基本の授業・応用の授業
「わかる・できる」→「使いこなす」子供へ

基本の授業・応用の授業「わかる・できる」→「使いこなす」子供へ

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授業のプロとしての教師の自信と誇りを復活させる。

知識・理解、技能・表現を子どもが主体的に獲得していく1単位時間1サイクルの「基本の授業」を主にした上で、解決力・創造力・対話力などの応用力を発揮する「応用の授業」を組み込み、生涯学力を育てようという、未来志向の教育を授業の次元で実現を目指す試みを紹介。


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ISBN:
4-18-230820-4
ジャンル:
授業全般
刊行:
3刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 208頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき  福岡教育大学附属久留米小学校校長 /櫻井 孝俊
第T章 未来志向の教育戦略
福岡教育大学教授 /寺尾 愼一
第U章 現代の授業づくりの問題と原因
1 授業のねらいとつくり方の問題
2 原因となる教師の授業づくりの揺らぎ
第V章 ねらいに応じた基本と応用の授業づくり
1 授業のねらいを明確にして
(1) 「わかる・できる」子供の姿を明確にして
(2) 「使いこなす」子供の姿を明確にして
2 ねらいに応じた基本と応用の授業づくり
(1) 授業づくりの手順を明確にして
(2) ねらいに応じて授業づくりを使い分けて
(3) 「わかる・できる」子供を目指す基本の授業づくり
(4) 「使いこなす」子供へ高める応用の授業づくり
第W章 各教科・領域の具体的な授業づくり
国語科(物語文)の授業づくり
1 これからの国語科(物語文)で目指す授業
2 読み方を身に付けるための基本の授業
3 作品価値を創造するための応用の授業
国語科(説明文)の授業づくり
1 これからの国語科(説明文)で目指す授業
2 読み方を身に付けるための基本の授業
3 筆者の表現の工夫を評価するための応用の授業
社会科の授業づくり
1 これからの社会科で目指す授業
2 社会的事象の意味を見出すための基本の授業
3 社会的事象の意味を深めるための応用の授業
算数科の授業づくり
1 これからの算数科で目指す授業
2 数理を見出すための基本の授業
3 数理的な処理を高め続けるための応用の授業
理科の授業づくり
1 これからの理科で目指す授業
2 自然事象のきまりを確実に見出すための基本の授業
3 自然事象のきまりを見出し続けるための応用の授業
生活科の授業づくり
1 これからの生活科で目指す授業
2 対象とのかかわりをつくるための基本の授業
3 対象とのかかわりをつくり続けるための応用の授業
音楽科の授業づくり
1 これからの音楽科で目指す授業
2 自分の思いを楽しく表現するための基本の授業
3 表現する楽しさを求め続けるための応用の授業
図画工作科の授業づくり
1 これからの図画工作科で目指す授業
2 つくりだす喜びを味わうための基本の授業
3 つくりだす喜びを求め続けるための応用の授業
家庭科の授業づくり
1 これからの家庭科で目指す授業
2 家庭生活をつくる実践力を身に付けるための基本の授業
3 家庭生活に応じた実践力へ高め続けるための応用の授業
体育科の授業づくり
1 これからの体育科で目指す授業
2 運動を確かに高めるための基本の授業
3 運動を楽しみ続けるための応用の授業
道徳の授業づくり
1 これからの道徳の時間で目指す授業
2 道徳的実践力を身に付けるための基本の授業
3 道徳的実践力を高めるための応用の授業
学級活動の授業づくり
1 これからの学級活動で目指す授業
2 社会的な実践力を身に付けるための基本の授業
3 社会的な実践力を高めるための応用の授業
総合的な学習の時間の授業づくり
1 現代の総合的な学習の時間の課題
2 共生の生き方をつくる総合的な学習の時間
あとがき  福岡教育大学附属久留米小学校副校長 /長岡 廣通

まえがき

 平成18年4月に本校は,学校創立百周年を迎えます.1世紀の間に遂げた日本の変貌には目を見張るものがあります.この10年間にわたる情報関連の技術の驚異的発達は,個人の意見をインターネットを介して世界中に瞬時に伝えることさえ可能にしています.他方,環境問題や国際化・共生といった人類共通の一刻を争う難題が押し寄せています.正に日本は,変革の時代,混迷の時代,国際競争の時代に臨んでいます.このような時代を生涯にわたって生き生きと豊かに逞しく生き抜く「生涯学力」を,子供たちに育てるには,「教師力」の強化が不可欠であることは言うまでもないことです.

 戦後,教育学や教育心理学の発展と共に各教科の教育学が大いに充実しました.その成果を得て学習指導要領は幾度となく改訂されて,学習過程にも学習理論を生かした多種多様な工夫がなされてきました.中でも知識・理解や技能を中心とする狭い学力から,学ぶ意欲や社会の変化に対応できる資質や能力を含む広い学力へと学力観が変わったことは大きな出来事でした.

 しかしながら,学習の内容の3割削減から,学力低下が危惧されました.PISAやTIMSSなどの相次ぐ国際教育調査の結果からその傾向が明らかになったとされ,今や学力向上の取り組みが不可欠となりました.

 今こそ,教育現場の課題を明らかにし,新しい学力観の本質の立ち戻り,広い(意味の)学力を確かに育み,生涯学習の基盤をつくる授業づくりが,急務であると考えました.そこでこの機に,長年にわたる本校の教育研究と教育実践の特色である「子供を主体の教育活動」を土台とした「生涯学力」の育成へとつながる具体的な授業づくりの提案を行うことにしたのです.

 一単位時間の中で,指導する主眼を明確にすれば,「何がわかり,できたのか」が明快になり魅力ある授業が展開できます.指導内容が曖昧であれば学習過程も曖昧になります.そこで,各教科・領域において,目指す子供の姿や授業のねらいを明確にし,ねらいに応じた「基本の授業」と「応用の授業」の授業づくりを提案しました.

 知識・理解,技能・表現を,子供たちが主体的に獲得していく一単位時間1サイクルの「基本の授業」を主にした上で,解決力・創造力・対話力などの応用力を旺盛に発揮する「応用の授業」を組み込むという,授業づくりの使い分けをすることにより,「生涯学力」を,よりよく育むことができると考えたのです.基本の授業では,各教科・領域の本質に根ざした教材の分析,主体性を生かした学習過程の工夫,さらには板書計画やノート指導などの指導方法,あるいは学習規律についても具体的に述べました.基本の授業を積み重ねることにより,各教科・領域の基礎・基本を,子供が主体的に学び取ると考えます.

 教師に求められているプロとしての資質は,人間力と指導力です.この両者は不可分であるだけでなく,お互いを向上させる要因であります.私共の提案が,プロの授業の復活と創造に貢献できることを願っています.

 最後になりましたが,全体講師としてご指導いただきました福岡教育大学教授の寺尾愼一先生に心から感謝とお礼を申し上げます.また,原榮一先生をはじめとする本校職員の先輩の先生方から,並々ならぬご支援もいただきました.さらに,明治図書編集部長の樋口雅子様の温かいご助言とお力添えを頂くことで初めて本書を世に問うことができました.

 ここに厚くお礼を申し上げます.


  平成18年3月

   福岡教育大学附属久留米小学校校長 /櫻井 孝俊

著者紹介

寺尾 愼一(てらお しんいち)著書を検索»

福岡教育大学教授

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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