兵教大附属小「授業実践の窓」叢書4
かかわりが生み出す『真の学び』

兵教大附属小「授業実践の窓」叢書4かかわりが生み出す『真の学び』

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教師が積極的に「教えること」と児童が主体的に「学ぶこと」が共鳴することで生まれる真の学びをつくる授業とはどのようなものか。例えば算数なら「わり算問題集をつくる授業」といった実践を紹介。各教科・英語学習の実践例まで豊富に紹介し、新しい授業像に迫る。


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ISBN:
978-4-18-246919-0
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 184頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

責任をもって「力」をつける教育を――学習指導要領改訂と「言葉の力」 /梶田 叡一
まえがき /田中 雅和
各教科・英語学習の提言と実践(16事例)
国語科
提言 イメージから「自分の読み」をつくる国語の授業
第2学年の実践 「サンゴの海の生きものたち」の劇をつくろう
「サンゴの海の生きものたち」(本川達雄:光村2年上)
第5学年の実践 わたし(ぼく)が語るお話を語ろう
「新しい友達」(石井睦美:光村5年上)
社会科
提言 事象にこだわり,解釈を語り合う社会科学習
第3学年の実践 人びとのしごととわたしたちのくらし
〜エースコックつながりマップをつくろう〜
算数科
提言 共に算数を生成する授業の創造
第2学年の実践 おはじきをきれいにならべてかけ算をつくろう
〜アレイ図を用いてかけ算の理解を促し,数の見方を広げる計算指導〜
第3学年の実践 わり算問題集をつくろう
〜かけ算とのつながりから,わり算の意味を理解する〜
第5学年の実践 2つの数量と割合の関係を探ろう
〜子どもの図的表現の高まりを通して〜
理科
提言 つながりの中で「わたしたちの科学」をつくりだす理科学習
第5学年の実践 「メダカの科学」をつくろう
〜動物の誕生〜
第6学年の実践 うれしのクリーンエネルギー博覧会を開こう
〜電気の利用〜
生活科
提言 子どもの事実から見直す新たな生活科学習
第1学年の実践 あきとなかよし
音楽科
提言 思いを音に映し,高め合う授業づくり
第1学年の実践 あそびうたをつくろう
第3学年の実践 はじめての曲づくり
図画工作科
提言 語りによる解釈を通し,造形的自立を育む授業
第2学年の実践 まほう「ニジミ!」
〜表現と見立てを往復する描画の展開〜
第3学年の実践 くるくるまわる
体育科
提言 身体をひらく体育科学習の創造
第1学年の実践 ドンドンあてよう! (ゲーム領域:的あてゲーム)
第5学年の実践 跳ねる楽しさを感じよう!
〜首はね跳び・頭はね跳び〜(器械運動領域:跳び箱運動)
英語学習
提言 言語的な気づきから学びを深める英語学習
第4学年の実践 Let's Talk With Foreigners.
あとがき /八木 眞由美

責任をもって「力」をつける教育を―学習指導要領改訂と「言葉の力」

   兵庫教育大学長 /梶田 叡一


 一人一人の子どもに,責任をもって「力」をつける教育への転換が,今や強く期待されている。今回の学習指導要領改訂は,まさに,この期待に応えようとするものである。

 「確かな学力」を基盤とした「生きる力」の育成,そして「確かな学力」を支えるものとしての「言葉の力」の重視,これが新学習指導要領の基本的に目指すところである。このため,単に小中学校の国語科の時数増に留まるものでなく,全ての教科・領域での教育活動において「言葉の力」の育成を念頭に置かねばならないのである。

 2008年1月17日に提出された中教審答申『幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善について』では,国語科での学習指導について,具体的な目標が,次のように示されている。

 (1) 言葉を通して的確に理解(する能力の育成)

 (2) 論理的に思考し表現する能力(の育成)

 (3) 互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う能力(の育成)

 (4) 我が国の言語文化に触れて感性や情緒をはぐくむこと

 そして,特に次のような言語活動が必要であるとされている。

 (1) 語彙を豊かにし,知識・技能を活用する学習活動を行うこと。教科書を,このような視点にたって工夫すること。特に国語科においては,言語の果たしている役割に応じた適切な教材を取り上げること。

 (2) 読書活動を推進すること。小学校では日常的に読書に親しむような指導を,中学校では読書をより豊かなものにするような指導を,といったように発達段階に応じた目標を明確化すること。読書習慣の確立にあたっては家庭の役割が大きいので,学校,家庭,地域を通じた読書活動の充実を図ること。

 (3) 学校図書館の活用や学校における言語環境の整備を図ること。辞書,新聞の活用や図書館の利用について指導すること,様々なメディアの働きを理解し,適切に利用する能力を高めること。

 この上に立って,次のような形での言語活動の充実が考えられるとされるのである。

 (1) 知的活動の基盤となる言語力として重視すべきもの。

 1.観察・実験や社会見学のレポートにおいて,視点を明確にして,観察したり見学したりした事象の差異点や共通点をとらえて記録・報告する(理科,社会等)

 2.比較や分類,関連付けといった考えるための技法,帰納的な考え方や演繹的な考え方などを活用して説明する(算数・理科等)

 3.仮説を立てて観察・実験を行い,その結果を評価し,まとめて表現する(理科等)

 (2) コミュニケーションや感性・情緒の基盤となる言語力として重視すべきもの。

 1.体験から感じ取ったことを言葉や歌,絵,身体などを使って表現する(音楽,図画工作,美術,体育等)

 2.体験活動を振り返り,そこから学んだことを記述する(生活,特別活動等)

 3.合唱や合奏,球技やダンスなどの集団的活動や身体表現などを通じて他者と伝え合ったり,共感したりする(音楽,体育等)

 4.体験したことや調べたことをまとめ,発表し合う(家庭,技術・家庭,特別活動,総合的な学習の時間等)

 5.討論・討議などにより,意見の異なる人を説得したり,協同的に議論して集団としての意見をまとめたりする(道徳,特別活動等)

 もう一度,新しい学習指導要領の目指すこうした基本的方向性を,教育関係者皆で確認したいものである。

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