- はじめに
- 「人権力」という視点から,いじめ問題を考える
- Chapter1 子どもが主体的に学ぶ「いじめ防止プログラム」
- 1 「いじめ防止プログラム」の目標
- 2 プログラムの5つの特徴
- 3 プログラムの5つの教材
- 4 「特別の教科 道徳」におけるプログラムの活用法
- 5 プログラム開発のための理論と子どもの意識調査の結果
- Chapter2 「いじめ防止プログラム」を使った授業プラン
- 教材@ これって,いじめ? 全1時間
- 1 教材の紹介
- 2 学習指導案
- 3 授業の流れ
- work sheet これって,いじめ?
- check sheet 「これって,いじめ?」自己評価チェックシート
- 4 生徒の感想・授業者のコメント
- 教材A いじめられる人の気持ちをとことん考えてみよう! 全1時間
- 1 教材の紹介
- 2 学習指導案
- 3 授業の流れ
- work sheet 人権作文
- work sheet いじめられる人の気持ちをとことん考えてみよう!
- check sheet 「いじめられる人の気持ちをとことん考えてみよう!」自己評価チェックシート
- 4 生徒の感想・授業者のコメント
- 教材B いじめからどうやって抜け出せばいい? 全1時間
- 1 教材の紹介
- 2 学習指導案
- 3 授業の流れ
- work sheet いじめからどうやって抜け出せばいい?
- check sheet 「いじめからどうやって抜け出せばいい?」自己評価チェックシート
- 4 生徒の感想・授業者のコメント
- 教材C いじめが起こりにくいクラスって,どんなクラスかな? 全2時間
- 1 教材の紹介
- 2 学習指導案
- 3 授業の流れ
- work sheet いじめが起こりにくいクラスって,どんなクラスかな?@〜B
- check sheet 「いじめが起こりにくいクラスって,どんなクラスかな?」自己評価チェックシート
- 4 生徒の感想・授業者のコメント
- 教材D こんなとき,どうしたらいいかな? 全3時間
- 1 教材の紹介
- 2 学習指導案
- 3 授業の流れ
- work sheet こんなとき,どうしたらいいかな? Part1.基礎編・Part2.応用編
- check sheet 「こんなとき,どうしたらいいかな?」自己評価チェックシート
- 4 生徒の感想・授業者のコメント
- Chapter3 「いじめ防止プログラム」を進めるためのQ&A
- Q1 このプログラムを実施すれば,いじめが減るのでしょうか。
- Q2 教材1から教材5までをすべて実施しないと効果はないのでしょうか。
- Q3 この教材は小学生でもできますか。
- Q4 この教材は,どんなふうにアレンジしてもいいのでしょうか。
- Q5 子どもから意見が出ないときはどうすればいいですか。(教材5)
- Q6 先生相手にセリフを考えたりロールプレイをしたりすることも必要でしょうか。(教材5)
- Q8 クラスでいじめがあった直後に,この教材を扱っても大丈夫でしょうか。
- Q9 プログラム全体を通して,子どもたちに一番伝えたいことは何でしょうか。
- Chapter4 「いじめ防止プログラム」を活かしたいじめへの対処
- 1 解決のためのゴールの設定
- 2 被害者を守るだけではいけない
- 3 加害者を叱るだけではいけない
- 4 傍観者を責めるだけではいけない
- 参考文献
- 協力者一覧
はじめに
「人権力」という視点から,いじめ問題を考える
2013年にいじめ防止対策推進法が成立しました。この法律制定を契機に,全国の教育委員会,学校は,これまで以上に,いじめ防止の取り組みに力を入れています。
いじめアンケートの定期的な実施,子どもたちとの面談,観察,道徳教育や人権教育,特別活動の充実など,様々な学校で様々な取り組みが進められています。児童会・生徒会の「いじめ根絶スローガン」の取り組みなどもあります。
しかしながら,なぜ,いじめはなくならないのでしょうか。いじめの認知件数は,年々,増加しています。
認知件数の増加は,より早い段階で教師が子どものサインをキャッチし,早期に解決している件数の表れとみることもできます。しかし残念ながら,周囲のおとなたちが気づくことができず,子どもが命を絶つ痛ましい出来事も,後を絶ちません。
いじめ防止の教育は難しい側面も含んでいます。いじめ根絶を目標に熱心に取り組めば取り組むほど,「いじめはあってはならないもの」と認識され,いざ自分たちの身近にいじめが生じたとき,子どもたちは事が大きくなることを怖れ,口を閉ざしてしまうという矛盾した現象を生み出します。「いじめはだめですよ」「みんなと仲良くしましょう」という倫理感や規範意識の育成だけでは,却って子どもたちを追い詰めてしまうこともあるのです。
子どもが命を絶つほどに重大ないじめを防ぐために最も効果的なことは,「いじめの芽」を早い段階で発見し,解決することです。
そのためには,子どもたちの力が必要です。
いじめが起こったときに自分はどうすればいいのか,いじめを解決するための具体的な行動力を養うことが大切です。
問題解決力を身に付けることは,子どもたちの元気を回復し,エンパワメントします。人権侵害に気づき,人権侵害に立ち向かう力,人とつながる力,人と協力する力,人に相談する力,こうした力は,おとなになっても,大切な力です。いわば,「人権力」です。
そもそも,いじめを,完全に根から絶つことはできません。人間の集団である限り,多かれ少なかれトラブルや誤解,摩擦,軋みは生じます。時に人は,他者に対して怒りや憎しみ,嫉妬などの感情を抱くこともあります。重要なことは,それが「いじめ」という人権侵害にまで進行しないようにすることです。だれとでも仲良くしなさいと教えられても,なかなか現実にはそうはできません。でも,たとえ気が合わない相手であっても,趣味や感じ方,考え方が異なっていても,相手が安全で安心して学校で学ぶ権利を奪うことなく過ごすことはできるはずです。
そこで,子どもたちの「人権力」を磨き,いじめを解決するための知識と価値観とスキルを見つけるための教材を開発しました。2018年度からは小学校で,2019年度からは中学校で道徳が教科化され,道徳の教科書ができます。本教材はデジタル教材なので,教科書と併用して,補助的に使うことができます。ICT教育として活用してください。中学生用の教材ではありますが,小学校高学年でも活用できます。
本書は,そのデジタル教材の手引書であり,解説書です。デジタル教材そのものは,下記のURLからダウンロードしてください。
(省略)
教材は,佐賀大学の私の研究ゼミの大学院生および佐賀県内の中学校の先生方11名による「いじめ防止プログラム」開発プロジェクトチームの協力のもと作り上げました。それぞれの中学校での「あるある」を出し合いながら,場面設定を組み立て,実際に実験授業を行い,子どもたちの反応を見ながら発問やワークシートを練り上げていきました。
なお,本プログラムの開発は,平成27〜29年度科学研究費助成事業基盤研究(C)(課題番号15K04504)「『子ども主体のいじめ防止・解決プログラム』の研究開発」の補助を受けて行われました。
2017年6月 /松下 一世
本書でご紹介している教材1〜教材5は以下からダウンロードできます。
- ※1 下表のをクリックするとダウンロードが始まります。
本書に掲載されているユーザー名とパスワードを入力してダウンロードしてください。 - ※2 ファイルのご利用には Microsoft PowerPoint または PowerPoint Viewer が必要です。
PowerPoint のバージョンによってダウンロードファイルが異なりますのでご注意ください。
内容 | ファイル名 | サイズ | |
---|---|---|---|
教材1〜教材5 (PowerPoint 2013以降用) |
230617_2013.zip | 66.2MB | |
教材1〜教材5 (PowerPoint 2010 および PowerPoint Viewer用) |
230617_2010.zip | 69.8MB |
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