- まえがき
- 第1章 アクティブ・ラーニングに社会科はどう対応するか
- ―活動主義の克服から社会認識形成へ―
- 1 アクティブ・ラーニング導入の背景と課題
- 2 社会科とアクティブ・ラーニング
- 3 探究T・探究Uの授業構成理論とアクティブ・ラーニング
- 4 社会科におけるアクティブ・ラーニングの内化と外化
- 第2章 活動あって学びあり! 小学校社会科アクティブ・ラーニング 21の授業プラン
- 1 「資料」とアクティブ・ラーニング
- プラン1 「情報のインプット・知識のアウトプット」とアクティブ・ラーニング
- 1 子供が考えるための基礎材料となる情報を資料からインプット
- 2 収集した情報や習得した知識をアウトプット
- 3 授業プラン「ごみのしまつと活用」(第4学年)
- 4 提案した授業プランの意義
- プラン2 「写真資料」の活用とアクティブ・ラーニング
- 1 写真資料を活用した社会科授業とアクティブ・ラーニング
- 2 授業プラン「さまざまな土地のくらし」(第5学年)
- 3 提案した授業プランにおけるアクティブ・ラーニングのポイント
- プラン3 「イラスト資料」の活用とアクティブ・ラーニング
- 1 歴史授業におけるグループ学習の問題点
- 2 歴史授業におけるイラスト資料の活用とアクティブ・ラーニング
- 3 授業プラン「源氏と平氏の戦いと鎌倉幕府」(第6学年)
- 4 提案した授業プランにおける指導のポイント
- プラン4 「歴史年表資料」の活用とアクティブ・ラーニング
- 1 社会科の目標と歴史学習の構成
- 2 年表の役割
- 3 時代の特色をとらえる学習活動の意義
- 4 授業プラン「室町時代」(第6学年)
- 5 アクティブ・ラーニングと歴史学習
- プラン5 「GIS」とアクティブ・ラーニング
- 1 GIS
- 2 アクティブ・ラーニングとGIS
- 3 GISフリーソフト「カシミール3D」
- 4 活動の過程が思考の過程
- 5 授業プラン「地図となかよしになろう」(第4学年)
- 6 等高線と断面図の理解のために
- 7 地図の基本,イメージ形成
- プラン6 「白地図加工」とアクティブ・ラーニング
- 1 社会科における地図を活用したアクティブ・ラーニング
- 2 授業プラン「米づくりのさかんな地域」(第5学年)
- 3 提案した授業プランにおけるアクティブ・ラーニングのポイント
- 小括 「資料」とアクティブ・ラーニング
- 1 社会科におけるアクティブ・ラーニングと資料
- 2 各授業プランにおける内化と外化の具体
- 2 「体験」とアクティブ・ラーニング
- プラン7 「はいまわりの克服」とアクティブ・ラーニング
- 1 「はいまわり」を克服するアクティブ・ラーニングとしての「体験」
- 2 「体験」と「経験」の定義と構造
- 3 授業プラン「くらしのうつりかわり」(第3学年)
- 4 「体験」「経験」とアクティブ・ラーニング
- プラン8 「モノづくり」とアクティブ・ラーニング
- 1 「モノづくり」とアクティブ・ラーニング
- 2 「モノづくり」と社会認識
- 3 「モノづくり」と概念形成
- 4 授業プラン「世界に届け!私たちの自動車」(第5学年)
- 5 アクティブ・ラーニングと社会認識形成・概念形成
- プラン9 「ロールプレイング」とアクティブ・ラーニング
- 1 社会科における体験的学習
- 2 ロールプレイングとアクティブ・ラーニング
- 3 授業プラン「日本の工業生産と貿易」(第5学年)
- 小括 「体験」とアクティブ・ラーニング
- 1 目的を明確にした体験活動
- 2 体験の言語化と社会認識形成
- 3 「調査」とアクティブ・ラーニング
- プラン10 「聞き取り調査」とアクティブ・ラーニング【地域学習編】
- 1 地域学習とアクティブ・ラーニング
- 2 聞き取り調査とアクティブ・ラーニング
- 3 授業プラン「地域の特産物」(第3学年)
- プラン11 「聞き取り調査」とアクティブ・ラーニング【情報社会編】
- 1 情報単元の現状と課題
- 2 情報単元をアクティブ・ラーニングにするための「聞き取り調査」
- 3 授業プラン「情報を伝える会社とわたしたち」(第5学年)
- 4 アクティブ・ラーニングにおける「聞き取り調査」の意義
- プラン12 「フィールドワーク」とアクティブ・ラーニング
- 1 社会科教育とアクティブ・ラーニング
- 2 社会科教育におけるフィールドワークの意義
- 3 フィールドワークを中心とした授業づくりの視点
- 4 授業プラン「きょう土を開く」(第4学年)
- 5 フィールドワークを中心としたアクティブ・ラーニング授業の充実に向けて
- プラン13 「社会科見学」とアクティブ・ラーニング【課題設定編】
- 1 社会科見学とアクティブ・ラーニング
- 2 本時における社会認識形成
- 3 社会科見学から本時へ
- 4 授業プラン「わたしたちの市 西宮」(第3学年)
- 5 提案した授業プランにおけるアクティブ・ラーニングのポイント
- プラン14 「社会科見学」とアクティブ・ラーニング【検証編】
- 1 社会科見学とアクティブ・ラーニング
- 2 社会科における見学・観察の重要性
- 3 社会認識を形成するための社会科見学の手立て
- 4 授業プラン「伝統をいかした工業」(第4学年)
- 5 社会科見学でめざすアクティブ・ラーニング
- プラン15 「知識構成型ジグソー法」とアクティブ・ラーニング
- 1 社会科におけるグループ学習
- 2 「知識構成型ジグソー法」
- 3 授業プラン「日本の工業地帯の立地条件」(第5学年)
- 4 アクティブ・ラーニングの可能性
- 小括 「調査」とアクティブ・ラーニング
- 1 「調査」におけるアクティブ・ラーニングの可能性
- 2 「調査」に至るアクティブ・ラーニング
- 3 「調査」をふまえたアクティブ・ラーニング
- 4 「表現」とアクティブ・ラーニング
- プラン16 「グループ・ディスカッション」とアクティブ・ラーニング
- 1 汎用的能力育成の手段としてのアクティブ・ラーニング
- 2 「探求U」におけるアクティブ・ラーニング
- 3 授業プラン「わたしたちのT市 コミュニティバス」(第3学年)
- 4 汎用的能力とアクティブ・ラーニング
- プラン17 「コンセプトマップ」とアクティブ・ラーニング
- 1 社会科における知識と概念
- 2 概念の習得とアクティブ・ラーニング
- 3 授業プラン「気候の特色を生かした農業」(第5学年)
- 4 提案した授業プランにおけるアクティブ・ラーニングの意義
- プラン18 「討論」とアクティブ・ラーニング
- 1 「習得―活用」とアクティブ・ラーニング
- 2 授業プラン「トカラ列島の過疎問題の解決策を考え,提案しよう」(第5学年)
- 3 提案した授業プランにおけるアクティブ・ラーニングの意義
- プラン19 「子供とともにつくる板書」とアクティブ・ラーニング
- 1 子供とともにつくるアクティブ・ラーニングの板書
- 2 「探求T」の板書とアクティブ・ラーニング
- 3 「検証」場面における板書の工夫
- 4 授業プラン「自然と社会の条件と人々のくらし」(第5学年)
- 5 授業後の板書から次時のアクティブ・ラーニングを構想する
- プラン20 「『+タグ』ウェビング法」とアクティブ・ラーニング
- 1 社会科における思考の「すべ」
- 2 思考を正確に表現できていないノート・ワークシートの現状
- 3 思考を正確に表現するワークシートとアクティブ・ラーニング
- 4 授業プラン「水産業のさかんな地域」(第5学年)
- 5 本時のワークシートの分析
- 6 思考を正確に表現するアクティブ・ラーニング
- プラン21 「歴史新聞づくり」とアクティブ・ラーニング
- 1 歴史新聞づくりとアクティブ・ラーニング
- 2 本時における社会認識形成
- 3 授業プラン「江戸幕府による政治」(第6学年)
- 4 提案した授業プランにおけるアクティブ・ラーニングのポイント
- 小括 「表現」とアクティブ・ラーニング
- 1 外化の手段としての表現活動
- 2 表現活動の具体例
- あとがき
まえがき
大学の授業を改善・改革する手立てとして,アクティブ・ラーニングが注目されている。アクティブ・ラーニングは,中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて―生涯学び続け,主体的に考える力を育成する大学へ―」(2012)で提案された教育方法である。
小学校における授業はどうであろうか。一部の活動主義と揶揄される「活動あって学びなし」の授業や,プリント穴埋め学習に代表される注入主義の授業が批判されてきた。そこにアクティブ・ラーニングを導入することで,課題は解決されるであろうか。「言語活動の充実」がそうであったように,活動主義を克服し,子供の認識内容の習得が保証されることが大切である。
本書では,社会科の教科目標である「社会認識形成」(社会のしくみが分かる)に有効に機能するアクティブ・ラーニングについて,理論と授業プランを示した。アクティブ・ラーニングを組み込むことで,従前の授業より社会認識を深化できることを中核において,理論と授業プランを提案した。
理論編では,アクティブ・ラーニングの内化(内的活動)を社会認識形成とし,知識の構造と対応させた。また,アクティブ・ラーニングの外化(外的活動)を知識習得の過程やその結果表現とし,読み取り・解釈・説明・論述の言語活動と対応させた。理論の全体を編著者の探究T・探究Uの授業構成理論で包括している。実践編では,体験や見学,資料活用等の学習活動がアクティブ・ラーニングとなるように,理論を組み込んだ授業プランを提案した。小括では,授業プランを類型化し,それぞれの特徴を論じた。
学校教育現場の多忙な日常で,原稿を完成いただいた先生方,出版事情が厳しい中ご尽力いただいた明治図書及川誠様に感謝申し上げます。
2016年5月10日 編著者 /米田 豊
-
- 明治図書
- 小学校社会科において主体的・対話的で深い学びを生み出すにはどのような授業であるべきかが明示されています。具体的な実践事例も掲載されています。ぜひ,復刊をお願いいたします。2024/8/16松浪軌道
- テーマに沿った実践例が参考になった。2017/9/2350代・教委
- 社会科には「インプット」と「アウトプット」のバランスが大切である。その点について、「情報のインプット・知識のアウトプット」とアクティブ・ラーニングという項目が参考になった。2017/3/1850代・小学校管理職
- 例が具体的でわかりやすいです。2016/12/2150代・小学校管理職
- 今後、目指すべき社会科授業の方向性が、具体的事例と共にわかった。2016/8/2130代・小学校管理職