- グラビア
- 巻頭:「3年間の学び」
- はじめに
- 総論編
- 1 こんな人に
- わたしたちのめざす人間像/ 育てたい子どもの姿
- 2 わたしたちの考える「学び」とは
- 「学び」を生み出す/ 「学び」を深め合う
- 3 育てたい子どもの姿の実現に向けて
- 「学びの意欲」と「学び方」を問題解決的学習過程で育てる/ 問題解決的学習過程による「本気で学ぶ」授業の実現
- 4 「本気で学ぶ」授業をつくる
- 本気で学ぶ/ 本気を支える三つの要素/ 子どもの学びの「見とり」/ 問題意識への「はたらきかけ」/ 自分の成長や学んできたことの価値を自覚する「ふりかえり」/ 実際の授業づくり
- 5 さらに動き出す子どもに
- 「もっとやってみたい」という思いを「学びたいむ」で/ 「マイカリキュラム」の実現/ 「自ら生きがいを見いだし、創造的に生きる人間」をめざして
- 教科編
- 国語科 ことばで心かよわせ 自分を見つめる
- 人を見るというより、人生を見るようになりました。
- 2年実践「人を学び 人に学ぶ 〜わたしのプロジェクトX〜」
- 社会科 社会を見つめ 生き方を問う
- 大豆を通して、自分と世の中のつながりが見えた!
- 1年実践「日本の今を考える ―宮城県古川市―」(地理)
- 数学科 数学的経験を活かす
- 吹き矢を追究したら、関係を見つめる目が育った
- 3年実践「吹き矢でダイブ」(生活の中から関係を見いだそう)
- 理科 科学する楽しさを知り 自然とかかわって生きる
- 「見える」とは目で感じ脳で判断する営みなんだ!
- 2年実践「感覚器官と脳の科学」(生物の世界U〜動物〜)
- 音楽科 楽しさと美しさを表現する
- 「能楽師の声はすごい!」「わたしのハートが撃ち落とされた感じだよ!」
- 1年実践「中世の系譜をひもとく」(Sounds of Japan)
- 美術科 美しさを求め 自らデザインする
- 抽象だったり具象だったり、わたしの「想い」は無限大!
- 3年実践「Dreams Come True! ―ジオラマ―」(自己を見つめようW)
- 保健体育科 たくましく運動とかかわり 生涯スポーツ社会を担う
- 「2本のロープで伝えたい! ぼくらの思い」
- 3年実践「ダブルダッチdeジャンプ&ダンス」(力と美W)
- 技術・家庭科 こだわりの眼と確かな技で生活を創る
- とことんつくって確かめる!すべきことがはっきりすれば、自分の工夫でなんとかなる!
- 2年実践「ぶらり、岡崎一周ソーラーカーの旅」(技術:発展単元)
- こんなお寿司をわたしの家族にも食べさせてあげたい!
- 1年実践「家族に食べさせたいオリジナル寿司をつくろう」(家庭:発展単元)
- 英語科 Global Dialogue
- We shouldn't forget good points. Differences are important.
- 3年実践「THE JAPANESE」(Japan in the World)
- 学びたいむ編
- 「学びたいむ」とは
- 時間と場所の枠を超えて
- なんとかして岡崎の魚を救いたい!
- 1年実践「学びたいむの楽しさを味わい、自ら動き出す貴明」
- 山古志の復興のためにわたしたちができることは?
- 2年実践「自分の学びを振り返り、追究の深まりを自覚する里奈」
- 共生社会を実現させたい
- 3年実践「共生社会の実現を願い、追究し続ける葉子」
- 夢・未来編
- 「学び続けるということ」 本校卒業生 /永井 将貴
- おわりに
- 研究同人
はじめに
「あの星の向こうには何があるのだろう」
古代の人々は、ふと夜空を見上げながら、きっとこのようなことを考えたでしょう。身近な事象でありながら、はっきりとは解き明かせない問題に惹かれる。……それは、科学技術の発達した現代のわたしたちも、同様ではないでしょうか。こうしてみると、わたしたち人類は本来、身のまわりの事象から興味・関心、やがては疑問や問題をもち、それを解き明かそうと動き出す生き物であるように思います。そして、その疑問や問題の解決に必要な知識や技能を身につけながら、学んでいこうとする生き物でもあると思います。学ぶこととは生きることそのものであり、まさに人類永遠のテーマなのです。
見上げた「あの星」のある「宇宙」“universe”には、「森羅万象」という意味もあります。「森羅」は、数限りないものごとが並び連なること、「象」は事象、有形物を示しています。夜空を見上げ、いろいろと思いをめぐらしながら、星と星とを結んでできた数々の星座も、柔軟な思考力、豊かな創造力による産物と言えます。学ぶということも、世の中のさまざまな一つ一つの点(事象)を結びつけて線をつくり出したり、さらに線と線を組み合わせて平面や立体の図形をつくり上げてみたりするというような営みをいうのだと思います。
また、学びの最高学府である「大学」を表す“university”は、“universe”と語源が同じです。教師と学生たちの学びの共同体を意味する“university”は、人と人とのかかわり合いを意味する言葉でもあります。さまざまな人・こと・ものとかかわり合いながら、自分の考えをつくり上げていく。……わたしたちの学びもかくありたいと願っています。
本校は、昭和22年(1947年)の開校以来、「生活教育」つまり、「子どもの生活に根ざし、生活の中から生き方を学ぶ教育」を普遍の理念として掲げてまいりました。その流れの中にあって、わたしたちは議論を重ね、学ぶことに着目し、自分を取り巻く世界がめまぐるしく変化し、多様な価値観が存在する中でも、自分の生き方を求めるためには、生涯にわたって学び続けることが大切であるとの結論に達しました。そして、学ぶ喜びを知る人こそ、自らの人生を豊かにできると考えたのです。
そこで、平成15年度より研究主題を『「学びたい!」―子どもが「本気で学ぶ」授業の実現から―』と設定し、研究を重ねてまいりました。そして、「自ら生きがいを見いだし、創造的に生きる人間」をめざす人間像とし、学校の中で「学びの中から自分の問題を発見し、自分の学びへと深めていくことのできる子ども」の姿を実現しようと9教科の教育課程を中心とした学習過程で実践を試みてまいりました。折しも、昨今の教育界では、学力低下問題に端を発し、再び古い学力観に回帰する動きも見られます。また、学ぶ意欲の育成や生涯教育の必要性、新しい義務教育の創造にも注目が集まっています。本校の研究は、こうした流れもふまえつつ、教育の原点を改めて見つめ直したものであります。
ここに、わたしたちの4年間の研究の成果をまとめ、世に問わせていただくことで、わたしたちの研究の示す方向性に、ご教示いただければ幸いでございます。そして、さらにわたしどもが進むべき道も見つけてまいりたいと存じます。
最後になりましたが、本研究に対しまして、数々のご指導、ご支援を賜りました先生方、先輩各位、実践にご協力いただいた多くの方々、ならびに、出版に際しご尽力いただいた明治図書編集部の皆様に、心より感謝申しあげます。
2006年10月
国立大学法人 愛知教育大学附属岡崎中学校長 /長沼 健
日ごろ授業で悩んでいるものですが、とても分かりやすい内容で
いっきに読み進めることができました。
私の授業のバイブルになりました。