- はじめに
- 第1章 これがおすすめ! 小学校社会科におけるアクティブ・ラーニングの取り組み方
- 1.社会科とアクティブ・ラーニング
- 2.AL社会科の教材観
- 3.AL社会科の授業観
- 4.ALを支える板書術
- 5.発展的な視点で
- 6.3つの展開
- 第2章 子ども熱中! 3・4年社会「アクティブ・ラーニング」授業モデル
- 1 まちのパンフレットをつくろう!
- 【わたしたちのまち】
- 2 スーパーマーケット探検隊!
- 【販売する仕事】
- 3 工場の秘密をさぐろう!
- 【工場の仕事】
- 4 昔の道具から当時の人の生活を想像しよう!
- 【古くから残る暮らしの道具】
- 5 消防団ってなんだろう?
- 【火事を防ぐ仕事】
- 6 まちの安全マップをつくろう!
- 【安全を守る人々】
- 7 水道水が売っている?
- 【水道の学習】
- 8 日本のゴミ排出量は世界一?!
- 【ゴミ処理の学習】
- 9 修学旅行プランをつくろう!
- 【都道府県】
- 第3章 子ども熱中! 5年社会「アクティブ・ラーニング」授業モデル
- 1 日本の基礎基本は国土から
- 【日本の国土】
- 2 高いところと低いところを比べよう
- 【高地と低地】
- 3 沖縄と北海道を比べてみよう
- 【暖かい地域と寒い地域】
- 4 猫またぎ米から特A米へ
- 【米づくりのさかんな地域】
- 5 どうして外国から魚を買っているの?
- 【水産業】
- 6 自動車ってどうやってつくるの?
- 【自動車工業】
- 7 電子カルテはどのように利用されているの?
- 【情報化社会】
- 8 スパイクタイヤの車粉公害
- 【環境学習】
- 9 森林って自然のものじゃないの?
- 【森林学習】
- 第4章 子ども熱中! 6年社会「アクティブ・ラーニング」授業モデル
- 1 縄文土器と弥生土器を比べてみよう
- 【縄文〜弥生時代】
- 2 古墳はなんのためにつくったの?
- 【古墳の国へ(古墳〜飛鳥時代)】
- 3 どうして大仏を造ることができたのかな?
- 【天皇中心の国づくり(飛鳥・奈良・平安時代)】
- 4 なぜ,鎌倉に幕府をつくったのか?
- 【鎌倉から室町へ(鎌倉〜室町時代)】
- 5 なぜ,信長だけが勢力を広げることができたのか?
- 【天下統一(戦国〜安土桃山時代)】
- 6 鎖国はだれのため?出島はこんなに小さくていいの?
- 【幕府の鎖国政策(江戸時代)】
- 7 世界遺産「富岡製糸場」の錦絵を読み解く
- 【お雇い外国人と殖産興業(明治時代)】
- 8 ビゴーの風刺画から,近代国家へ向かう日本を読む
- 【近代国家への歩み(明治〜大正時代)】
- 9 あなたは戦争に反対ですか?賛成ですか?
- 【戦争と人々のくらし(昭和時代)】
- 10 なぜ,わずか20年足らずで東京オリンピックが?!
- 【平和を目指して(昭和時代・戦後)】
- 11 高齢者にやさしいまちを
- 【地方自治】
- 12 18歳に選挙権!その意味は?
- 【政治学習】
- 13 そんなにお金を出して大丈夫?
- 【世界の中の日本】
- おわりに
はじめに
この執筆のお話をいただいたのが平成27年9月。ちょうど中教審で「論点整理」が示され,次期学習指導要領改訂の方向性としてのアクティブ・ラーニングがより具体的に提示されたときであった。したがって,自分自身のこれまでの小学校社会科の実践を振り返り,アクティブ・ラーニングの視点で覗いたときに,どのように改善していくことができるか。その点を考える上でこの執筆の機会はまたとないチャンスであると思った。
一方,小学校現場には社会科を苦手としている先生が多い。市内の研究会でも,国語や算数が中心であり,社会科を研究教科としている小学校はあまり見られなくなっているのもそれと関係があるのか。どのように授業をしているのかを苦手な先生に聞いてみると,教科書を読み深める国語のような授業になってしまうそうだ。結果として,「縄文土器は大事な言葉だから覚えましょう」といったような暗記教科になってしまうようである。
教室にデジタル教科書が配備され,「社会科を教えるのが楽しくなった」という先生もいる。デジタル表示された教科書を提示しながら,写真をクリックすると動画が出てきて,わかりやすく教えられるそうだ。これもまた,社会科の授業力低下を危惧してしまう。社会科は内容教科と言われるが,それは教科書の内容ではなく,学習指導要領の内容…社会的事象の意味を学ぶ教科である。
国際的な状況が日々変化し,科学が急速に発展し,社会が大きく変化している中,言うまでもなく「何を学ぶか」だけでは,変化する社会に対応できない。ただ教科書を読むだけの授業では,デジタル教科書で一方的に情報を伝える授業では,「学んだことをどう使うか」という資質・能力が育たない。これらを身につけるために自分自身が主体的・協働的に学んでいくことがアクティブ・ラーニングであり,そういう子どもに育てていくために,学び方を指導していく必要があるのだ。
そう考えると,社会科という教科はもともと実社会とつながっている教科であり,調べたり,考えたり,主張したりすることが重要な教科であり,社会科の目指す子どもというのはアクティブ・ラーナーであると言える。
つまり,今ここでアクティブ・ラーニングの名の下,社会科授業をとらえ直すことは,社会科という教科にとってもこの上ないことなのだ。社会科が苦手だなという先生が,本書をとってアクティブ・ラーニングを学ぶことで,社会科の授業観が変わってくれる(本来の授業観なのだが……)ことを期待している。
とは言うものの,私自身ももう一度社会科を学び直す機会となった。インターネットが普及し,誰でもスマホをもつ時代。わからないことがあれば簡単に調べられる時代。4年に一度改訂される教科書は,すでに最新ではない。社会科とはそういう教科である。そんな時代を,社会を,どのように生きることができるか……その生き方を教えるのが社会科なのだ。
したがって,この実践例の中にある教材もすでに最新ではないものもあるであろう。しかし,だからといって使えないわけではない。そんなことを言ってしまったら教科書は使えなくなってしまう。
実践例はあくまでも実践例。そこから,先生自身が環境に合わせた,子どもたちに合わせた,教材化をしてほしい。社会科教師は常にアクティブ・ラーナーでなければいけないと思っている。
小学校の現場で社会科がアクティブに活性化することこそ,アクティブ・ラーニング時代の幕開けであることを信じている。
著者 /朝倉 一民
日々の授業づくりの参考にさせてもらっています。
子どもたちが、思わず考えたくなるような発問、調べたくなるような資料掲示…勉強になる一冊です。
数々の板書から、子どもに考えさせるべきことは、何なのか読み解くことができます。そのための発問や手立て、その単元で何を目指すのか…。ものすごく勉強になる一冊です。
また、こんな構造的な板書を目指したい…と強く感じます。
ぜひ、著者のクラスの子のノートも見てみたいです。
ぜひ社会科のアクティブラーニングのシリーズ化や社会科におけるユニバーサルデザインなどの本も出版していただけると嬉しいです。