体育科授業サポートBOOKS
小学校体育 パーフェクトガイド
授業と評価のまるわかり実践集

体育科授業サポートBOOKS小学校体育 パーフェクトガイド授業と評価のまるわかり実践集

BEST300

新3観点の学習評価、指導と評価の一体化の具体がわかる!

育成を目指す資質・能力の三つの柱にそって授業づくりと評価を具体的にどのように実現すればよいのか―領域、低・中・高学年の発達段階別に実践事例を紹介した。指導計画から評価まで授業づくりの仔細がしっかりわかる1冊。


紙版価格: 2,310円(税込)

送料・代引手数料無料

当日発送

電子書籍版: 未販売

電子化リクエスト受付中

電子書籍化リクエスト

ボタンを押すと電子化リクエストが送信できます。リクエストは弊社での電子化検討及び著者交渉の際に活用させていただきます。

ISBN:
978-4-18-255923-5
ジャンル:
保健・体育
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 128頁
状態:
在庫あり
出荷:
2022年5月25日
テキスト採用品見本お申込みはこちらから

もくじ

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 学習指導要領 授業と評価のポイント
1 何のために評価をするのか
2 指導と評価の一体化
3 何を評価するのか(観点別)
4 評価の工夫
第2章 小学校体育 授業と評価のパーフェクト・モデルケース
1 低学年 A体つくりの運動遊び かっこいいにんじゃになろう〜ヨコウチにんじゃのさと〜
[本時で中心とする評価の観点]主体的に学習に取り組む態度
2 中学年 A体つくり運動 われら“動きソムリエ”〜上手な動き方教えます〜
[本時で中心とする評価の観点]知識・技能
3 高学年 A体つくり運動 体力レーダーチャートをパワーアップ!〜体力の高まりを実感しよう〜
[本時で中心とする評価の観点]思考・判断・表現
4 低学年 B器械・器具を使っての運動遊び 動物ランドでいろいろな動物の遊びに挑戦
[本時で中心とする評価の観点]知識・技能
5 中学年 B器械運動 「はじめ−なか−おわり」でシンクロマット運動!
[本時で中心とする評価の観点]思考・判断・表現
6 高学年 B器械運動 大きく,ピタッと台上前転!!〜伸膝台上前転・首はね跳び〜
[本時で中心とする評価の観点]主体的に学習に取り組む態度
7 低学年 C走・跳の運動遊び かけっこめいじんにちょうせん!
[本時で中心とする評価の観点]思考・判断・表現
8 中学年 C走・跳の運動 調子よく小型ハードルを走り越えよう
[本時で中心とする評価の観点]主体的に学習に取り組む態度
9 高学年 C陸上運動 リズミカルな助走から力強く踏み切れ!
[本時で中心とする評価の観点]知識・技能
10 低学年 D水遊び 水中動物ランド
[本時で中心とする評価の観点]知識・技能
11 中学年 D水泳運動 3年○組!水泳発表会〜もぐって,ういて,スーイスイ〜
[本時で中心とする評価の観点]思考・判断・表現
12 高学年 D水泳運動 ストロークチャレンジ
[本時で中心とする評価の観点]主体的に学習に取り組む態度
13 低学年 Eゲーム ボール運び鬼〜秘伝の巻き物を探し,鬼の里を攻め,スーパー忍者になろう〜
[本時で中心とする評価の観点]思考・判断・表現
14 中学年 Eゲーム キャッチバレーボール
[本時で中心とする評価の観点]主体的に学習に取り組む態度
15 高学年 Eボール運動 サッカー
[本時で中心とする評価の観点]知識・技能
16 低学年 F表現リズム遊び どうぶつランドへ レッツゴー!
[本時で中心とする評価の観点]主体的に学習に取り組む態度
17 中学年 F表現運動 のりのりダンシングゥ!
[本時で中心とする評価の観点]知識・技能
18 高学年 F表現運動 対決!
[本時で中心とする評価の観点]思考・判断・表現

はじめに

 2017年の学習指導要領告示から早5年が経とうとしています。これまでの改訂スケジュールから考えると,すでに次期改訂までの折り返し地点なのかもしれません。この5年間で,ご自身の実践している授業はどのように変わったでしょうか。

 学習指導要領は目標と内容が規定されていますから,勝手な解釈をすることは公立小学校教員では許されません。しかし,方法については,ご自身の経験や知識を駆使して,よりよいものを工夫することが求められています。指導の信念はどのようにもたれていますか。

 私の場合,苦い思い出が体育における指導の信念の柱になっています。

 小学校4年生の担任をしていたときに,アメリカからA君が転入してきました。A君は体が大きく,いつもにこにこしていて,みんなの人気者でした。私にもアメリカでの生活や学校の違いなどをよく話しに来てくれました。一方,アメリカでは様々な運動の経験が少なく,ぽっちゃり体型で運動はあまり得意ではありませんでした。それでも,汗びっしょりになりながら,どんな運動でも力いっぱい取り組んでいました。そんなA君が,アメリカに帰国するときが来ました。お別れの日,A君が私に「先生の体育の授業はいつも楽しかった」と言ってくれたことで私は有頂天になりました。しかし,それも束の間,次の一言で,自分の未熟さ,勝手な思い込み,教師のエゴに気付かされ,真っ逆さまに奈落の底へ突き落とされたのでした。「この前,跳び箱をしていたときに,先生は僕にできなくてもいいんだよと言ったでしょ。先生は僕には無理だと思ってるんだなって。だから僕はあきらめたよ。」そのあとも話したはずですが,何を話したのか全く覚えていません。自分としては,十分がんばっているA君を励ましたつもりだったのですが,A君の思いは全く逆でした。A君は「できるようになりたかった」のです。その願いを叶えるべく,手立てを考えるべきでした。算数で「計算できなくていいよ」,国語で「漢字書けなくていいよ」という指導はあり得ないはずです。課題を少し易しくするとか,具体的な助言をするとか,まずできているところを称賛するとか……できることはたくさんあったはずでした。しかし,すでに別れのとき,楽しい体育の思い出の中に,残念な思いを抱かせたまま,アメリカへの帰国を見送るしかありませんでした。その後,成人したA君は俳優として活躍しています。背の高い,いわゆるイケメン俳優です。子ども向けの戦闘ヒーローもののドラマに出演した際,「自分は運動が苦手なので,変身している時間が長かった」とか……。その話を聞いて,また胸が痛くなりました。A君の一件があって以来,「教育とは,子どものもつ可能性が開花するよう最大限支援すること」を信念として,教育を考えてきました。もちろん,十分できているとは決して言えませんが,そうありたいという思いは常にもち合わせてきたつもりです。

 くしくも「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」(中央審議会答申 令和3年1月)では,サブタイトルとして「全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現」と付けられており,「急激に変化する時代の中で,我が国の学校教育には,一人一人の児童生徒が,自分のよさや可能性を認識する」ことの大切さが示されています。すでにその子どもが表出している「よさ」と違い,現時点では見えない「可能性」を認識することは難しいことですが,少なくとも教師としては,「どの子どもにも限りない可能性があること」を信じて教育活動を推進することが重要であることは,A君が教えてくれました。体育の学習指導要領では(1)知識及び技能において,「次の運動の楽しさや喜びを味わい」という表現が使われています。これは今が「楽しい」ことも必要ですが,それだけでは指導として不十分であり,将来も運動とのよい関わりをもてるようにするためには,「喜び」のある指導が求められることを示しています。それは子どもが自分の可能性を感じられる指導と言っても過言ではないでしょう。

 指導案には,子どもの実態として「どんなことが楽しいですか」「どのようになりたいですか」などのアンケート調査が載っていますが,1番多い回答は例外なく「技ができるようになったとき」「試合で勝ったとき」などです。この切なる子どもの願いの実現に,少しでも近付けるように支援するのが教師の役割です。

 本書は「指導と評価の一体化」がテーマになっています。決して新しいテーマではありませんが,ここまで書いてきたように子どもの願いを実現するためには,「しっかりと指導をして,身に付いたかどうかをしっかり振り返り,そして,不足していたら指導を改善していく」ことが不可欠です。念を押しますが,「この技ができなければダメだ」といった指導ではありません。その子どもの可能性を引き出すために「できるようになりたいことを実現する」指導が求められるということです。ですから,子どもが「こうなりたい」「こんなことができるようになりたい」といった願いがもてるように運動とのよい出合いを演出することも必要になります。

 私の研究のメジャーは「体育指導効力感の向上」です。これは教師が体育の指導に自信をもてるようにするにはどのような手立てが必要かを追究するものです(学会誌にも採択してもらっています)。その拠り所にしている教育心理学関係の研究には,人が大きく変化するきっかけとして成功経験が必要であり,その結果,有能感(自信)が育成され,物事への傾倒(意欲),探究が生じていくことが報告されています。易しい運動との出合いが小さな成功経験となり,これなら自分もできそうだという少しの有能感を育て,もっとしてみたいという意欲につながることで,子どもが自己の「可能性」を「よさ」に変化させる力になると考えます。

 そのためには,教え込むのではなく,子どもの願いを叶えるための指導と常に実現状況を把握するための評価をし,自己の授業を改善していくことが求められるでしょう。本書には,このような思いが込められています。


   編著者 /白旗 和也

著者紹介

白旗 和也(しらはた かずや)著書を検索»

日本体育大学体育学部教授

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
読者アンケート回答でもれなく300円分のクーポンプレゼント!

ページトップへ