- はじめに
- 第1章 子供の“好き”を創る教育課程
- 01 私たちが,子供の“好き”で学校を創りたいと思ったわけ
- 02 子供の“好き”を創る学校を目指して
- 第2章 子供の“好き”を育む探究的な授業モデル
- [国語・1年] 読むこと わくわく!102とぴあ―ずうっと,ずっと,大すきだよ―
- [国語・2年] 書くこと 砂浜での活動を詩集にしよう
- [国語・4年] 読むこと わたしたちの401図書館―ごんぎつね―
- [社会・3年] 生産の仕事 ゆめ見る まち体験
- [社会・5年] 森林とともに生きる サステナブルJAPAN
- [算数・1年] 3口の計算,たし算・ひき算 F−G−1 CLIMAX 算数
- [算数・3年] 長さ・時刻と時間 ワクワクドキドキぼうけんたい
- [理科・3年] 音の性質 トントンとことん! 響け世界で一つだけの楽器!
- [理科・5年] 種子の発芽と成長 植物で広がる考えのチカラ
- [音楽・2年] 表現 音楽づくり 自分だけの「秋の音楽」をつくろう!
- [図画工作・1年] 造形遊びをする活動 ひらめきラボ―風と友達になろうプロジェクト―
- [家庭科・5年] 生活を支える物やお金 選ぼうハッピーな未来
- [体育・2年] 表現遊び むしむし パラダイス!
- [外国語・5年] 聞くこと Welcome to Japan.
- [外国語・6年] 話すこと Animation Connects Our World
- [道徳・4年] 生命の尊さ 動物大好き!―生命の支え合いのかたち―
- [道徳・6年] 自分自身に関すること 自己探究学習―ORIGIN―
- [学級活動・5年] 学級活動(1)(2) よろこびのたね―日々とぼく―
- 第3章 子供が主体的に参画する学校行事
- 01 子供が主体的につくる学校行事
- 02 5月・スポーツフェスティバル(運動会) 誰にとっても楽しいスポーツフェスティバル
- 03 9月・アートミュージアム(図工作品展) おとぎの国
- 04 2月・ミュージックステーション(音楽会) 伝えようぼくらの思い 音楽にのせて
- 第4章 リフレクションタイム
- 01 「自分らしさ」を知る時間
- 02 低学年 リフレクションってたのしいな♪
- 03 中学年 感情に着目して振り返る
- 04 高学年 他者との関わりから振り返る
- 第5章 子供の“好き”を生む学校運営
- 01 業務改善 全教職員の働きやすさを生み出す職場環境の創造
- 02 保健教育 教える授業から,気付く子供を育てる授業へ
- 03 食育指導 たべものとなかよし(1年生対象)
- シンポジウム「独創力の発揮」
- /鹿毛 雅治×秋田 喜代美×中野 裕己・石塚 正人
- おわりに
はじめに
子供の“好き”から始まる,学びの改革
学校での子供たちの様子を見て回ると,そこには無数の“好き”があふれています。休み時間に観察池でメダカやヤゴを探す瞳,自由帳に無心に絵を描き続ける指先,あるいは友達と思いをぶつけ合い,一つの行事をつくり上げようとする熱い声。こうした子供たちの内側から湧き上がってくるエネルギーこそが,学びの原動力であり,学校が最も大切にすべき宝物ではないだろうか。そんな思いから,私たちの挑戦は始まりました。
今の子供たちが生きる未来は,正解のない問いが次々と現れる予測困難な世界です。そこで必要とされるのは,与えられた知識を効率よく吸収する力だけではありません。自分は何に心を動かされ,何に価値を感じるのか。その「自分軸」をもち,主体的に世界と関わろうとする力です。私たちは,学校という場所を「教えられる場」から,子供たちが自らの“好き”を起点に「世界を拓く場」へとアップデートすることを目指し,次の3つの柱を軸に実践を積み重ねてきました。
01 教科の枠を越え,知恵を編み上げるクロスカリキュラム
生活科,総合的な学習の時間と各教科の学びを有機的につなぐ単元デザインを試みました。子供たちの日常生活に存在するリアルな「もの,こと,ひと」との出合いから学びをスタートさせ,“好き”を起点にした学びの広がりの中で,その教科の中核的な概念の獲得がなされるようにしたいと考えました。
02 学校を動かし,“好き”を広げる学校行事
学校行事において,子供たちに委ねる部分を多くしました。企画・運営に子供が参画する割合を増やしました。学校行事を「教師から指導される活動」から「自分たちでつくり上げる活動」へと変容させることとしました。自由と責任の間で葛藤し,仲間と協働する経験が,子供たちを真の主役へと成長させると考えました。
03 自らの心の動きを見つめるリフレクション
外に向かう探究を支えるのは,自らの内側を見つめる時間です。そこで,学習内容の振り返りよりも,「自分は何が好きか」「なぜそう感じたのか」を言葉にするリフレクションを大切にしました。自分の“好き”を自覚し,その価値を認められるようになることで,子供は揺るぎない自己肯定感を育んでいくのではないでしょうか。自分を大切にできる子供は,他者の“好き”もまた,等しく尊重できる。そんな温かな空気を学校全体に広げていきたいと考えました。
本書は,こうした実践の軌跡を事例とともに編み上げたものです。
ここで紹介する事例は,完成された正解ではありません。むしろ,子供たちの“好き”を真ん中に置いたときに,学校がどう変わり,教師がどう悩み,そして,子供たちがどう輝き始めたかという,等身大の試行錯誤です。
「子供主体」への転換は,一朝一夕には成し遂げられません。しかしながら,日々の小さな,ゆるやかな転換の積み重ねこそが,教育の未来を創ると信じています。本書が,子供たちの笑顔のために日々奮闘されている先生方にとって,一歩前に踏み出す勇気や,実践のヒントとなれば,これ以上の喜びはありません。
最後に,私たちの挑戦を温かく支えてくださった保護者の皆様,最高の“好き”を見せてくれた本校の子供たち,情熱をもって取り組んでくれた教職員に,心からの感謝を捧げます。
2026年6月 新潟大学附属新潟小学校長 /羽田 雄偉
-
明治図書

















