,学習指導要領についての十分な理解が必要となる。本書は今回教育課程の基準の改善について及び改訂された学習指導要領についての解説を行ない,平成12年からの移行措置期間,平成14年からの本格的実施に向けて各学校が混乱なく新教育課程へ移行できるよう作成したものである。

 第1章は,今回の教育課程審議会の答申についての解説で,今回の改善に向けての基本的な考え方,改善のねらい,答申で審議された学校教育が当面する主な課題についての基本的な考え方について触れている。今回の改善は従前の学校教育に対する考え方を大きく変えている。まさに教育改革とも言えるもので,教育の基調の転換を強く訴えている。今回の答申の趣旨を十分に理解することが学校改善には必須のこととなろう。

 第2章は,教育の基調の転換が答申や学習指導要領に具体的にどのように記述されているか,また,その内容について学校としては具体的にどのように取り組むことができるかについて解説している。教育課程の編成には答申や学習指導要領の総則に記載されている内容を確実に実践する方向で取り組むことが必要である。特に,学校週5日制の実施による子供の生活のリズムの変化にかかわり家庭や地域社会など学校外との連携を視野にいれた教育課程とする工夫改善が重要となる。

 第3章は,第1章,第2章の考え方を学校教育で実践するには各学校の実態に応じた学校経営とすることが必要となるが,それを可能とする環境条件の手直しが行なわれていることについて解説している。学校経営に関する校長の権限の拡大とともに従前の学校経営の何をどのように改善していくべきか,中教審答申,教育課程審議会答申等にふれて解説している。

 第4章は,各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間等についての基本的事項,指導計画作成上の配慮事項,指導計画例をあげている。移行期間はむろんのこと本格実施に向けて校内での研修に十分に役立てられるよう作成している。

 第5章は,今回の学習指導要領の改訂,学校教育法施行規則の改定にともなって時間割の工夫が必須となるところから,時間割についての考え方と具体的な事例によって解説している。時間割については従前は学校管理からの発想によって作成されてきたが,これからは生徒の学習をいかに充実させるかの立場にたって編成しなければならない。今回の改訂によって,各学校の工夫次第で多様な時間割が作成されることであろう。

 新教育課程への取り組みは校内の一部の教員だけでは十分とは言えない。特に中学校は全校あげての取り組みが不得手である。今回の教育改革の趣旨を教育活動を通して具現化することが教職にかかわる者の責任である。本書が校内の研修において活用され,全国の中学校が平成14年の新教育課程を混乱なく迎えられることを願っている。


 1999年5月   編者 /佐野 金吾

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