- はじめに
- Chapter1 中学校外国語科「主体的に学習に取り組む態度」の指導&評価のポイント
- 1 新3観点の学習評価の基礎知識
- 1 学習指導要領が求める学力
- 2 3観点での学習評価
- 3 学習・指導の改善に繋がる評価
- 4 目標や評価の方針の共有
- 2 「知識・技能」の指導と評価
- 1 「知識」の評価対象
- 2 「技能」の評価対象
- 3 「知識・技能」の評価の場面設定
- 3 「思考・判断・表現」の指導と評価
- 1 英語によるコミュニケーションの流れ
- 2 「思考・判断・表現」の評価対象
- 3 目的・場面・状況の設定
- 4 「主体的に学習に取り組む態度」の指導と評価
- 1 「主体的に学習に取り組む態度」の評価の考え方
- 2 「主体的に学習に取り組む態度」の評価対象
- 3 「主体的に学習に取り組む態度」を伸ばす指導
- 5 新3観点の評価規準の設定と評定
- 1 目標と評価規準
- 2 評定の出し方
- Chapter2 中学校外国語科「主体的に学習に取り組む態度」の指導&評価プラン
- 1 第1学年
- 1 聞くこと
- 単元名 人物紹介から,基本的な情報を聞き取ろう!
- 2 読むこと
- 単元名 友達が書いた思い出に,素敵なタイトルを付けてあげよう!
- 3 話すこと[やり取り]
- 単元名 「学校紹介30秒CM」を披露して,他の生徒やALTからの質問に答えよう!
- 4 話すこと[発表]
- 単元名 大切なものを紹介しよう
- 5 書くこと
- 単元名 夏休みの思い出について伝え,おすすめの過ごし方を紹介しよう!
- 2 第2学年
- 6 読むこと
- 単元名 コラムの記事を読んで要点をおさえよう
- 7 話すこと[やり取り]
- 単元名 将来の生き方について,自分の考えやその理由を伝え合おう!
- 8 話すこと[発表]
- 単元名 Let’s talk about “This is me in 2030!”―2030年の自分の未来像を話そう!―
- 9 書くこと
- 単元名 ウィルソンさんに手紙の返事を書こう!
- 10 4技能統合型
- 単元名 物語文を読んで,その内容を他の人に伝えよう!
- 3 第3学年
- 11 読むこと
- 単元名 スピーチから話し手の主張を読み取ろう!
- 12 話すこと[やり取り]
- 単元名 Let’s make “Heartful Journey through Ibaraki!”―心温まる旅を提案しよう!―
- 13 話すこと[発表]
- 単元名 「中学校の思い出」をテーマに,中学校最後の英語スピーチを成功させよう!
- 14 書くこと
- 単元名 投稿文を読んで,感想や自分の意見を書いてみよう!
- 15 4技能統合型
- 単元名 「自分らしさ」の発表について,自分の考えや感想を述べよう!
はじめに
平成29年告示の学習指導要領では,育成を目指すべき資質・能力の三つの柱として,「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」及び「学びに向かう力,人間性等」が挙げられ,それぞれに関わる目標が明確に示されました。それらの目標に到達することを目指して,各学校で日々の教育活動が行われていることでしょう。
その考え方を反映させた学習評価の在り方について,国から報告書が出されました。特に大きな変更は,これまでの4観点が3観点になったことです。資質・能力の三つの柱に関わって「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」がその3観点です。それらは,平成19年に改正された学校教育法第30条で示された学力の三要素とも一致しており,今回の改訂で初めて,目標―指導―評価が同一の考え方でまとまったと言えます。
しかし,実際の評価にあたっては,まだ混乱が見られます。観点別評価を行う際に,「知識・技能」と「思考・判断・表現」の違いがはっきり区別できていない先生も多いようですが,それ以上に「主体的に学習に取り組む態度」の評価方法がよくわからないとの声を耳にします。学習指導要領で示された「学びに向かう力,人間性等」が「主体的に学習に取り組む態度」に代わっていることも一因でしょう。「学びに向かう力,人間性等」については,観点別評価を通じて見取ることができる部分を「主体的に学習に取り組む態度」として評価して,「観点別評価や評定にはなじまず,こうした評価では示しきれないことから個人内評価を通じて見取る部分がある」と整理されております。
「思考・判断・表現」と「主体的に学習に取り組む態度」は一体的に評価しなければならないので,同じ評価結果にしなければならない,という著しい誤解も全国各地で見られます。「主体的に学習に取り組む態度」の評価は「思考・判断・表現」を伴う活動を通してしか行えない,が正しい解釈で,「思考・判断・表現」を評価するときには必ず「主体的に学習に取り組む態度」を評価する必要はまったくありません(詳細は本文参照)。
本書は,そのような先生方の誤解や混乱を少しでも解決できることを目指して執筆しました。最初に英語の学習評価に関して広く解説し,そのあとで「主体的に学習に取り組む態度」の評価事例を紹介しております。日々の実践の参考にしていただけたらありがたいです。
2022年5月 /松浦 伸和
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