- はじめに
- この本の読み方
- 第1章 理論を学べば実践が変わる
- 01 「大学で学んだ理論は役に立たない」は本当か?
- 02 理論を学ぶ3つの意味
- 03 理論はあくまで実践の「下支え」
- 第2章 あなたの授業力を高める自己調整につながる学習理論図解
- Part1 動機づけ
- 01 「内発的」がよくて「外発的」がダメってホント!?
- 02 「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」はつながっている
- 03 「自律的な動機づけ」は3つある
- 04 内発的動機づけに近づける3つの要素
- 「動機づけ」の理論を生かした実践
- 3つの欲求を満たす授業を設計しよう
- Part1 参考文献一覧
- Part2 自己効力感・モデリング
- 01 主体的な行動の核は「自己効力感」
- 02 自己効力感を高める4つの要因
- 03 教え育てる基礎基本「モデリング」
- 04 モデリングの4つのステップ
- 「自己効力感・モデリング」の理論を生かした実践
- モデリングの4ステップで成功体験を生み出す
- Part2 参考文献一覧
- Part3 メタ認知
- 01 「メタ認知」には2つある
- 02 「自己」選択・「自己」決定…まずは「自己」を知ることから
- 03 「学び方を学ぶ」メタ認知
- 04 自由進度学習で不可欠!「モニタリング」と「コントロール」
- 「メタ認知」の理論を生かした実践
- メタ認知を促す仕掛けと言葉かけ
- Part3 参考文献一覧
- Part4 ワーキングメモリ・実行機能
- 01 あの子が教師の指示を理解できないのはなぜ?
- 02 ワーキングメモリの弱さが引き起こす学習の困難さ
- 03 すべての司令塔「実行機能」
- 04 大人が子どもの「外付け実行機能」に
- 「ワーキングメモリ・実行機能」 の理論を生かした実践
- 子どもの「脳の負荷(認知的負荷)」を考慮する
- Part4 参考文献一覧
- Part5 スキーマ・有意味学習
- 01 「知識を得る」とは? スキーマ理論
- 02 一斉授業は不要か?受容学習VS発見学習
- 03 深い学び=「有意味学習」
- 04 有意味学習を実現する「先行オーガナイザー」
- 「スキーマ・有意味学習」の理論を生かした実践
- 子どもの既有知識を活用して深い学びを実現しよう
- Part5 参考文献一覧
- Part6 認知的徒弟制・発達の最近接領域
- 01 子どもを自立させる4ステップ
- 02 自立への最重要ポイント「足場かけ」と「足場はずし」
- 03 ちょうどいい課題のレベルって?―発達の最近接領域
- 04 さらに自立度を高める3つの「ション」
- 「認知的徒弟制」 の理論を生かした実践
- 教師主導から学習者主導へ―段階的に移行する物語文の指導
- Part6 参考文献一覧
- Part7 自己調整学習
- 01 「自ら学ぶ子」ってどんな子?
- 02 自己調整できるまでの4ステップ
- 03 自己調整に不可欠な3つの要素
- 04 自己調整にもワザが必要―「自己調整学習方略」
- 05 人に助けを求めるのも「自己調整」のうち
- 06 よくある誤解@自己選択=自己調整ではない
- 07 よくある誤解A自己調整学習は個別学習とは限らない
- 「自己調整学習」 の理論を生かした実践
- 自己調整学習サイクルを回転させるための手立て
- Part7 参考文献一覧
- おわりに
- Column
- 1 理論を学びたい人、入門におすすめ 3つのこと
- 2 「ラーニングピラミッド」のウソ
- 3 「視覚優位」「聴覚優位」のウソ
- 4 エセ心理学・脳科学にだまされないために
- 5 なぜ教育の議論は噛み合わないのか
- 6 UDL(学びのユニバーサルデザイン)とは
- 7 自己調整学習は「学習法」ではない
はじめに
私は、フリーランスの小学校教師をしています。
「フリーランス」といっても、「個人事業主」というわけではなく、正確には「臨時的任用教員」です。出産や育児などでお休みされる先生の代わりに、1年契約で働くスタイルをあえて選んでいます。勤務先の学校も、自分で選んで決めています。
もともと私も、数年間は正規採用の教員として働いていました。ですが、もっと自由な働き方をしてみたいと思い、思い切って退職しました。そして、フリーランスになったことで生まれた時間を使って、文献を読んだり、自分の実践を論文化したりしています。
そもそも私は、教員になる前、大学・大学院で教育心理学を学んできました。しかし、教員になって最初の3年ほどは、目の前の子どもたちに向き合うことで精一杯。学問に立ち返る余裕は、なかなかもてませんでした。
それでも、教員として経験を積むうちに、次第に変化が訪れます。大学院で学んだ理論的な枠組みと、自分の実践が少しずつ結びついていく感覚を得られるようになったのです。
一方で、現場の先生方と話す中で、「理論を学びたいけれど、時間がない…」「難しそうで、とっつきにくい…」といった声を耳にすることが増えていきました。
そこで、自分が学んできた知識を、学校現場の先生方に役立つ形で伝えたいと思い、Instagramやnoteで発信を始めました。
ただ、閲覧数やフォロワーを追い求めるのではなく、理論は体系で学ぶことに意味があると考え、文献に基づいた、厚みのある発信を心がけています。気軽に情報を入手できるSNSの発信としては珍しいかもしれません。それでも、「実践を見直す機会になった」「実践の幅が広がった」「もっと理論を学んでみたい」と言ってくださる先生方がいらっしゃることに励まされて、発信を続けています。
本書では、これまでの発信内容から、とりわけ授業づくりに役立つ7つの理論を選び、できるだけわかりやすく解説しました。この本が、教育心理学に興味をもつきっかけとなり、多くの先生方にとって役立つものとなれば幸いです。
2025年4月 /白杉 亮
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- 明治図書