- プロローグ
- T よい助言・わるい助言とは
- 1 授業における教師の言葉
- 2 よい助言・わるい助言とは
- U 効果的な助言の条件とポイント
- 1 効果的な助言を行うための三つの条件
- 2 助言の原則を考える
- V 個に応じた助言例
- 1 状況に応じた助言
- 2 聞かないと安心できない子
- 3 黒板を使って助言する
- 4 言葉の足りない子
- 5 プライドの高い子
- 6 わからないことをそのままにする子
- 7 助言を求められる教師か
- W 授業展開における助言のポイント
- 一 国語科授業のよい助言・わるい助言
- 1 国語科授業における「よい助言・わるい助言」とは
- 2 文章を読む力をつける(「分析批評」の授業)
- 3 論理的な思考力・表現力を育てる
- 4 文章を書く力をつける
- 二 社会科授業のよい助言・わるい助言
- 1 社会科学習における「よい助言・わるい助言」とは
- 2 はてな? 発見の技能を高める「よい助言・わるい助言」
- 3 多様な方法で調べる技能を高める「よい助言・わるい助言」
- 4 表現する技能を高める「よい助言・わるい助言」
- 三 算数科授業のよい助言・わるい助言
- 1 算数科の助言
- 2 学ぶことの楽しさや充実感を味わわせるための助言
- 3 問題解決をしているときの助言
- 4 作業をしているときの助言
- 5 創造性の基礎を培う助言
- 6 基本的な技能を習熟させるための助言
- 四 理科授業のよい助言・わるい助言
- 1 理科での助言
- 2 観察でのよい助言・わるい助言
- 3 メダカを飼うときの助言
- 4 実験道具の使い方の助言
- 5 追究したいという意欲がある子への助言
- 6 実験に興味をもたない子への助言
- 7 話し合いに興味が無い子への助言
- 8 もの知りの子への助言
- 五 体育科授業のよい助言・わるい助言
- 1 体育科学習における「よい助言・わるい助言」とは
- 2 子どものやる気を高める「よい助言・わるい助言」
- 3 怖がる子の恐怖心をなくす「よい助言・わるい助言」
- 4 チームワークを高める「よい助言・わるい助言」
- X 道徳授業のよい助言・わるい助言
- 1 深澤久氏の助言に学ぶ
- 2 いじめに立ち向かう授業
- Y 特別活動における助言のポイント
- 一 学級活動における助言
- 1 学級活動と助言
- 2 学級の組織づくり
- 3 整理整頓を促す助言
- 4 集会活動をするときの助言
- 5 意欲的な学習態度をつける助言
- 6 助言は強制力をもってよい
- 二 学校行事のよい助言・わるい助言 〜行事実行委員への指導を中心に〜
- 1 学校行事における「よい助言・わるい助言」とは
- 2 実行委員会の行い方と助言
- Z 総合的な学習でのよい助言・わるい助言
- 1 総合的な学習で身に付く力
- 2 森林を守る〜箸入れを作ろう〜
- 3 いろいろな形の切手を作ろう
- 4 パズルを作ろう
- 5 パソコンで遊ぼう
- [ 保護者へのアドバイス
- 1 高学年の親子関係のアドバイス
- 2 高学年の保護者にすすめられる本
- エピローグ
プロローグ
1 助言の重要性に気付く
以前、6年生の社会科の授業で、「火おこし」を行った。「火おこし」の授業は、城北教育サークルの出水典克氏より学んだ。(詳細は、『「モノ」で社会科授業が変わる』城北教育サークル著・明治図書)
かつて出水氏と私は同じ学校に勤務をしていた。そのため、出水氏に授業を見ていただく機会が多かった。
この「火おこし」の授業も出水氏に見ていただいた。(参加していただいた?)
私は、いい「モノ」を使っているので、子ども達は熱中し、よい授業になるのではないかと考えていた。まず、教室で火おこしのやり方について説明した。そして、屋上に行き、実際に、火おこしをやってみた。
3〜5人のグループで一つ火おこしの道具を渡した。そして、協力して火おこしの体験をさせた。
私はグループを回って歩いた。
しかし、なかなか火がつかなかった。火がつかなかったグループに出水氏が行き、助言をすると、見事に火がついた。私の助言ではつかなかったが、出水氏の助言で、皆火をつけることができたのであった。
自分の力不足を感じると共に、助言の大切さを実感した。
それ以後は、「モノ」の開発と共に、助言も考えるようになった。
2 机間巡視での三つの視点
助言を意識して、授業を展開することで、「モノ」も生きるようになった。
そして、子どもに作業をさせる場面での机間巡視では、次の3点のどれかにねらいを絞って行うように気をつけるようになった。(単独でなく、重複する場合も多い。)
1 見守る
2 観察する
3 助言する
「1 見守る」「2 観察する」という場合、子ども達のじゃまにならないように巡視することが大切である。
机間巡視する場合、じゃまになるようなことをするならば、何もしない方がよい。子ども自身が「分かった!」という喜びを味わうためにも、なるべく助言をひかえ、できたという喜びを味わわせたい。
「3 助言する」の場合、全く手が出ない子、できたが間違っている子を中心に助言している。ヒントカードは使わずに直接その場に応じた助言をするように心がけている。
本書では「3 助言する」の部分を中心にしてまとめた。
そして、助言については、
【よい助言】
または、
【わるい助言】
というようにそれぞれ罫線で囲み、目立つように書いた。
この本の助言を追試し、修正していただき、よりよい助言を創る参考になれば幸いである。
平成十年四月四日 /菊池 靖志
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- 明治図書