言語・表現でつなぐ「学ぶこと」と「教えること」

言語・表現でつなぐ「学ぶこと」と「教えること」

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「学ぶこと」と「教えること」の共鳴をテーマにした教育実践

新指導要領の目玉ともいえる「言語力」を授業でどうつけていくか。またそれを、さまざまな表現活動の指導とどう結び付けていくか。今、もっとも注目されている問題に正面から取り組んだ実践指南書。各教科の授業の実例をふんだんに取り入れ、示唆するところ大。


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ISBN:
978-4-18-246815-5
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 196頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

序─責任をもって「力」をつける教育を
まえがき─教師と児童の応答的な授業づくり
T 「学ぶこと」と「教えること」の共鳴
――言語を活用し,表現する授業づくり
1 かかわり重視の教育モデル
2 「教えること」の明確化
3 新たな「教えること」
4 「学ぶこと」を見つめ直す
5 言語を活用し,表現する授業
U 各教科・英語学習の実践(17事例)
1 国語科 イメージをかたちづくる授業づくり
第2学年の実践
「スイミーの海」をつくろう――「スイミー」(レオ=レオ二:光村2年上)
第5学年の実践
レポーターになって報告しよう――「サクラソウとトラマルハナバチ」(鷲谷いづみ:光村5年上)
2 社会科 かかわりの中で事象の意味や価値を見いだす
第3学年の実践
加東市おすすめかるたをつくろう――わたしたちの加東市
第6学年の実践
世界つながりレポートをつくろう――フェアトレードから見える世界の人々との共生のあり方
3 算数科 算数的表現を分かち合い,活用する
第2学年の実践
たし算とひき算のお話をしよう
第3学年の実践
あまりのあるわり算――説明する活動を中心として
第3学年の実践
図形についての感覚を豊かにする学習指導――はこの形
4 理 科 つながりの中で「わたしたちの科学」をつくりだす
第4学年の実践
ロケット大会を開こう
第6学年の実践
ファイヤーマジックをつくろう――ものが燃えるとき
5 生活科 子どもの事実から見直す新たな生活科学習
第1学年の実践
なつとなかよし
6 音楽科 思いを合わせ表現する
第3学年の実践
まほうの音づくり
7 図画工作科 イメージをよみとき,あらわす
第2学年の実践
お話スタジオ――ストーリーを語りながらの立体造形(紙粘土)の展開
第4学年の実践
だまし絵・かくし絵をつくろう
8 体育科 子どもたちが動きにこだわる
第5学年の実践
わたしとあなた,そしてわたしたちの表現――みんなちがってみんないい(表現運動領域)
第5学年の実践
しっかり伸びて ゆっくり進もう――全員200m完泳をめざして
9 英語学習 活動から学びをつくる
第6学年の実践
Let's make a speech about this summer vacation
第6学年の実践
What are you doing ?
あとがき

序責任をもって「力」をつける教育を

   ─学習指導要領改訂と「言葉の力」─
      兵庫教育大学長 /梶田 叡一


 一人ひとりの子どもに,責任をもって「力」を付ける教育への転換が,今や強く期待されている。今回の学習指導要領改訂は,まさに,この期待に応えようとするものである。

 「確かな学力」を基盤とした「生きる力」の育成,そして「確かな学力」を支えるものとしての「言葉の力」の重視,これが新学習指導要領の基本的に目指すところである。このため,単に小中学校の国語科の時数増に留まるものでなく,すべての教科・領域での教育活動において「言葉の力」の育成を念頭に置かねばならないのである。

 2008年1月17日に提出された中教審答申『幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について』では,国語科での学習指導について,具体的な目標が,次のように示されている。

 (1) 言葉を通して的確に理解(する能力の育成)

 (2) 論理的に思考し表現する能力(の育成)

 (3) 互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う能力(の育成)

 (4) 我が国の言語文化に触れて感性や情緒をはぐくむこと

 そして,特に次のような言語活動が必要であるとされている。

(1) 語彙を豊かにし,知識・技能を活用する学習活動を行うこと。教科書を,このような視点にたって工夫すること。特に国語科においては,言語の果たしている役割に応じた適切な教材を取り上げること。

(2) 読書活動を推進すること。小学校では日常的に読書に親しむような指導を,中学校では読書をより豊かなものにするような指導を,といったように発達段階に応じた目標を明確化すること。読書習慣の確立に当たっては家庭の役割が大きいので,学校,家庭,地域を通じた読書活動の充実を図ること。

(3) 学校図書館の活用や学校における言語環境の整備をはかること。辞書,新聞の活用や図書館の利用について指導すること。様々なメディアの働きを理解し,適切に利用する能力を高めること。

 この上に立って,次のような形での言語活動の充実が考えられるとされるのである。

(1) 知的活動の基盤となる言語力として重視すべきもの。

 1.観察・実験や社会見学のレポートにおいて,視点を明確にして,観察したり見学したりした事象の差異点や共通点をとらえて記録・報告する(理科,社会等)

 2.比較や分類,関連付けといった考えるための技法,帰納的な考え方や演繹的な考え方などを活用して説明する(算数・数学,理科等)

 3.仮説を立てて観察・実験を行い,その結果を評価し,まとめて表現する(理科等)

(2) コミュニケーションや感性・情緒の基盤となる言語力として重視すべきもの。

 1.体験から感じ取ったことを言葉や歌,絵,身体などを使って表現する(音楽,図画工作,美術,体育等)

 2.体験活動を振り返り,そこから学んだことを記述する(生活,特別活動等)

 3.合唱や合奏,球技やダンスなどの集団的活動や身体表現などを通じて他者と伝え合ったり,共感したりする(音楽,体育等)

 4.体験したことや調べたことをまとめ,発表し合う(家庭,技術・家庭,特別活動,総合的な学習の時間等)

 5.討論・討議などにより,意見の異なる人を説得したり,協同的に議論して集団としての意見をまとめたりする(道徳,特別活動等)

 もう一度,新しい学習指導要領の目指すこうした基本的方向性を,教育関係者皆で確認したいものである。

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      明治図書

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