- はじめに
- Chapter1 よい授業ってどんな授業?
- 1 「子どもとともにつくる授業」の意義と可能性
- 〜主体的・対話的で深い学びへと誘う教師の構え〜
- 2 授業を構想する際の3つの視点
- 〜誰のための「授業改善」なのか〜
- 3 実践編の総括・実践記録を読む視点
- 〜明日の授業をどう変えるのか〜
- Column 学校体育の真の目的地をめざして
- 〜仲間とともにつくる授業〜
- Chapter2 Before & Afterでよくわかる 子どもとともにつくる体育授業改善プラン
- 1 新しい体つくり運動のカタチ Let's柔道的遊び
- 体つくり運動(体の動きを高める運動)/6年
- 2 誰もが夢中で くるん!くるんぱ! 高さ・低さ前回り
- 器械・器具を使っての運動遊び(マットを使った運動遊び)/1年
- 3 みんながわかってできて高め合う 横跳び越しから開脚跳び
- 器械運動(跳び箱運動)/3年
- 4 授業は生き物 学年を超えてつくりあげよう 創作シンクロマット
- 器械運動(マット運動)/3年・5年
- 5 あら不思議!ダイナミックがとまらない 前転から跳ね跳び
- 器械運動(マット運動・跳び箱運動)/5年
- 6 2次空間を攻略しろ 台上前転で空間開拓
- 器械運動(跳び箱運動)/5年
- 7 領域や種目を超えて みんなで「回る」を極めよう
- 体つくり運動・器械運動(マット運動,跳び箱運動)/5年
- 8 コースをみんなでつくってみよう とんで!くぐって!リレーあそび
- 走・跳の運動遊び(走の運動遊び)/1年
- 9 子どもの願いを学びにつなげる レッツ!リボン
- 走・跳の運動(かけっこ・リレー)/4年
- 10 わたしの走りをコントロール 50mペース走
- 走・跳の運動(かけっこ・リレー)/4年
- 11 「誰が速い」から「みんなで伸びる」
- 走・跳の運動(小型ハードル)/4年
- 12 「赤西陸上」を学びの原動力へ
- 陸上運動(ハードル走)/5年
- 13 学びのオールインクルーシブ 子どもと教師がつくる海賊宝取り
- ゲーム(鬼遊び)/1年
- 14 「〇〇したい!」を生かす,引き出す シュートゲーム
- ゲーム(ボールゲーム)/1年
- 15 子どもの姿に教師が「学ぶ」 シュートボール
- ゲーム(ボールゲーム)/2年
- 16 聴いて,伝えて,認め合って 学年を超えてつながるキャッチバレー
- ゲーム・ボール運動(ネット型)/3・5年
- 17 みんなが活躍できるゲームをつくろうよ! 陣取り型ゲーム
- ゲーム(ゴール型)/4年
- 18 「戦術」で,つながる・ひろがる・高め合う フラッグフットボール
- ゲーム(ゴール型)/4年
- 19 自分と仲間とスポーツと 対話でつくる ろくむしベースボール
- ゲーム(ベースボール型)/4年
- 20 スポーツを,いつでも・どこでも・誰とでも! アダプテーションバレー
- ボール運動(ネット型)/5年
- 21 スポーツはわたしたちがつくるもの つくろう!6年3組サッカー
- ボール運動(ゴール型)/6年
- 22 「みんなが楽しめるためには」をともに探究 キャリーバスケット
- ボール運動(ゴール型)/6年
- 23 子どもが学びの主人公 願いを語り合うワンバウンドバレーボール
- ボール運動(ネット型)/6年
- 24 からだで「わたし」を表現しよう!
- 表現リズム遊び(表現遊び)/1年
- おわりに
- 執筆者一覧
はじめに
個人的なことだが,大学勤務を始めた10年ほど前から公立校の校内研究会や官製の研究会で授業を観る機会が増えてきている。関係の先生方は勤務時間外に授業準備や打合せをすることが多く世の「働き方改革」に逆行しそうだが,意欲的に取り組む先生方の様子を見聞きすると授業研究のおもしろさは十分理解されているように感じている。
授業づくりには教科内容や教材に関する一般的な知識とともに児童生徒に関する知識や情報が重要である。授業は授業者・学習者・教材があってこその営みであり,授業者や学習者が異なれば教材の採り上げ方も変わってくる。「この先生と子どもたち」が「この教材」を通して学び合う営みが授業であり,授業づくりには授業者の意図や方針が尊重されることが前提である。
ところで「よい授業」ができるようになりたいと願う教師1人ひとりが,「よい」を同様にとらえているわけではない。学習成果の上がる授業,子どもが元気に発言する授業,また授業者の思い通りに進める授業など,「よい」の解釈はとても難しい。多様な「よさ」があることを前提に自身の取り組みや授業を公開し他者の意見を聞こうとする教師は,自分の今の考えに疑問を抱きその解決に向かうことを通してさらなる力量向上をめざしていると考えられる。
思い返せば私自身も小学校教師時代さまざまな研究活動をしてきたが,授業や子どもを語り合う時間は大変充実したものだった。時間には限りがあり話し合った内容すべてに納得したわけではないが,自分の考えを揺さぶられ価値づけられることで,もっと自分が高まらねばという思いを強くしてきた。
さて私は学校体育研究小学部会に教師1年目から参加し36年が過ぎた。自身の考えをまとめられずそれが授業に露呈してしまうことやそれを仲間から指摘され何も言えなかったことなど,何度も悔しく情けない思いをしてきた。それでもこの会に参加してきたのは「もっとよい体育授業をしたい」という強い思い,そして集まる仲間と過ごす時間が好きだったからである。この会の仲間は誰かから参加を強制されたわけではなく,自らの願いや求めを具体化するため自身の判断で参加している。これが研究サークル活動の醍醐味であり,「来る者は拒まず去る者は追わず」である。長く運営に携わった立場から言うなら,一度去った者がまた戻ろうと思える魅力的な活動をしていきたいと願っていたのが本音であるが。
そうしたメンバーが各々授業を実践し整理したものを記録化して仲間に公開している。実践中の戸惑いや迷い,自分なりの手ごたえが読者に伝わるよう何度も書き直したものをまとめた実践記録が本書の中心である。この書を手に取り読んでいただく皆さんに多くの批評をいただくこともまた学びの機会である。忌憚のないご批正やご指摘が実践者の栄養となりさらに実践に邁進する原動力となる。期待感と厳しい構えで本書に目を通していただくことをお願いする次第である。
2022年2月 /内田 雄三
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- 明治図書
- 一緒に体育の研究校にいるかのような気持ちになりました。一つ一つの実践が個性的で面白いです。2024/8/20ヤッシー
- 新しい体育授業について考えるヒントが端的につまっています。イラストなどが割愛されていることが多く、イメージは掴みづらいですが、一歩進んだ授業について考えたい人には助けになると思います。2024/7/2740代・小学校教員
- よかった2023/5/630代・小学校教員