- はじめに
- Prologue 「個別最適な学び」&「協働的な学び」を実現するエッセンス
- 01 個別最適との出会い ―学び方は,人それぞれ違う
- 02 「個別最適な学び」のポイントって何?
- 03 「協働的な学び」のポイントって何?
- 04 その子にとって,最適な学びとは?
- Chapter1 「個別最適な学び」&「協働的な学び」を実現する授業のポイント
- 01 「ゴール」と「時間」を与える
- 02 学び方を教える
- 03 「協働的な学び」を行う
- 04 学習を振り返る
- Chapter2 「個別最適な学び」を実現する授業スキル18
- 01 ゴールを与える
- 02 モデル・見本を提示する
- 03 時間を与える
- 04 生徒が選んだ学習方法を尊重する
- 05 学び方を教えておく
- 06 ICTの使い方を見せる
- 07 助走する
- 08 伴走する
- 09 言葉かけ@「今,何しているの?」―現状の確認
- 10 言葉かけA「困っていることある?」―問題・課題の特定
- 11 言葉かけB「こんなこともできるね」―解決法のリソースの確認
- 12 思考ツールの使い方を教え,活用させる
- 13 語彙や表現を調べる
- 14 座席表に記録する
- 15 学習を振り返らせる
- 16 学習ゴールを振り返らせる
- 17 学習計画を立てる
- 18 書いた英文を推敲させる
- Chapter3 「協働的な学び」を実現する授業スキル12
- 01 交流相手を見つけさせる
- 02 友だちの良いところを見つけさせる
- 03 他者参照の観点を示す
- 04 考えや意見を集め,共有する
- 05 相互参照させる
- 06 交流回数を示す
- 07 「協働的な学び」を行う前に,課題を示す
- 08 「協働的な学び」を振り返らせる
- 09 学習状況を示す
- 10 「協働的な学習」にもゴール・課題が大切
- 11 よりよく協働的に取り組む態度に気づかせる
- 12 ライティングで,質問を書かせる
- Chapter4 中学1年の言語活動アイデア8
- 01 特徴や性格を言って,他者紹介クイズを出し合おう
- 02 クラスメイトと自分の違いを比べよう
- 03 YouTuberになって,おすすめの商品を紹介しよう
- 04 ヒントクイズを作って問題を出し合おう
- 05 世界のお祭りに関する記事を読もう
- 06 ゲストを招いて「〇〇の部屋」のMCになろう
- 07 学校生活についてグループで発表しよう
- 08 生活記録ノートで1日を振り返ろう
- Chapter5 中学2年の言語活動アイデア8
- 01 今夜のご予定は?
- 02 SNSを始めようとする友だちに,注意点を伝えよう
- 03 ブックレポートを書こう
- 04 ALTにインタビューをして新聞を作ろう
- 05 「注文の多い料理店」を英語で読んでみよう
- 06 日本の事物についてのプレゼンテーションを聞こう
- 07 人気のあるものをグループで調べてプレゼンしよう
- 08 グループでクイズを作成してJeopardyクイズ大会をしよう
- Chapter6 中学3年の言語活動アイデア8
- 01 ALTにおすすめを紹介しよう
- 02 物語をリテリングして,自分の考えを伝えよう
- 03 関係代名詞でクイズ大会をしよう
- 04 1文で当ててもらおう
- 05 人権について,考えを語ろう
- 06 お悩み相談に答えよう
- 07 ジグソーリーディングで長文を読もう
- 08 卒業制作として詩を書こう
- おわりに
はじめに
英語教育界に,また,新たな課題がやってきた。「個別最適な学びと協働的な学びの一体化」である。課題があることは良いことで,私たちは課題があるからこそ,教師として成長していけるのだと考える。しかし,その課題が,意味ある課題であるかは別である。追究するのに値する課題であるかどうかを見極めることが必要であると考える。
では,「個別最適な学びと協働的な学びの一体化」について,追究する価値があるテーマだろうか。まずは,賛成か,反対か。それとも,まだ判断がつかないだろうか。
私の直感であるが,「個別最適な学び」は,これから進めていかなくてはいけない重要な課題であると思う。なぜなら,現在の状況が,「個別最適な学び」を可能としているからである。
昔であれば,教師の助けを必要としていた。わからない言葉は,辞書を引き,意味や単語を調べることができるが,その単語をどう発音するかは,発音記号に頼らざるを得なかった。発音記号が読めればよいが,読めない生徒は,「先生,どうやって読むの?」と,頼ってくる。
今はどうだろうか。Google翻訳を使えば,知りたい英語を調べることができる。さらに,発音までしてくれる。生徒が1人で学習する環境ができつつあるのである。また,ChatGPTに英文を入れれば,その英文が適切な表現であるかどうかもチェックしてくれる。
さらに,学習者用デジタル教科書も,大きな支援教材となる。本文の読み(音読)の練習は,デジタル教科書を個人のペースで,何回も聞くことができるし,Listen等のコーナーも,個人のペースで,何回も聞くことができる。先生がいなくても,生徒は学習していける素材が,周りにある時代となったのである。
このような「個別最適な学び」を進めていけば,生徒が主体的に学ぶようになるのではないかと考えるのである。やらされる勉強から自ら学ぶ勉強へ,パラダイム転換させるチャンスと言える。
ただし,留意点もある。
1つ目は,「個別」でできるものは,基本的に家でやればよいと考える。家でできないことを行うのが学校の存在意義となる。その場面が「協働的な学び」である。よって,「個別最適な学び」と「協働的な学び」は一体化させ,他者から学ぶ相互作用が伴うことが条件である。
2つ目は,「個別最適な学び」を始める前に,ゴールを示すことである。これは,本書で詳述するが,適切なゴールを与えることが必須となる。ゴールなしに,「個別最適な学び」はできない。
3つ目は,単に,ペアやグループにすれば「協働的な学び」が行われるかと言えばそうではなく,ペアやグループにした結果,生徒になんらかの「学び」が生じなければ,「協働的な学び」とは言えない。「学び」が生じなければ,それは単なるペア活動,グループ活動である。
4つ目は,「学び方を教える」ということである。そういう意味では,私はまさしく,「コーチング」だと思う。菅原裕子氏の書籍に,次の文章がある(下線強調は筆者)。
たとえば,仕事のやり方を知らない人にコーチングはできません。
知らない人には,ティーチング(教えること)が必要です。
『コーチングの技術』(講談社現代新書)p.44
本書は,「個別最適な学び」のやり方や,その学びを,どのように「協働的な学び」につなげていくのかを,言語活動に視点をあて,発信するものである。まだまだ,未開拓の課題である。先生方の様々なアイデアを結集し,子供たちの未来を育てていきたいと強く思う。
2026年1月 /瀧沢 広人
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明治図書

















