21世紀型授業づくり25インターネットを活用した授業づくり

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各教科や領域の専門家として、授業実践のプロとして、インターネットをどのように活用していけばよいか、地道な授業実践を幅広く紹介し、活用を容易にした事例集。


復刊時予価: 2,673円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-254915-5
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 176頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
T 変えよう,情報機器のイメージ,そして,身近なものへ
/竹村 暢夫
1 イメージのちがい
2 へき地小規模校のよさを
3 へき地小規模校ならではの情報教育のメリット
4 目的は「交流」「広報」「共有化」
5 なにができる?
6 こわごわと
7 情報機器活用は手段
8 全員で創ろう,ホームページ
9 こんなメールが
10 練習ではなく本番
11 研修らしくない研修
12 めざせ! パソコン技能1級
13 身近に,気軽に
14 情報機器に対するイメージの変容と柔軟な発想
U 総合的な学習「エコニコ調査隊」(環境問題)
/稲葉 弘和
1 はじめに
2 これまでの歩み
3 授業実践例の紹介
4 学習の成果と今後の課題
V 小学校2年生「生活科」での情報機器を使った教育実践:思いやりの心で伝えよう
――ケナフ栽培での交流を通して―― /寳迫 芳人
1 はじめに
2 授業までの経過
3 授業実践例
4 授業の実際とその後の展開
5 関連する Web ページのURL
W 地域に学ぶ体験学習とインターネットでの情報活用
――地域に学び,情報を活用し発信できる子ども:インターネットの〈閉じた世界?〉での活用―― /岩野 真志
1 はじめに
2 これまでの歩み
3 授業実践例
4 今後の課題
5 リンク集
X インターネットを活用した感動的な英語の授業づくり
――インターネットは英語の授業に最適な教材の宝庫―― /大塚 謙二
1 はじめに
2 これまでの歩み
3 授業実践の紹介(全教科で役に立つ使用形態)
4 今後の課題
5 英語の授業で役に立つリンク
Y ネットで調べ,プレゼンテーション
――6年社会科の授業―― /高橋 勲
1 はじめに
2 これまでの歩み
3 授業実践例の紹介
4 今後の課題
5 社会の授業に役立つリンク集
Z 子どもが主体的に動き情報活用能力を伸ばす単元作り
――インターネットでの交流を取り入れた活動を通して―― /丹波 信夫
1 はじめに
2 これまでの歩み
3 授業実践の紹介
4 今後の課題
[ 附属学校園の高度ネットワーク化と教育現場での効果的な活用
――理科教育でのネットワークの活用を通して―― /今城 雅彦
1 はじめに
2 小津キャンパス・ネットコミュニティプランの構想とその実現
3 理科での実践例の紹介
4 今後の課題
\ 情報発信とメディアミックスによるインターネットの活用
/北原 利郎
1 はじめに
2 これまでの歩み
3 成果と今後の課題
] 生徒の表現力を高めるメールの活用
――E-PALS with America Project について―― /猪股 俊哉
1 パソコン室の利用状況
2 表現力を高める英語授業
3 生徒の表現力を高める授業を目指した重要ポイント
4 メール交換の英語授業(E-PALS with America Project)
5 E-PALS with America Projectの今後の課題
XII インターネットを活用した仮説検証型の調べ学習
――小学校6年社会科(歴史)の授業を通して―― /朝香 和也
1 はじめに
2 これまでの歩み
3 授業実践例の紹介
4 今後の課題
5 歴史博物館関連のホームページ
XII インターネットを活用した「総合的な学習の時間」の取り組み
/水野 秀哲
1 はじめに
2 これまでの歩み
3 授業実践例の紹介
4 まとめ――成果と課題
5 インターネットとコンピュータをめぐる今後の課題
6 リンク
XIII ネットワークを活用した理科の授業
/向平 仁彦
1 はじめに
2 これまでの歩み
3 授業実践例の紹介
4 今後の課題
コラム /村端 五郎
1 インターネット教育利用の二つのアプローチ
2 情報活用能力を高める5段階学習モデル
3 マルチメディア時代は日本人に有利?
4 集団のダイナミズムに変化を
5 インターネット教育利用の留意点1 Web を利用した調べ学習
6 インターネット教育利用の留意点2掲示板を利用した交流
7 インターネット教育利用の留意点3ホームページで情報発信
8 学習のコンテクストが豊かになる
9 インターネット活用教育の点検項目1推進体制は整っているか?
10 インターネット活用教育の点検項目2教師間のネットワークはできているか?
11 インターネット活用教育の点検項目3教師の研修は保証されているか?
12 インターネット活用教育の点検項目4学校が地域情報ネットワークの拠点となっているか?
13 メディア・リテラシーを育てる
14 コミュニケーションが変わる
15 学習することの意味とインターネットの活用
16 自己調整的学習から総合学習のカリキュラムを考える
17 総合学習の課題をどのように発掘し設定するか
18 ヒューマンウェアの大切さ
19 教育観の変化とインターネット教育利用の意義
20 教師の役割はどのように変わるか

まえがき

 インターネットの教育利用が叫ばれ,すべての学校がインターネットに接続される日は近い。しかし,教育利用に関する具体的な議論や実践はといえば,立ち遅れていると言わざるを得ないのではないだろうか。実際どのようにインターネットを授業に活用していけばよいのか,インターネットで授業はどのように変わっていくのか,教師の情報スキルをどのように高めていけばよいのかなど,課題は山積みしている。

 今必要なのは,現場の先生方が,

 ・各教科や領域の専門家として

 ・授業実践のプロとして

 ・特に情報技術の高い教師でもない,ごく普通の教師として

 インターネットを使った授業にどんなものがあるかを積極的に模索しながら,インターネットの教育利用に地道に取り組んでいくことではないだろうか。

 本書『インターネットを活用した授業づくり』のねらいは,まさにそのような地道な授業実践を幅広く紹介することにある。ここで紹介する実践は,決して完成されたものばかりではない。しかし,インターネットやコンピュータの教育利用に迷走したり,ためらいながらも,どれも地域や学校や子どもたちの実態に即した意欲的な実践である。

 また,本書で紹介する実践は,インターネットを実際の授業展開でどのように活用しているかという観点に立つものばかりではない。教職員の研修をどのように組み立て進めるか,インターネットをパソコン室以外の教室でも利用できるようにするにはどのような設備がよいのかなど,授業づくりを下支えするための実践も紹介している。「インターネットを活用した授業づくり」に限らず,授業づくりの基本は,何はともあれ教師の意識改革と指導力の向上,そして教授学習環境の整備にあるからである。

 それぞれの実践の主要なテーマとなる項目を各実践から引き,以下にまとめてみた。これらの項目と「目次」とを参照していただき,読者の皆さんに課されている課題にそって実践を選んで読み進めていただければと思う。


【教職員のパソコン研修】

・研修らしくない研修の大切さ(竹村実践)

・教職員の情報機器に対するイメージの変容は,子どもたちへの情報教育の在り方を変える(竹村実践)

【複数メディア(メディアミックス)の活用】

・学校放送とインターネットとを組み合わせた活用(稲葉実践,北原実践)

【表現メディアの選択】

・ある事柄をわかりやすく伝える方法(適切なメディアの選択)を子どもたち自身に考えさせる(寳迫実践)

【1つのメディアとしてインターネットを活用】

・メディア選択の善し悪しではなく,それぞれどのような特徴があるかを考えさせる(寳迫実践)

【インターネットを活用した問題解決型の学習】

・ホームページ制作で学習過程を明確化(北原実践)

【インターネットを活用した仮説検証型の調べ学習】

・博物館ホームページで仮説を検証(朝香実践)

・多地点をネットワークで結んで仮説を検証──地球は本当に丸いか?

(向平実践)

【インターネットに過度に依存することへの配慮】

・何でもかんでもインターネットに頼ろうとすることに注意(高橋実践)

【授業でのロスタイムを減らす手だて】

・テーマ別のホームページアドレスを保存するフォルダで情報を共有

(稲葉実践)

・教師があらかじめ学習に関連するリンク集を用意(今城実践)

・データベース方式の特定サイトの活用(朝香実践)

【情報モラル・ネット倫理・セキュリティ問題への対応】

・有害情報のアクセス制御(フィルタリング)(今城実践)

【子どもたちのパソコン技術の向上】

・パソコン操作を身につけさせるには「習うより慣れろ」(高橋実践)

【論理的な表現力の育成】

・キーワードで端的で論理的な文章表現に慣れさせる(パワーポイントでのプレゼンテーション)(高橋実践)

【評価の方法】

・子どもたち自身による相互評価も計画的に(高橋実践,岩野実践)

【特定校とのネット上での交流】

・閉じた世界での交流も可能なインターネット(岩野実践)

・外国の生徒とのメール交換で英語の表現力をつける(猪股実践)

【校外の人々とのオンラインとオフラインでの交流】

・専門家との事前のやりとりと授業での直接交流(稲葉実践)

【子どもたちのオンラインとオフラインでの交流】

・ネット上だけの交流ではなく,実際に会って直に交流することが大切

(丹波実践)

【メール交換による異文化理解】

・教師の細かな事前指導の大切さ(猪股実践)

【情報発信を中心としたインターネット活用】

・情報の収集,加工,発信を繰り返して情報の質を高めていく

(岩野実践,水野実践)

・各学習段階でのメディアの扱い方指導に重点(北原実践)

・情報を発信する場合,情報の受け手はだれなのか,学年や関心のありどころを意識させる(岩野実践)

【受信者の心を大切にした情報の発信】

・人の気持ちを考えた表現方法について考えさせる(丹波実践,大塚実践)

・心を砕いて情報を構成し発信する(寳迫実践,水野実践)

【ピアサポート】

・コンピュータの達人でピアサポート(丹波実践)

【手作りネットワーク】

・手作りの構内ネットワークの構築(大塚実践,今城実践,水野実践)

・無線LANとノートパソコンでパソコン教室以外の教室でも自由にインターネットにアクセスできるネットワーク環境(今城実践)

【学習動機を喚起するインターネット活用】

・インターネットの活用は学習意欲を喚起する(大塚実践,猪股実践)


 インターネット活用で授業はどのように変わるか──編著者の私にも明確な答えがあるわけではない。ここで紹介した実践者の皆さんもおそらく同じであろう。

 本書をふまえて,最終的には読者の皆さんひとりひとりが,自分自身で答えを見つけていただければ,それがベストだと考えている。そのためのヒントに本書がなれば幸いである。

 本書の刊行にあたり,寄稿していただいた先生方には,無理なお願いを快く引き受けていただき,心から感謝している。これらの先生方との出会いは,この仕事が私に与えてくれた最もすばらしいプレゼントであった。

 このような機会を与えてくれた明治図書編集部編集長の江部満氏,そして実践事例の収集に協力してくれた大阪府守口市立春日小学校の重松昭生先生,北海道帯広市教育委員会教育研究所所長の野崎司春先生に謝意を表したい。


  2001年2月   /村端 五郎

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      明治図書

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